ほんとのところ、腹式呼吸って意味わかりません!
腹式呼吸は本当に重要?
「腹式呼吸」
多分どこのどのボイストレーニングを受けてもこの言葉を聞かない事はないでしょう。
きっと皆さんも一度は腹式呼吸という言葉を聞いた事があると思います。
でも果たして何人の人が正しく理解して正しい腹式呼吸が出来ているのでしょうか?
生徒さんからこんな質問をよく聞きます。
『以前に他のボイストレーニングでレッスンを受けていて講師に「腹式呼吸、腹式呼吸」と事あるごとに言われてきました。
でも正直いってまだよくわかりません。それどころか今では「腹式呼吸」と聞く度に嫌になってしまいます。
そもそも「腹式呼吸」とはどういうものなのでしょうか?
そんなに難しいものなのでしょうか。
日常生活において腹式呼吸をしている
<シチュエーションをイメージしてください>
あなたが街を歩いていて目の前にあなたの仲のいい友達を見つけました。
友達はあなたの事に気がついていません。
その友達には以前同じようなシチュエーションで急に声をかけられ思わずその場でひっくりかえりそうになってしまった事があるので今日はしかえしをしようとあなたは決めました。
あなたはそっと近づいて友達が腰がぬける程びっくりさせようと思い、
「わっ!」
とかけ声をかけます。
あなたは友達が驚いて腰をぬかす「絵」をイメージし、「わっ!」とかけ声をかけるはずです。ただし大声だと周りの人までびっくりさせてしまい危険な人だと思われるので、自然に声の大きさは抑えられているはずです。
その時あなたが出したかけ声があなたの「本当の声」で腹式呼吸で発している声なのです。
かけ声をかけた事のない人はいないと思います。そうあなたはもうとっくに腹式呼吸をしているのです。
でもここで疑問が生じるはずです。
なぜ歌を歌う時に腹式呼吸が出来ないのでしょうか?
ここが問題なのです。
腹式呼吸は「無意識」が大事
先程の街でのシチュエーションを思い出して下さい。
あなたはかけ声をかける時に大きい声を出そうとか、お腹を使って声を出そうなんて考えていなかったはずです。
ただひたすら友達が腰をぬかすように願いながら無意識に声を出しただけだと思います。
そう、この「無意識」が大事なのです。
実はほとんどの動物が腹式呼吸で呼吸しています。
例えば、犬。
吠える時を思い出してみて下さい。
吠えている時、横隔膜がぐっとあがっているのが見えると思います。
小さな犬であってもあれだけ大きな「声」が出ているというのは腹式呼吸で呼吸している以外のなにものでもないです。
犬をはじめほとんどの動物が出来ている事が人間が出来ない...なぜでしょう?
もうおわかりですね。
「意識」しているからです。
犬が吠える時きっと「意識」していないと思います。
実は人間も赤ちゃんの時、子供のときは腹式呼吸で呼吸します。
それが大人になるにしたがって進化?(もしかしたら退化)して胸式呼吸で呼吸するようになっていくのです。
ただ大人であっても睡眠の時は腹式呼吸で呼吸しています。
「腹式呼吸」を使いこなすための第一歩
あなたは腹式呼吸を使って自分の好きな曲を上手く歌えるようになりたいと思っているはずです。
そのためにやって頂きたい事があります。
それは街でのシチュエーションで出していた「いい声でかけ声」です。
「いいかけ声」を出せた時は何かが破裂したようなインパクトが自分の中で広がり頭の上から気持ちよく抜けていく感じがします。
やってみると分かると思いますが、街でのシチュエーションでは簡単に出せていたかけ声がなかなかうまくいかないはずです。
それは街でのシチュエーションでは無意識だったのが今は意識的にかけ声をかけようとしているからです。
変な日本語ですが「意識して無意識に『かけ声』をかける」練習をするのです。
最初は一回づつ、なれてきたら連続してかけ声をかけます。
ここで注意して頂きたいのは、「重要なのは声の大きさではなくタイミング」だということ。
お腹からの「空気球」がタイミングよく口から出れば「会心のかけ声」になるのです。
会心のかけ声が、コンスタントに出るようになれば、だんだんそのかけ声が大きくなるようにします。
他の人から見たら気が狂ったか?と見えるかも知れませんが、これが「腹式呼吸でスタッカートを発声する第一歩」なのです。
一見回り道に見えるかもしれませんが、大事な第一歩なのです。
毎晩寝る前に「腹式呼吸」をチェックしよう
もうひとつ。毎晩ねるときにあおむけになって普通に呼吸してみてください。
呼吸する度にお腹が上下するはずです。
もっと分かりやすくするためには、自分のお腹が見えるよう枕を後頭部にずらし、お腹の上にCDや単行本など余り重くないものをのせてみるのも良い方法です。
お腹の上の物が上下に移動していれば、あなたは腹式呼吸をしている事になります。
この感覚を「頭」ではなく「体」で覚えてください。
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