見出し画像

Spoon test ベッドサイドでの自律神経評価

皮膚の自律神経を評価する方法として温熱性発汗検査(thermoregulatory sweat test: TST)がある。しかしこの検査は特殊な機器が必要で、高価であり時間も要する。また患者にとっても手間のかかるものである。このTSTの必要か否か検討するのに、ベッドサイドテストで患者をスクリーニングすることは有用である。
1964年にErnest Borsらは30人の患者を対象にSpoon testを行い、neurodermometerで得られた結果を比較し高い精度で相関していたと報告されている1)。また1985年にもTsementzisらからSpoon testの報告がある2)。
2017年には130人の健常者と16人の無汗症患者を対象に他の4つのベッドサイドでできる診察(視診、光を利用した視診、拡大鏡、触診)と比較してSpoon testの感度・特異度を評価した論文が報告されている3)。これによれば、感度は首で86%、胸部で58%、前額部で51%で、特異度はほぼすべての体の部位で100%(胸部が81%、首が50%であるのを除く)であった。他の診察と比較して、感度はより高く、胸部・首、前額部の発汗を評価するためのベッドサイドスクリーニングとして有用であると結論している。

Spoon testの方法
一般的に家庭で使用するスプーンを使用する。スプーンの凸面を患者の皮膚に接触させるようにおき、スプーンの重さのみが皮膚にかかるように親指と人差し指で把持し、そしてそのまま、スプーンを引く。
乾燥した皮膚の場合にはスプーンは抵抗なく引くことができるが、湿潤した皮膚と接触すると引く際に抵抗がかかるようになる。

スクリーンショット 2021-02-25 18.07.34

スクリーンショット 2021-02-25 18.09.55

引用
1)Bors, E. Simple methods of examination in paraplegia: I. the spoon test. Spinal Cord 2, 17–19 (1964). https://doi.org/10.1038/sc.1964.4
2)Tsementzis SA, Hitchcock ER (1985) The spoon test: a simple bedside test for assessing sudomotor autonomic failure. J Neurol Neurosurg Psychiatry 48:378–380
3)Khurana, R.K., Russell, C. The spoon test: a valid and reliable bedside test to assess sudomotor function. Clin Auton Res 27, 91–95 (2017). https://doi.org/10.1007/s10286-017-0401-2