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誰もが安心して暮らせる地域共生社会を目指して:令和5年版 厚生労働白書から考える


「少子高齢化が進む中で、社会保障制度の改革が急務だ」- このフレーズ、もはや耳にタコができるほどですよね。でも、具体的にどんな課題があるのか、どんな対策が考えられているのか、イマイチピンとこない人も多いのではないでしょうか?

令和5年版 厚生労働白書は、私たちが直面する社会の課題と、それを克服するための「つながり・支え合い」のある地域共生社会の実現に向けて、様々な政策課題とその対応を詳しく解説しています。今回は、この白書の内容を参考に、誰もが安心して暮らせる未来に向けて、私たち一人ひとりができることを考えてみましょう。

1. 社会は大きく変化している:高齢化、人口減少、そして家族形態の変化

白書によると、日本は本格的な少子高齢化・人口減少時代を迎えています。2070年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は約39%に達すると推計されています。

少子化の要因は様々ですが、経済的な不安や、子育てにかかる時間と費用の負担などが大きいことが挙げられます。また、結婚や出産に対する価値観が多様化し、従来の「結婚して子どもを産む」というライフスタイルを選ばない人も増えています。

さらに、核家族化や単身世帯の増加により、家族が担ってきた助け合いの機能は低下しつつあります。高齢者の単身世帯は増加し続け、孤独・孤立感が高まっている現状も深刻です。

2. 複雑化する課題:制度の枠組みを超えた支援が必要

高齢者、障害者、子どもなど、従来は属性別に福祉制度が整備されてきました。しかし、現代社会では、これらの制度だけでは対応できない複雑な課題が数多く存在します。

例えば、ひきこもり状態や社会的孤立など、従来の制度の枠組みには当てはまらない課題。高齢の親と働いていない独身の50代の子どもが同居する「8050問題」や、育児と介護のダブルケアなど、複数の課題が重なり合う複合的なニーズ。そして、セルフ・ネグレクトなど、本人自身も支援を必要としていることに気づいていないケースなどです。

これらの課題を解決するには、従来の「縦割り」の制度や、分野を超えた連携が不可欠です。

3. 地域共生社会の実現に向けて:新しい「つながり・支え合い」の形

白書では、ポストコロナの時代に対応した、新たな「つながり・支え合い」のある地域共生社会の実現に向けて、以下の3つの取組みが提唱されています。

  • 包摂的な「つながり・支え合い」: 属性や世代を超えて、誰もが「支え手」「受け手」になれる社会を目指し、包括的な支援体制の構築が重要です。生活困窮者自立支援制度、重層的支援体制整備事業といった包括的な支援の仕組みが整備されつつあります。

  • 「住まい」から始まる支援: 住まいは生活の基盤であり、安心して暮らせる環境の整備が重要です。生活困窮者自立支援制度や住宅セーフティネット制度などにより、住まいに関する支援が進められています。

  • デジタルを活用した「つながり・支え合い」: オンラインでの交流や情報共有、遠隔医療など、デジタル技術を活用することで、物理的な距離や時間の制限を超えて、人々がつながり、助け合える環境が構築できます。

4. 地域を活性化する多様な主体の参画

地域共生社会の実現には、行政だけでなく、住民、NPO法人、企業、労働者協同組合など、様々な主体の参画が不可欠です。

  • 労働者協同組合: 地域で働く場を作り、地域課題を解決する新しい形の法人として、注目されています。

  • NPO法人やボランティア団体: 地域の課題解決やコミュニティづくりに貢献しています。

  • 企業: 地域との連携を強化し、社会貢献活動や地域課題解決に積極的に取り組んでいます。

これらの主体が連携し、それぞれの強みを活かすことで、地域社会はより豊かになっていくでしょう。

5. 私たち一人ひとりができること

地域共生社会の実現は、政府や自治体、企業などの努力だけでは成し遂げられません。 私たち一人ひとりが、地域社会への関心を持ち、積極的に参加することが重要です。

  • 地域活動への参加: ボランティアや地域のイベントに参加することで、地域の人々と交流し、地域課題について知ることができます。

  • 地域課題への関心: 地域で起こっている問題や困っている人々に目を向け、自分事として考えてみましょう。

  • デジタル技術の活用: オンラインでの交流や情報収集などを積極的に活用することで、地域社会への参加を促進することができます。

地域共生社会の実現は、一朝一夕にできるものではありません。しかし、一人ひとりが 行動を起こすことで、より住みよい地域社会を築いていくことができるはずです。 令和5年版 厚生労働白書は、私たちに、社会の課題と、その解決に向けて進むべき方向性を

示しています。この白書の内容を参考に、自分たちの未来を創造していくために、共に 考えて行動していきましょう。