アルバム「DayDreaming」制作日記#1
恵まれた環境で生まれた私は、
とても負けず嫌いで、見栄っ張りで、弱かった。
寂しがりで、気にしいで、強かった。
あるとき、どこかで会った名前も性別も分からない人が、
「君との時間はまるで白昼夢のようで、今でもぼやぁっとしているんだ。」
って言ってくれた。
凄く印象に残っていた、春。
向こうからは電車の心地よい走る音がたまにきこえる。
私は大きい心の傷を負った後、乗り越える力を貰って歩き始めたばかりの頃だった。
毎日、なんでもないことを話していたと思う。
その人の帰りを待って、自分も忙しかったと話す。
本当は大して仕事はないのに、帰ってくるまで仕事のフリをよくしてた。
話せば話すほど、自分の持っているものがなくなってきて、
会話のない時間も多くなった。
段々、その人は私を見失い始めて、
自分ばかりと会話するようになった。
私はなんだか、自分がその人の鏡になってしまったような気がして、
そそくさと離れてしまった。
離れるとき、その人が言った言葉の続きを思い出す。
「白昼夢のようで、ぼやぁっとしているんだ。僕が…じゃなくて、君が。」
「急にいなくなったとしても、まるで最初から夢だった、と思うくらいに。」
「本当に君は存在していたのかな?って。」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?