住宅コンシェルジュについて考える
最近、住宅コンシェルジュなる仕事をするかについて友人と話し合った。
友人というより、人生の大先輩というか、元々は住宅営業時代のお客さんなんだけど、えらく仲良くして頂いている。自分の親くらいの年齢のご夫婦だけど、いろいろすごい方で、親身にして下さってありがたい。ユーチューブなんかも一緒にやっている。
仲良くしてもらっているのもありがたいけれど、自分が考えた家におじゃまさせてもらってお茶したり、昼から焼酎を飲んで話したり、そういう体験って本当にありがたい。
家を何軒も作ってきたけれど、その空間の中でくつろぐっていうのは、実のところ、自宅ぐらいでしか出来ない。
おじゃまして、お茶を頂くってことは、他の家でも時たまあったけれど、リラックスしてゆったり過ごさせてもらうって本当に少ない。
年に一軒くらいしかそういうお客さんはいなかった。
年に一軒あるんだから、普通の営業マンよりは多いだろうけれど。
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さて、住宅コンシェルジュ。
なんぞ、それ、って話だけど。
要は家を作るときに、住宅会社の選定から、プラン、土地、家の性能うんたらかんたら。
一般人には分からないことが多過ぎる。
プロに相談すると言ったって、プロは仕事なので自社の家をオススメする。
だから、今現在、日本には公平な相談役って人がいない。
どこかの、会社の営業マンや設計士ではなくて、言うなればセカンドオピニオンをくれる、相談役みたいな。言うなれば、住宅会社に依頼する仕事の手前の部分のサポートみたいな。
需要はあるのに、供給がない、君ならできそうだけど。
そんなわけだ。
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まあ、確かに、営業としても仕事は優秀な方だったし、今は大工もしているから、家については詳しいと言える。
建築士を持っていないのが、少しネックだけど。
建築士って、試験が解けてもダメなのだ。
実務経験年数や、学歴が必要なのだ。
大学中退の僕には厳しい。
多分、世の中の優秀な営業マンやプランナーさんの中には同じような人はある程度いるだろう。
家については詳しいし、勉強もしている。
ただ、大学は文系出身で、営業として入社してしまったので、実務経験の年数に入れられない。それで、建築士は難しいという人。
営業として、何件もヒアリングをして、プランを描いて、完成した家から学んで、またお客さんと相談して。
そういうのは残念ながら日本の住宅の世界では、建築士としての実務には入れてもらえないのだ。
ちなみに、建築士の試験というのはそんなに難しい問題は出ない。
製図についても、あまり実務に使うようなものではない。
断熱についてや、雨仕舞の納まりなんかは、出て来ない。構造計算も高校一年生の物理学程度のものしか出ないので、実用的な計算は出てこない。
製図は、いまだに紙と鉛筆で描く試験だ。
都市計画についての、現在の日本の課題なども出て来ない。
無意味とは言わないけれど、建築士の資格は、ちょっと改善しないと実用的な住宅のプロを作れないと思う。
少しお粗末なところが目立つ。
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友人が勧めてくれた仕事は素敵だと思った。
だれかに求められている仕事で、だれかの役に立つ。しかも、実質、今の日本にほぼ存在していない仕事だ。
ただ、僕が思ったのは、お金の問題だった。
誰からお金をもらうか、ということだ。
紹介した住宅会社からもらう仕組みで、お客さんからは頂かない、というのを友人は言ってくれた。
バックマージンでやりくりするというわけだ。
でも、そうなると、癒着が起きたり、いろいろある。
マージンの良い会社だったり、待遇の良い会社を優先して紹介することになってしまう。
そうなると、結局、そこの会社の営業マンと変わりない。
それは、求められている仕事じゃない。
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そんじゃ、お客さんからお金を頂いて、住宅会社からはお金をもらわないのはどうか。
んー、僕に払うお金があれば、それを家の費用に充てても良いんじゃないか、なんて思ってしまったりする。
とはいえ、心理カウンセラーなんかでも、一時間のカウンセリングで一万円くらいは取る。
整体だって、一時間で五千円くらいはする。
家の相談だって、単に話を聞いて、専門知識を持って答えるにしても、一回の相談が2時間くらいとして、一万円はもらっても良いだろうし。プランを準備したり、土地を見に行くとなれば、手間もかかる。
しかも、何千万円もする家について、アドバイスをするんだから、下手なことを言えば一生恨まれるんだから、安易なことも言えない。
相談し始めたら、完成するまでは責任持ってサポートしないといけない。
そう考えると、一軒の家を相談するとなると、少なくとも50万円くらいは欲しい。
実際、土地を見て、プラン立ててとなると半分くらい設計事務所の仕事なんだから、50万円じゃ割に合わないくらいだ。
そうなると、いよいよ、
「僕に払うお金も無意味ではないけれど、家本体に使ったり、何だったら家以外にも人生いろんな大事なことがあるから、他のことに使うのも良いと思いますよ」
なんて、気持ちになったりする。
それに、お客さんとしても、相談料なんだから、一回五千円くらいで何とかしてくれたらありがたいんだけどな、ってのが本音だろう。
設計まで全部責任持ってやってくれるなら設計事務所の相場の金額でも良いかもだけど、それなら設計事務所に依頼するよ、なんて。
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あとは大工をやっていると、元請けとの絡みもある。
そりゃ、元請けとしては、仕事を出している大工さんが、別の会社にお客さんを送っていたら面白くない。
やっぱり、建築っていうのは、大きなお金が動く仕事だから、しがらみは多い。
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さらに言えば。
相談内容のアドバイスに従って、いざ、住宅会社と契約をしてみたら、なんか違ったってなるかもしれない。
僕だって、そりゃ普通の人よりは住宅のことは分かってるけど。
間違えることもあるし、僕の偏った好みだってある。
そんなんで、いいのかなー、なんて思ったりする。
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まあ、出来ない理由を考えるのは簡単なのだ。
とはいえ、実際に僕から家を買ってくれたご夫婦が、本当に家に満足してくれて、僕の仕事を高く評価してくれて、他の人にもやってあげて欲しいと言ってくれるんだから。
やっぱりそういうのって応えないと、人生の中でたまに降ってくる大事な天の声じゃないかなと思う。
やりたい仕事だなと考えを巡らす。
バリバリ稼ぐためじゃないから、大工をしながら、相談依頼の入った日曜だけやるのは良いなと思う。
仮に元請けからお叱りがあれば、その時に考えたって良いんだろうし。
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それにしたって、そんな仕事が本当に出来るんだろうか。
天の声を聞こう。
自分の足で大地に立とう。
難しそうなところは、助けを頼もう。
失敗したら、やり直せば良い。
楽しそうだと思うことをしたら、人の役に立つ、そんな人間に少しずつなっていけば良い。
明日急にすべてを完成させなくたって良い。
細く長くで良い。
まあ、そんなこんな。
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