【野村高文】「よくわからないもの」に出会う場を大切に #NewsPicksアカデミアレター
NewsPicksアカデミア公式noteでは、毎週金曜日に運営メンバーからのメッセージをリレー形式でお届けしています。今回のテーマは『おすすめの動画』。アカデミアのマネージャー・野村が、アートの魅力を絡めながら『アートの経済学』のイベントアーカイブ動画について語ります。
こんにちは、NewsPicksアカデミア マネージャーの野村です。
私はアカデミアの仕事をする傍らで、編集者として記事を書くこともあるのですが、先日、「アートビジネスの教科書」という特集を担当しました。
(日付を見て、すでに3カ月前であることに驚愕しました。月日が経つのは早いですね…)
特集では、アートの中でも特に現代アートにフォーカスを当て、作品の周囲にはどのようなプレーヤーがいるのか、どのような歴史があるのか、我々がそれらを鑑賞する意味は、といったテーマで深掘りしていきました。
現代アートというと、少し身構える方もいるかもしれません。無造作に点や線が散らばっているだけの作品を見て、「これのどこがアート?」「この作品をどうやって解釈したらいいの?」と思うこともあるでしょう。
そのような方には、「現代アートとは何か」をスライド形式でまとめた、以下の記事がおすすめです。現代アートとは、社会の批評性を感じさせる作品のこと。社会のメインストリームに対しては、必ず反発するカウンターパートが現れる。そこを注意深く観察すると、アートの芽が発見できる、というのが記事の趣旨です。
【スライド】今さら聞けない、現代アートの歴史と読み解き方
さて、私は芸術系のバックグラウンドを持っているわけではありませんが、アートを鑑賞するのが好きです。しかも、印象派絵画のような「わかりやすい」作品ではなく、現代アートのような「一見、よくわからない」作品を見ると気分が上がります。
それはなぜか。「よくわからない」作品は、普段の生活を営む上では絶対に出会わない光景を見せてくれるからです。
普段出会わない光景を目にすると、脳が混乱します。ハテナマークがいくつも頭に浮かびます。考えても解釈できることなどほとんどないのですが、それでも何かしらの感情は浮かんできます。そうした感情に出会うために、一度脳内回路を正常なコースから飛ばしてみる。現代アートには、そんな役割があると私は考えています。
よくわからないものほど面白い。私が旅が好きだったり、突飛なことを言う人物に惹かれるのも、そうした性格があるのかもしれません。
しかしこれも、ある程度の一般性はあると思います。インターネットやスマホという単語を持ち出すまでもなく、現代は「正解」が簡単に手に入る時代です。どこかに行こうとしたとき、何かをやろうとしたとき、その先に何が待っているか、下調べはある程度できてしまいます。
ただ、ネット検索によって「正解」を掴むことに慣れていると、すべての動きが「行程通り」になり、普段は奥底に眠っている自分の興味や願望、深層意識に気づくことはありません。そうした限界を超える力を与えてくれるのが、「よくわからないもの」に出会う経験であり、それを短時間で安価に味わえるのが、現代アート鑑賞だと思います。
ちなみに私は、吉原治良や李禹煥のような、シンプルな図形の中に意志を感じさせる作品が好きなのですが、作品の造形そのものよりも、「それを見て、自分は何を思うか」を観察するようにしています。作品に余白がある分、毎回頭に浮かぶものが違い、その時々の自分の状態を反映しているようで面白く感じます。
と、これをお読みになって、もっと深くアートの世界が知りたいという方は、アマチュア愛好家の私よりも、プロの話を聞いたほうがいいでしょう。
東京画廊代表・山本豊津さんに登壇いただいたイベント「アートの経済学」は、アートの構造を読み解きながら、資本主義社会やビジネスを考える上でのヒントを探っていくという内容です。
山本さんには何度も取材をしているのですが、その都度、広範な知識とストーリーテリングの力に驚かざるをえません。
これをお読みの方が、今後現代アートを鑑賞する「補助線」として、ぜひご覧になっていただけると嬉しいです。
野村 高文
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