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【バトスピ懐古話】ブルドラ1強環境【νジークフリード環境の裏側】

Twitterでオリジナル4コマ漫画を描いているワタルさんの作品、『カードゲームうさぎ~エピソード・ライ太~』を読んでいたら、ブルードラゴン(通称ブルドラ)というカードによる1強環境が到来していた。
しかし、ライ太と龍堂は
「この環境は自由枠が多く、ブルドラを入れた多くのデッキが生まれ、そして最後に洗練されたひとつのデッキが残る。面白くなるぞ。」
と言う。
他のデッキビルダー寄りのメンツはピンと来ないようで、
「そりゃブルドラ一色になるだろうよ。」
と。
この環境、自分も昔経験しており、ビルダーから競技プレイヤーを目指すきっかけにもなった環境でもある。
回りの人間に当時の環境を訊ねると
「クソ環境」
「おもんない」
「二度とやりたくない」
と大不評だったが、自分は違った。
それこそ多くのデッキが生まれ、そして洗練され、最後に残ったのはデッキ相性大会だったが、確かにそこにはメタゲームがあり、面白い環境だった。
そんなたった2枠でデッキとして成立したνジーク環境を、当時の記憶を掘り起こしながら綴りたい。
当時の雰囲気を少しでも感じて貰えれば本望。


νジークフリードの性能

バトスピダッシュデッキ【鉄壁ナル龍ト神】にて収録された煌臨スピリット。
煌臨条件こそ重いものの、当時はコストかさ増しなど多くの土壌が揃っており、このカードは瞬く間に環境を制圧した。

νガ○○ムは伊達じゃない!

要約すると、「煌臨時に指定した系統(種族)のブレイヴ(装備品)をデッキからタダ出し装備ながら、アタック中は効果受けないし、アタック後には起き上がる」というものである。
このカードだけなら、「アビスアポカリプス付けるか~」とか「ウスバカゲロウとかベオウルフ付けたら強くね!?」くらいのものだった。
が、流石はバトスピ運営。
何をトチ狂ったのか最強のブレイヴを同デッキに収録してしまった…

インビジブルクローク禁止って知ってる???

そう、アンブロッカブル(ブロック不可)を与えてしまったのである。
さらに、このカードは「ジーク」スピリットの合体上限数(普通は1枚しか装備できない)に含めないというおまけ付き。
そして当時の新ギミックとして登場した【装填】により、このカードに煌臨しても合体状態で場に出る。
しかもその状態でデッキから追加のブレイヴを呼べるため、νジーク1体とこのガンズ・バルムンクで3点×2=6点出せるのだ。
このゲームのライフは5点なので、単純に出したらほぼ勝つ。
ちなみにアンブロ付与するマジック(魔法カード)は禁止である。

まさにこのカードを通すか通させないかのνジーク大戦が幕を開けた。

2017年9月9日 バトスピダッシュデッキ【鉄壁ナル龍ト神】発売 ~ 9月末

発売当日、既に環境の半分はνジークといった感じで、死龍νジ、白重νジ、白紫ガチャνジ、青単νジ、青緑νジ、赤単νジ、詩姫νジなど、多くのデッキが生まれた。
出せば勝つが、お互い牽制し合うので足回りも強くないと普通に殴り殺されて終わるため、意外と速いだけのデッキが勝つ事も多かった。

一方その頃nezimakiは

白速というアーキタイプに「妖機妃ソール リバイバル」と「七海大名シロナガス」を入れ、ウィニー戦法を取りつつも相手のボードが強くなった頃にνジークを乗っけて勝つデッキを握っていた。

全部3枚+下のバルムンク1枚の構成

ナイトライダー効果で味方が死ぬと突然手札から出るソールは、νジークの煌臨コストを満たしており良い土台になる上、盤面で足りないアタッカーを補ってくれる。

シロナガスは全体除去能力も相まって紫相手に強く、当時流行っていたマグナマイザーをトリガー1点+1点でライフ3以下にされつつ、除去反応バーストで開いて追撃を許さずターンを貰える。
アタック時にアルティメットを破壊しながら1点ダメージを出せるので、シロナガス1点+νジーク2点×2で5点出して勝ちというプラン。

その他のパーツはドロソ対策のキシュードッグやオウシン、速攻小粒のクロムリゼルファーやタネガシマを採用し、νジークや下敷きを引きに行く青赤紫辺りをメタっての構成。
自分語りの方が長いけど許してほしい。コレが書きたかった。

色々あったが、この時一番人気だったのは白重(武装)νジーク。
そこに青単や青緑のνジークが負う形の環境。
自分はきっちり対策した上でνジークを使っていたので大会で当たったらラッキーゲームだった。
それでもカジュアルプレイヤーの多いこのゲームでは突破力のあるデッキが強く、青緑νジークは最速で後攻1キルというとんでもない速度を持っており、白重νジークは抜群の安定感と盤面揃ったときの高い性能で、並のデッキでは対策できなかった。

2017年9月30日 コラボブースター【デジモン超進化!】発売~10月末

予てより期待されていた新規のオメガモン、その強さは図りしれず、シン・ジークフリードから繋げて煌臨することが可能であり、νジークのように引き事故を気にせずに好きなだけ重ねながら乗ることでライフを詰めることが可能に。
また、ウォーグレイモンもシンジーク同様にソウルコアの回収が可能で、オメガモンの前に3枚乗った上でオメガモン効果でライフを掻っ攫うこともしばしば。

防御札と煌臨カードをかき集める赤白オメガが環境に爆誕。
環境は紫マグナマイザー、赤白オメガ、その他大勢のνジークという構図に。
強弱で言うとどれも勝っており、安定志向なら紫マグナや青緑νジ、爆発力狙いなら赤白オメガといったところ。
多分この頃のデッキは禁止制限ぶち込まれたカード多いので今組んでも楽しい。

2017年10月28日 煌臨編 第3章【革命ノ神器】発売 ~ 11月中旬

このパックでは、煌臨をより面白く遊ぶギミックが盛りだくさんで、海賊デッキの新たな軸が登場し、より盛り上がりを見せる!

はずだった…

νジークは強力なものの、バースト(伏せカード)+防御札という構成で止められることが増え、絶甲氷盾とかいう6年前のカードまで使われる始末。
が、流石はバトスピ運営。
そこはわかっている。
そう、バースト破棄(伏せカード破壊)である。

バースト破棄に除去まで付けたら強い!
あたりめーだろバカ

何故かフラッシュタイミングでの除去も付いてしまっているが、アンブロ付与するため既に誤差である。
また、元のガンズバルムンクと系統が1個違うため、νジークの系統指定でどちらかを選ぶ事が可能(武装か動器で選べる)。
このカードの強さは普通に使っても強いことであり、白重がとりあえず入れとけみたいなレベルだったので非常に迷惑。
他のデッキでも1枚積んでおけばνジークでの選択肢が増えるので相性が良かった。

そして、既に壊れたこの環境を最後まで壊し続けた最強の一枚が刷られてしまう…

ドルガンチュリスもびっくりの除去付き最強カタパルト

全バトスピ競技界隈に衝撃走る。
青緑νジークは、ドロソを回しまくるためνジークを手に入れやすいが、先にブレイヴを引いてしまうと腐るという難点があった。
それを強みに変えてしまえる、当時としてはXレアで封入されても不思議では無いレベルの強力な能力。
しかも2軽減1コストで打てると来た。

これにより環境は青緑νジーク1強への階段を歩んでゆく…

と思ったが、他のデッキも実は強化されており、なんだかんだνジークは対策されすぎて勝てない事もしばしば。
正直、自分の入れたいカードしかデッキに入れないようなカジュアル勢が割りを食っているが、競技プレイヤーからすると「νジークをバチバチに対策したデッキを使う」か「最強のνジークを使う」かの2択であり、その中でさらにメタゲームは細分化されていく事となる。


2017年11月18日 メガデッキ【暁ノ忍法帳】/メガデッキ【双黒ノ龍皇】発売

発売後、最初に結果を残し始めたのは紫単だった。
直前に発売されたメガデッキ【双黒ノ龍皇】に収録されていた「魔界皇龍ダークヴルム・レガリア」が強力で、コスト3以上煌臨かつ、コスト3/4に煌臨する際にソウルコアを消費しないため、そのままνジークに煌臨できる。

多くのデッキの可用性を広げた神のカード。
イラストかっこよすぎだろ!

このギミックの他にも、味方が破壊されるとタダ出しできる幽騎士ナイトライダー リバイバルや、破壊時バーストの装填持ちブレイブの天冥銃アーミラリー・スフィアなども搭載され、多角的に攻められた。

また、νジークと同じデッキに収録されている「ランパート・ウォール」は、引いてしまったブレイブを出しつつνジークの下敷きを用意できるため、ウィニーの紫単とは相性が良かった。

手札回復とブレイヴのタダ出しと防御がこの1枚で!
(????)

こうして、雑速νジークという意味不明アーキタイプが完成してしまった。
他にも、シキツルやジャコウキャットのような優秀な3~4コスト帯を主軸にした白紫νジークや、征矢龍ビョウハを使った赤単覚醒νジークなど、多くのデッキが生まれることとなる。

そして、もう一つのメガデッキ【暁ノ忍法帳】には、とんでもなく優秀な忍風スピリットが多く収録されており、【双黒ノ龍皇】が環境の可用性を広げた反面、【暁ノ忍法帳】は環境の一角となり多数のデッキを殺したデッキとも言える。
大型でありながら強力なSバースト持ちの四十四代目異牙忍頭首シシノビや、1枚でゲームを決めてしまう性能を秘めた忍頭領ソウルドラゴン・焔影など、その後の環境の中心となったパワカのオンパレードである。

一方実際の環境は…
未だに武装νジークが人気ではあったが、紫マグナマイザーや忍風、新規勢力のダイムザークアクセルなど、多くのデッキが対νジークを想定しせめぎ合っていた。
νジークを中心とした歪な環境ではあったが、νジークを抑え込む形で確かにメタゲームは動いていた。

そして、その裏では年末最大の大会が開かれようとしていた…


12/2 キング杯 開催

予てより大々的に告知されていた大型大会、キング杯開催。
バトスピ声優のキング喜山茂雄さん主催のこの大会は、νジークの跋扈する阿鼻叫喚の地獄となるはずだった…

メタゲームの中心にはやはりνジーク。
武装νジーク、紫νジーク、青緑νジークがそれぞれ環境の突破口をこじ開けようとしていた。
対するは新規を得た忍風、海賊、紫マグナ、ダイムザークアクセル、その他大勢のデッキ。

その環境で見事1位を手にしたのは…

おめでとうございます。

増殖ループだった…

増殖とは、召喚時能力によってデッキトップを2枚見て、特定のカードであれば場に出すという能力。
当然次の増殖持ちを出せばチェインする。
これによって欲しいカードを掘るのだが、このデッキに採用されているゴッドアップルリバーというカード、増殖で捲れたらタダ出しできる能力を持っている。

ネクサスには維持コストがないため、シンボルのかさ増しをすることによって重たいカードへとつなげる事が可能なのだ。
そして何より、Lv1から発動する「お互いのデッキは破棄されない」能力が強力で、νジークは煌臨時に自分のデッキを破棄しながらブレイヴを探す。
つまり、てきとうに増殖で捲ってるだけで相手のνジークは機能不全となる。
これにて、νジークへの完全な回答を持ちつつ、デッキとしての完成度の高い増殖ループが環境の覇者となった。

自分の記憶はここの辺りで止まっている。


最後に

この後制限やらなんやらあってνジークというデッキは死に、◯◯デッキ+νジークみたいなオマケとして採用するデッキはたくさんおり、やはりその強さはアレから6年経った今でも健在らしい。
え、あれから6年!?
この環境の前にも、増殖1強環境もあり、そちらも語りたかったりするが、「バトスピのブルードラゴン」と言えばこのカードであったため、少し語りたかった。
少しでも当時の雰囲気や、多くのデッキが生まれ、淘汰され、残った最強のデッキすらメタゲームの一角に取り込まれ収束して行った競技勢の試行錯誤の跡を感じて貰えたら本望です。

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