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個展「シンカイ」

2022/11/12〜16
名古屋のギャラリーカフェテオさんにて
個展「シンカイ」を開催しました。

今回の展示は、名古屋だけですので
ネット公開も早めに。

まずは会場全体の様子です。


ここから
今回の新作のみ、解説つきで写真を。
珍しく会場でも解説をつけていたので
同じ文章で載せます。

まずは入口

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新しく開いた窓から見えた

深い、暗い、夜のような、海のような世界

真新しく見えたその世界には
何故か懐かしさを感じる生き物達が
たくさん泳いでいた。

ここはきっと
神様たちの世界

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今回のテーマ「シンカイ」
新開、新界、深海、神界
をかけているため、カタカナで「シンカイ」としてました。

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「シンカイ」 
絵:永倉那々奈 文:七草なずな 

目が覚めたら、真っ暗な世界。
そこに1つだけ窓があった。
細長い窓の外を覗くとどうやら海が広がっているようだ。
そして暗い対岸にうっすらと見えるのは高い煙突のような物がいくつか。
明かりは灯っていないが、あれはきっと工場群だろう。

よく見ると窓にはガラスは無くそのまま顔を出す事ができた。
風は吹いていないが、真っ暗な海が波打っている。

唐突に太い弦を弓で擦るような音が聞こえ
強く花の香りがした。

音のした方を見上げると
いつかの夕暮れに見た気がしたあちら側の生き物が泳いでくる。

そうか。
このクジラは、僕を迎えに来たんだ。
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今回の表題作です。
文章とコラボしました。
七草なずなさんは、永倉と別人という設定の同一人物です。文章とかイラストとか描きます。

そのなずなさんの目で見て、考えて
文章を作りました。

seven color memorys 
「滲んでしまって朧げだけれど、確かにあったもの。」

人の手(こちら側)とクラゲ(あちら側)を組み合わせた作品。
寄せ木の額は記憶の繋ぎ合わせ
浮かぶクラゲはかつての相手を思い出そうとする魂。

繊月・淵源
(せんげつ えんげん)
「はじまりの時間と流れのみなもと」

夜の始まりの空と
まだ生まれ始めた月。
そこから流れてくるミズクラゲ
ミズクラゲ  にしたのは
源、という意味から一番スタンダードなクラゲにしたかったからです。

朔月・水鏡
(さくげつ みなかみ)
「月の無い夜に
隣りあわさる あちらとこちら。」

月のない真っ暗な夜に
鏡写のように隣り合わさる二つの世界。
二つの迷子の魂が揃う時、境界がなくなり廻り始める。
という思考で描きました。
2匹のクラゲで輪廻転生のモチーフ、蝶々を表してます。

最初の記憶
クラゲクリエーター、および海洋生物絵描きになった当初によく組み合わせていたモチーフの絵。

クラゲと歯車
レジン作品で表現していたもの
歯車は止まった記憶

クジラと都市
絵画作品で表現していたもの
こちらの都市と水面に映るとあちらの都市

無題
「無くしてしまった記憶達」

抽象画作品3点
共通タイトルが「無題」です。
無くしてしまった物、なので。

全てタイトル先行でイメージを膨らませてから描きました。

宵ノ夢ニ見タ草花  
(よいのゆめにみたくさばな)
「いつかの夜にみた気がする花の夢」
桜の別名で「夢見草」という呼び方があるところから描きました。
おぼろげでふうわりとした
記憶とクラゲを組み合わせています。


・夜闇ト波音ノ狭間ニ
(よやみとなみねのはざまに)
「あちら側にいく前に、どうかもう一度」

あちら側とこちら側が最も混ざりやすい海。
まだ迷いがあるためか空と海は混ざらず、
白い飛沫が境界を引いている。

・傾慕ノ心ニ永訣ヲ
(けいぼのこころにえいけつを)
「永遠の別れを告げ 狭間から旅立つもの」

思いを断ち切り、あちら側…死の世界へと
旅立つ魂。
そしてこちら側、生の世界ではその者の痕跡は泡のように消えていく。

立体くらげさんとおはな

キンモクセイ
「あまいかおりにさそわれて」

今回の新作 立体くらげさんとおはなです。
こちらの作品は、使用している額を見た瞬間に
作ろう。
と思いたった作品です。


累々
(かさねがさね)
累→しばられて離れないもの。
アクリル板を重ねて表現するところと
この生物にはこの花。とイメージが縛られてしまっているところから
こちらのシリーズタイトルを付けました。

「たむけ花」
桜と金魚。
たむけ花とは桜の別名。
揺れる金魚は鬼火のイメージ。

「天上の花」
彼岸花とシーラカンス
天井の花とは彼岸花の別名。
あちら側の世界の花と
あちら側で姿形を変えず
ずっと留まり続けている者。

「星見草」
菊とイルカ
星見草とは菊の別名。
口角が上がっているように見えるイルカはニコ。
真実を知りたがる者で、ヨミの恋人。

「六花」
雪の結晶とクリオネ
六花とは雪の別名。
暖かくなる前に凍えてしまった幼子達の魂。

「朽葉」
紅葉とホウライエソ
朽葉とは落ち葉や枯れ葉。朽葉色から。
栄光が朽ちてしまい深くに追いやられるも
なお牙を剥く存在。

「百花の王」
牡丹とシロナガスクジラ
百花の王とは牡丹。
圧倒的な存在の牡丹とシロナガスクジラは
まさに、王。


以上が新作となります。

またこちらは

「銀月にまつわる5つの物語」
黒い色紙に銀の月をテーマに描いた
アクリルドローイングです。

初出 東京三鷹個展「銀月の夜」ですが
そちらの記事では解説?を載せてないため、こちらに。


「禍月」 まがづき
禍い事を転じ福を呼ぶ使い



「揺月」ゆらぎづき
美しく揺らぐ魂


「煙月」けぶりづき
煙のようにゆらめき すぐに消えていく
銀色の海月


「真宵月」 まよいづき
暗闇で迷子になる心



「黄泉月」よみづき
あちら側から迎えにくる少年 ヨミ


ちなみに今回もBGMをboun-qoola(兄)さんに頼みました。
・テーマは「シンカイ」
・1曲だけ
・環境音を入れてほしい

のオーダーをこなしつつめちゃくちゃ私好みな変な曲です。
ソナー音が耳に残るような…。
事あるごとに使いたい…。

今回の(まだまだお試し)空間演出

障子のところに黒いレースをカーテンのようにつけて、その横の壁にあちら側の景色を覗き込める窓枠額の対になる作品
とその下にあるこちら側とあちら側を描いた対になる作品

これで開かれたあちら側への窓を演出しています。
なので、真ん中にあちらとこちらを彷徨う
抽象画作品を配置してみました。


また、カフェの方ではいつも通りコラボメニューを出していただきました。

テオくらげさん のおやつセット

・シェル型のココア味マドレーヌ
・夜空ゼリー(ほんのりオレンジの香り)
・テオくらげさんクッキー(素朴な味)

こちら、テオくらげさんを立てているクリームとクッキーの相性が、抜群です。(*´꒳`*)

今年もなんとか、名古屋で思い切り展示ができました。
ありがとうございます。
来年もやりますよ!!!!きっと!!