下地のりこ作品の魅力

まぁ、普通に面白い漫画家さんはそれなりにいるし、4コマ漫画界だって人材はそれなりに豊富。「唯一無二」の漫画家自体そうそういるもんじゃないというのが、編集の現場に携わる人間としての偽らざる心境だ。

では、そんな現実にあって、彼女の漫画作品の魅力はどこにあるのかというと、「一筋縄でいかない雰囲気」とでもいったものだ。これはひとえに、彼女の生まれ育った環境や文化によって培われてきた魅力である。一言でいうと「人となり」と呼ばれる「魅力」だ。

下地のりこ作品は、その「ひととなり」が、強烈ではないが、ほんのりと匂うように作品にまとわりついている点が、なんとも楽しいのである。もちろん4コマ漫画の王道である「笑い」のタイミングもしかり、「毒」もしかり、「ほっこり」もしかり。極端な印象を与える作品こそ少ないのだが、どことなく読後の印象が後ろ髪にまとわりつき(フルタイム坊主頭なのだけれど)、再び「読みたい」と思わせる読後感を引き立てている。

こういう漫画家はあまり多くない。しかし、多くはないのだが、それがゆえに、コミックスを出す機会にはあまり恵まれないのも確か。いわば、漫画家としては「職人」と呼ばれる人が多いのである。

「職人」漫画家の多くは、驚くほど幅広い作品を残す。実際彼女も、いわゆるホームコメディからゲームアンソロジー、ペット漫画、実話物など、守備範囲の広さは特筆ものだ。

今回、以前から彼女に「私が死ぬまでに是非とも下地さんのコミックスを」と繰り返していた譫言(彼女自身、本気にしていなかったのではないか)のひとつを実現できたのは、編集者として彼女の才能を愛している者のひとりとして、非常にうれしいことである。

作品を作り出す上で、漫画家の「人となり」は、実に重要な要素だ。

これが表に出せない漫画家は、漫画家としての発展性に限界があると言っていい。

いい意味でも悪い意味でも、他者と違う自分らしさ。

私はときどき、それを「ダークサイド」とも表現するが、その「人となり」こそが、、漫画家のオリジナリティそのものであり、流行り廃りの多いこの業界にあって、読者の心に残ってゆくものなのである。

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