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【刀剣乱舞無双】万感の思いを込めて「ありがとうございます」

いきなり大きい話から入りますけど、ゲームの楽しさってなんでしょうね。ゲーム全般、楽しくて大好きですけど、私はいつどこでどんなふうにそれを知ったんだろうなあ。

刀剣乱舞(ブラウザゲームの方)の概要と軌跡については、まあ今更語るも野暮ではあるので省略しますが、一つだけ言うと(言いたい)アレめっちゃ異様なゲームだと思う。社内連絡が式神なのかもしれない。いや大体ですね、大型のシーズンイベント、つまりクリスマスやバレンタインデー(基本女性向けキャラゲーなのに!)すらガン無視で8年続いてるオンラインゲームって異様ですよマジで。色んなオンラインゲームやって来ましたが寡聞にして見たことないです。EVEですらクリスマス近くなると雪玉支給されるんだよ、投げて遊べつって。(ふと調べてみたらフライトシムやレースシムなんかでもオンラインタイトルならクリスマスは一応何らかの形で祝ってるんですね)そういうの一切ない。本丸にクリスマスツリーは立たない。刀剣男士はハロウィンに仮装をしない。2月はチョコを送るんじゃなくて豆をまく。最高。そのままでいてほしい。ついでにシーズンイベント皆無なのもそれはそれで寂しいので端午や重陽の節句を導入してほしい。世間がクリスマスだバレンタインだ言ってるのに、審神者だけ端午の節句だ重陽の節句だ言ってるの超面白いから。サンタや仮装はこちらで二次や妄想で楽しませていただきますので。

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で、私はサービス開始の4日後?位から始めた、歴だけで言ったら最古参の審神者ではあるんですが、その最も大きな動機は「わ、私だって、たまにはみんなと同じゲーム遊びたいもん…!」というのが9割です。(残りの1割は紫髪男性キャラが性癖)いや別にそんなマイナー嗜好のつもりもないんですけど、気がつくと辺境のアウトポストで大はしゃぎして遠巻きに見られている経験が多かった(私の実況チャンネルに並ぶタイトルをご覧いただければご納得いただけるかと)ので、たまには「みんな」と同じゲームを遊んでキャッキャしたかったんです。それは8年経った今も同じで、刀剣乱舞に関してはこのタイトルを遊んでいる人、その様子を眺められること、たまさかには語り合うことすら出来ること、それらが広義の意味での「ゲームプレイ」に含まれているような感覚です。そんで正直、それらを含めなければゲームを遊んでいる感覚を得られないくらい、ゲーム性は薄いと思っています。いやゲーム性を持たせようとしてた時期もなくはないとは思うんだけどさ初期の里とか。大侵寇、どう展開していくんでしょうね楽しみ。

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で、そういうプレイヤーにとって刀剣乱舞無双は、本当に、本当に嬉しいタイトルです。ここまで丁寧に、慎重に、世界観とゲーム性とプレイバランスを整えられたゲームを、よくぞ、よくぞ作ってくださいました…!なんと行き届いたもてなしか…!感涙ものです、誇張なしに。私には。少なくとも、私というへっぽこながらもゲーマーを自認する審神者には。あ、推しが出てる出てないで言えば出てないです。そもそも推し概念が極めて薄いので、推しはと聞かれれば、まあ初期刀の蜂須賀と源氏兄弟と答えるかなー程度なんで、私にはそこはあまり重要ではない。みんな好き。いわゆるDD勢です。鶴さん美しい…

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そう、もてなしなんです。我々はとても丁重にもてなされている。それはswitchというプラットフォーム、そこで出来る(おそらく)限界まで整えられたグラフィック、豊富な、それでいて抑制の効いた台詞やモーション群、歴史コンテンツメーカーとして蓄積された資産が存分に生かされたストーリー、簡単モードに代表される操作性(ガードを潔く排除したのマジ英断)とレベルデザイン、デスペナを一切意識させないバトルバランス、煩雑になりすぎないが単調でもないステージギミック、テンポよくコンパクトにまとめられたマップ構成など、随所にあふれんばかりに見ることができる。

それらがもう散々いろんな人に指摘されているように、アクションゲームに馴染みのない層(もっと言うと忌避感すらある層)へ届くようにと設られたものであることは明白ですが、刀剣乱舞無双は難易度を落として遊びやすくするだけでなく、割と根源的な「アクションゲームの楽しさ」へ、プレイヤーを導くことを忘れていない。つまり「アクションゲーム入門タイトル」としての完成度がすごい。これほんとすごい。初心者相手だからといって決して手を抜かず、隅々まで世界観を行き渡らせ、プレイにはストレスを感じさせず、胸を打つストーリーでゲームプレイを牽引する。
自らコントローラーを握り、自らの慣れと経験とひらめきを頼りに、自ら試行錯誤し、自ら掴み取る楽しさを、こんなの無理だよ出来ないよという絶望からまた一歩前進を試みる力を、プレイヤーをそこに到達させることを、刀剣乱舞無双は諦めていない。ゲームの喜びの、大きな一角を占めるそれを堂々と掲げて、刀剣男士という優れたナビゲーターを伴って、出来ることを全部やって、さあどうかこの味を知ってみてくださいと、いっそ懇願しているようにすら私には感じられました。

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それが最も特徴的に表れているのが、各章のラストステージ、いわゆるボス戦かなと。ゲームにおけるボス戦って、実はすごくゲームにしかないもののひとつなんじゃないかなと。映画のクライマックスや、漫画の見開きページとも違う、ステージが変わり、音楽が変わり、グラフィックやムービーも変わり、さあここからは今までとは違うぞとあらゆるものが訴えかけてくる、そしてそれは全てまっすぐプレイヤーただ一人に向けられる。あの高揚、あの緊張感!そこまで自力で到達したならば、ゲーム慣れしてようがしてまいが老若男女がコントローラーを握りなおすであろう、あの瞬間!そこから今まで得てきた知識と経験をもとにボスに挑み、何度も死んで(いや死なないに越したことはないですけどね初見撃破はゲーマーのロマンなので)、少しづつ状況を進ませて、ついにボス敵のHPバーが全てなくなった瞬間の、歓喜と達成感と高揚感。ゲーム好きの偏った物言いではありますが、あの味を知ったらきっと誰しもが、これは最高の体験と思ってくれるんじゃないかなと、つい夢見てしまうんですよね。実際、そういうプレイヤーに強烈な試行錯誤と胆力を強いるクソ超絶難易度の、高揚感とか達成感とか探究心とか絶望からの前進とかを、煮詰めて漉して丸めて固めた丸薬みたいなゲームばっか作ると言えばフロムソフトウェアという会社がありますが、そのフロムの新作エルデンリングがつい先日発売され、現在全世界的熱狂をもって受け入れられてるのは、その証左のひとつなんじゃないかなと。旬のタイトルに言及してみました。

刀剣乱舞無双のボス戦は、このゲーム的ボス戦の文脈をキッチリ踏襲しています。うおおおなんだこいつでけえーーとプレイヤーに圧を与えながらも、パターンを読み、諦めず、ミスを減らしてダメージを積み重ねていけば倒せる、その確信をプレイヤーに持たせる動線がキッチリ引かれています。そもそもあの蟲のクソデカ範囲、刀剣乱舞無双が初めて遊ぶアクションゲーム、みたいな審神者(つまりコアターゲット層)は、おっかなくて近寄れもしない気がするんですよね。でもそれが正解なんです。見るからにおっかないときには近寄らず距離を取って、蟲が地に伏したタイミングで踏み込み、攻撃を当てて、起きたら下がり、それを精度良く繰り返す、という王道のボス戦攻略セオリーがかなり明快に示されている。それでいて、蟲のひどく禍々しいデザインと、緊迫した長義の口調などにより画面から「ボス戦」の緊迫感は失われない。このバランスは流石老舗のゲームメーカーの貫禄とすら思えるほどに見事です。いやだって今時こんなシンプルにスタンダードに、ボス戦らしいボス戦を堂々と出してくるゲームなかなかなくない?!最近は大体もうちょっと意地悪というか、序盤でも多段階形態変化あったり回復したりするのが定番じゃん!ボス戦って!(具体的にはHadesなどを思い浮かべていますが、思い当たるタイトルがある方は各自思い浮かべててください)それを無双シリーズの最新作で?!

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あ、あと達成感という言葉でよく言われもするし、かなりそれは大きいんですけど、それだけでもないんですよね。できなきゃできないで、それもゲームならではの体験と私は思ってます。どんなに頑張ってもクリアできなかったゲーム、倒せなかった敵、超えられなかった壁、救えなかった世界。それらはときに、達成感すら凌駕する強烈な体験として記憶される。読めなかった本、見られなかった映画のタイトルをいつまでも、なんでか覚えている、みたいなことってないですか。なかったらすいません、でもそれにちょっと似ているけど違うものなんですよ多分。なぜならゲームにおける「できなかったこと」は自分だけのものだから。クリアできなかったゲーム、倒せなかった敵、超えられなかった壁、救えなかった世界は、誰とも共有できないからこそ強烈な、自分だけの、文字にならない「物語」です。これもゲームでなければ出来ない体験の一つと思います。ちなみに私がクリアできなかったゲームとして強烈に覚えているのは、邪聖剣ネクロマンサーですもうだめだ色んな意味で。もう私は「邪聖剣ネクロマンサー、クリアできなかったな…」と思ったまま死ぬんだきっと。でもそれを私は受け入れています。見られなかった映画や、読めなかった本とは違う形で。邪聖剣ネクロマンサーは、そういうタイトルとして、喜び8割後悔2割くらいで私の中にずっと残り続けています。多分この先も残り続けるのでしょう。

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話がちょっと逸れました。刀剣乱舞無双の話に戻ります。私自身は無双は遊んだことはあるけど別に追っかけてるほどではなく、無双シリーズは爽快なアクションゲームのビッグネームで、しっかり固定ファンを獲得している、というあたりは把握している程度。ですが今回無双シリーズの新作として刀剣乱舞無双を遊んだプレイヤーは、おそらく違和感や物足りなさを感じたのではと推測します。いくつかポイントを挙げるなら、まず難易度。本家無双は難易度設定が6段階?くらいあって最高難易度はかなり挑戦的、最低難易度でも、そこそこ指が忙しかったと記憶しています。対して刀剣乱舞無双は難易度設定は3段階のみで、最高難易度でも体感は本家の「易しい」とか「普通」(難易度2とか3)くらい?です。難易度の上がり方も緩やかで、個々の敵が固くなってるかなー?という程度。そして敵の数。無双シリーズといえば画面を埋め尽くすような大量の敵がもぞもぞとまさに虫めいて寄ってくるのをバッサバッサやるのが爽快で、時間遡行軍のビジュアルはまさに虫めいててぴったりなんだけど、いかんせん数が足りん。もっと出ろ。うぞうぞと。そして殆どのミッションでは「!」で示される敵(Named)を倒すことで状況が進みます。これもちょっと無双らしくない感じかも?(直近タイトルだとこうなのかな、まあ私の中の無双イメージです)戦い方も大群の中に突っ込んでいくのでなく、ヒット&アウェイが有効なあたりも、無双シリーズの新作というより、アクションゲームの入門タイトルという印象を受けます。

あと最初の章に、山姥切国広と山姥切長義が配置されているのも、これは随分大胆に審神者向けに振り切ったな、と思いました。刀剣乱舞無双での山姥切と長義は、もちろん「本科と写し」で、アクションの操作感もかなり似ています。中距離で攻撃の出もクイックで、素直な動かしやすい感じ。この二振りが「微細な違いはあっても基本的にそっくり」であることは、それはそれはもう審神者のツボをグイグイ突いてきます。いやもうほんと伯仲推し大丈夫かこれ?死なない?って私も思いましたやってて。同時に、山姥切と長義をこう描いてくれるということは、絶大な信頼にもなったでしょう。我々の期待は裏切られなかった、と。本当に素晴らしい采配でしたマジありがとうございます。でもこれ逆に無双シリーズファンは不満までは行かなくとも「へ?」というような肩透かし感や物足りなさもあったんじゃないでしょうか。だって序盤も序盤の第一ステージでは操作できるキャラが限られてるのはいいとして(プレイアブルキャラはゲームプレイが進むうちに順次開放されていくのがまあどんなゲームでも定番ですわな)でもそれが似たような操作感のキャラ二人なのは滅多ないでしょしかも無双で?とは私でもちょっと思いました。これキャラは開放されてるのに使えないの?遠距離(槍・薙刀)とか短距離(短刀・脇差)で遊びたかったらチュートリアル周回するしかないん?と。だもんで支援開いてからは色々使ったりしましたが、このストーリーを隅々までどっぷり味わうにはやっぱ山姥切と長義の二人で行きたいなあと葛藤したり。そしてこれもゲームならではと思います。できるけど、してもいいけど、自分がしたいと思うことを迷いながらも選べること。セオリーはあっても、強制ではない。自ら選び、自ら決めるゲームの根源的楽しさに至る道をこんなところまで丁寧に敷いてくれている…

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繰り返しになりますけど、刀剣乱舞無双は本当に諦めていない、妥協していないのだと思います。このゲームを遊んだ人たちが、このゲームの楽しさを知ってくれることをです。その案内人として美しい刀剣男士たち(スクショフォルダが無限に肥えていく…)は非常に優秀なナビゲーターですし、ゲームメーカーとして実にまっとうなビジネスとクリエイティブがきちんと両立した結果と思います。実況でなんでか急に思い出して口走ったんですけど、Mother2のコピーで「おとなもこどももおねーさんも」っていうのがあったんですよね。このコピーの意味は当然どんな人にも、ということでしょうけど、裏を返せば「おねーさん」はゲームを遊ぶ人ではなかった、ということです。その当時の認識としてはそういうことだったわけです。しかしまさにその当時に「ゲームを遊ぶおねーさん」であった私は、ようやく認識されつつあるのかと嬉しいような、落胆するような、複雑な気持ちを持ったのをちょっと覚えています。言うてMotherもmoonも全くやってないけど。それが今や「おねーさん」向けのゲームが初動11万本セールスを叩き出す!!!良い時代だ!!!!!最高ってやつだ!!!!!!!!!

そう、本来なら「おとなもこどももおねーさんも」なんですよ。この楽しさを知るのに、本来なら男女も年齢も関係ないはずだと信じ続け、でもやっぱ女性は可愛いゲームでないとやらないっしょ?といった言動を無数に浴び続け、ネトゲで出会う外人にはふざけたマム呼ばわり(いやほんとマジめっちゃ言うめっちゃマム言うあいつら)をされ続け、そんでもやっぱ私ゲーム好きだなあと今ここにいる、ゲーム好きな中年女性である私に、本当に染み渡りました。刀剣乱舞無双は、心尽くしのもてなしの塊でした。心尽くしのもてなしを受けたなら、そのもてなしを喜び、楽しみ、味わい尽くすが客の意気。たっぷり楽しませていただこうと思います。

↑は、PCダウンロード版高画質、操作モードは通常、難易度は難しいでストーリーモードを順次やっていく私の実況のプレイリストです。しばらくはだいたい夜の10時前後に2時間前後、くらいの感じでやってるので、よかったらお気軽に遊びに来てくださいな。チャット歓迎。あ、ネタバレいやな人はやってから来てね、絆会話以外何も隠さないからね。

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