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同人字書きが絵の練習をして半年が経った

学生時代の美術の実技成績は2〜3。筆記試験でなんとか4にしていたような二次創作字書きが半年間イラストを描く練習をした備忘録です。

※紹介している商品はすべてアフィじゃないですが本は売れた方がいいので載せます

なんで練習しようと思ったの?
半年間不定期連載していたシリーズものを完結させガス欠になり、字が書けなくなったからです。ちょうどiPadを新調した直後でリンゴペンを買い足して気分転換になればいいと思いました、当時は。
しかし、今までイラストは見る専。絵描きさんの描く推しを見てニヤニヤしていただけの字書きは何から始めていいかが分かりません。ペンを持って固まる始末。
ネット上に溢れる親切な初心者講座や動画を見ても、基礎知識がないので何を言っているのか理解ができない。そう、初心者ですらなかったのです。

でももうリンゴペン買っちゃったしやるしかない。


本があればなんでもできる

私はかつて美術書を担当していたことがあり、当時売れていた本の記憶や評判、出版社さんのお話を聞いていた経験をいかすことにしました。
自分には動画やネットで公開されている練習方法があっているのか間違っているのかも判断できず……。そこで。

彩流社「絵はすぐに上手くならない」成富ミヲリ著

技術書ではなく指南書です。
漠然とした「絵を描いてみたい」という私に「じゃあどうすればいいのか」を教えてくれた本です。各分野ごとに必要な能力と、その能力を伸ばすためにはどういったトレーニングをすればいいか、が書かれています。
筋トレに例えると、サッカーが上手くなりたい→下半身を鍛えよう→下半身の筋トレはスクワット!って教えてくれてる感じです(とてもざっくり)
タイトルの「絵はすぐに上手くならない」の意味は、すぐに伸ばせる能力とそうではない能力がある、と。
この本で「漫画を描くこと」と「コンセプトアートを描くこと」は別の能力であることがわかりました。

これはもう読んでくださいしか言えない。書かれているテストをして、うまいヘタ関係なく自分の持っている能力と足りない能力を把握できます。

プロの人たちがそれこそ常人では考えられないほどの地道な努力をされていることも知れました……何年間も毎日デッサン何時間もはすげえや……。逆に自分は気楽に毎日ちょっとずつやろうと思えました。
練習時間は3ヶ月目までは毎朝30分〜1時間くらい。4ヶ月目からは私生活が忙しくなったので10分〜20分くらいです。ほぼ毎日。休みの日にまとまった時間を充てることはありました。年末年始や体調が悪い日はやってません。

1ヶ月目

とりあえず、見て描く力を伸ばすらしいクロッキーをしましょう。

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こいつぁヤベェや。人間ってなんだ?そもそもノートに描ききれていない。空間把握能力が皆無。股間の線is何。

まず、人間がわからないことが分かったので、一番モチベの高いであろう最初に一番基本で面倒であることをしましょう。後回しにすると絶対にやらない。
夏休みの宿題は初日からダラダラやってはいたけど最終日に嫌いな科目を残す人間なので……。

何を描くにしても必要な「美術解剖学」であります。

※人骨の絵が出てくるので苦手な人はこの先注意!

説明するまでもない有名本ですね。人骨から筋肉のつき方まで描く方法を教えてくれるので最初のページからノートに要点を書き留めつつ模写をしていました。

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※出版社さんから模写掲載の許可済です

字が汚いですね、薄目で見てください。
最初の1ヶ月はひたすらこの本と睨めっこしていましたが、筋肉をつけていきましょうのページで作者さんが「筋肉は重なり合っているのでデジタルで描く人はレイヤーを使うと楽です」とおっしゃっていまして。
ここいらで同時にiPadで描く練習もぼちぼち始めようと筋肉はアプリの解説を見ながら四苦八苦しつつアイビスペイントでも描いていました。まだクリスタに課金するか迷っていた(筋肉の絵も載せようと思っていましたがグロいのでやめました)

アイビスペイントはとても使いやすくわかりやすいUIで、デジタルでの描き始めによかったです。無料でいいんか?最初からクリスタだと機能が多すぎて混乱してやめていたかもしれない……。

本はお高めですが、この1ヶ月で棒人間とおさるのジ○ージとドラ○もんの顔しか描けなかったのになんとなく人体っぽいものを描けるようになったのと今後もお世話になるのでプライスレスです。


2ヶ月目

前述の「絵はすぐに上手くならない」で紹介されていた本2冊

マール社「やさしい人物画」は1976年、嶋田出版「人体のデッサン技法」は1987年発行の本ですが2冊とも絵を描く人にとっては避けて通れない本らしいです(そう書いてあったのでそうなんでしょう)
「やさしい人物画」に書かれている内容は結局2割くらいしか理解できなかった。でも最初のページから模写するだけでも十分だと思います。ルーミスさんがすごい人なのはわかりました。アート寄りかしら。

「やさしい人物画」で比率とか目線の位置(アイレベル)という言葉を覚えました。あとは平面上で立体的に見せる方法でしょうか。

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※出版社さんから模写掲載の許可済です。

ジャック・ハム「人体のデッサン技法」はより親しみやすいというか、漫画やイラストを描くのに適した本だと思います。この2冊の違いは絵に詳しい人たちがたくさん比較してレビューしてるので検索してみると良いかもです。

同時に風景画と動物画の練習も始めました。両方とも描けたら楽しいだろうと思っていたので。超巨大生物と女の子の組み合わせが好き。

透視法の描き方をとても丁寧に教えてくれています。質感表現や、人物を落とし込む際のコツなども。

先述のジャック・ハムさんの人物画の本が良かったので動物のも読みました。猫科と馬に多くページ数を割かれていて、骨格から解説してくれてます。

一枚絵を書いて、パース補助線のあるクリスタに移行した時期。

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今見ると粗もあって雑なんですが、フォロワーさんたちがめちゃくちゃ優しくて空気感を褒めてくれたので調子に乗った覚えがあります。褒めて伸ばしてくれるタイプですか?
「上手い絵」の定義は分からないけど、自分が好きだと思えるイラストを描きたいな、と思い始めたのがこの頃です。

3ヶ月目

引き続き動物画と風景画を練習しつつ、ここいらで漫画に挑戦をしてみますが「あ、向いてない」ってなりました。根が字書きなんですね。物語なら字を書いているほうが楽しくて自分には合っていると気がつけたので一枚絵を描く練習に集中することに。気がつくのが遅い。
ちなみに字を書くのは解剖学が終わったあたりくらいからぽちぽち復活してました。毎日の練習以外では文が書けない時は絵を描く、という双方に良い影響を与えております。たぶん。

ボーンデジタル「たてなか流クイックスケッチ」

この後の4〜5ヶ月目はとても忙しくなることが決まっていたので、短時間クロッキーを毎日10〜20分やろうと読みました。

実は1ヶ月目にも5分や10分のクロッキーはやっていたのですが全然面白くなくて挫折しており……しかし、この本を読んで意識が変わり、とにかく楽しく短時間でさっとかけるノウハウが詰まっていてこの半年で一番衝撃を受けた本です。

クイックスケッチ、ジェスチャードローイングと呼ばれる1〜2分でモデルさんの動きや自分が感じた印象を描くのに特化した内容で、とにかく楽しく描くことに重きを置いているので、解剖学や正確にデッサンを取ろうと疲れちゃった人にも良いと思います。

出版してるボーンデジタルさんが作成しているジェスチャードローイング動画「#じぇすどろパーティ」が毎週木曜に配信されているので自分で描いてみた後に、たてなか先生のツイッターを見て「すごい〜」って唸ったりしています。

ジェスドロパーティ以外の日は海外サイトのクロッキーズカフェを見ながら毎日10〜20分間やっています。(1分×5、2分×4、5分×1が多い)終わったあとは赤い色鉛筆で反省したりメモして、さらに時間があれば不自然な箇所を「ソッカの美術解剖学ノート」で見直してますが時間がない時はそのままです。
長く楽しく続けられる方を選ぶようにしています。

1ヶ月目に書いていたクロッキー10分(before)

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10分で必死に書いているのが伝わってきますね!消しゴムの跡も見えます。
Line of Action(海外サイト)のFigureDrawingです。時間指定で写真が切り替わっていくのと、ヌード着衣・性別・年齢も細かく決められますし動物や手の写真もあって静止画模写に良いと思います。着衣モードにするとなぜかドンキ○ーテで買ったコスプレ着てる人が出てきたりしますが。

「たてなか流クイックスケッチ」を読んだ後の45秒、1分、5分(after)

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5ヶ月目のですかね。こちらはクロッキーズカフェ。10分→5分になったのに描き込み量が増えています。この日はまさかの15秒から始まってめちゃくちゃ焦った。1分の背中と肩が納得いかなかった日ですね。字が雑なのはもう薄目どころか目を瞑ってください。


4ヶ月目

ぼちぼち一枚絵を完成させることもできるようになったのですが私生活が忙しく、予定通り毎日10〜20分だけジェスチャードローイングをしていました。
この習慣は今でも続いており、今後も続ける予定です。楽しいのでおすすめです。

まとまった時間絵は描けていませんが、一枚絵を描けるようになると決めてから買った本を読んではいました。

さいとうなおき先生が動画で紹介していた本ですね。購入したのは2ヶ月目だったと思うのですが当時は専門用語が理解できず、ざっと流した後積んでいたもの。
「ライン」「シェイプ」「明度」「色」「光」「カメラ」の順に観ている人に何を訴えかけられるかをわかりやすい簡素化された絵で説明してくれています。タイトルのとおりVision=視覚でストーリーを考えるもので、まだ全部理解できていないので長い付き合いになりそうです。こちらもプライスレス。

ついでにプライムアンリミテッドに加入していたので
構図はカメラ
パースは建築関連
色塗りは配色辞典や色彩学
アナログの水彩や油絵の技法書や画集、偉人の美術史
等々、美術書以外にも移動時間に専門書を片っ端から読み漁ってました。
美術書担当時代の名残で画集や写真集も多く所持していたので、本棚ひっくりかえして当時は分からなかったすごい技法に感心したりも。

5ヶ月目

DMMさんの電子書籍70%オフです!たくさん買おうかなと意気込んでいたのですがとっ散らかりそうだったので、今自分に必要な、知りたいと思える本を3冊買いました。

服の構造から様々な角度までこれ一冊あれば足りそうです。あまりに服に興味がなさすぎて(クソダサセンスのため)描くのが億劫だった服のシワも、先ほどのジェスチャードローイングの一環で体の立体感や動きを表現する材料と理解してからは苦じゃなくなりました。


背景ってなに?から始まって順に丁寧に説明してくれているので、デジタルで描くことにやっと慣れてきた今の自分のレベルに合っていました。順に追って学んでいけばひととおりの背景が描けるようになっています。特典でメイキング動画とフォトショのペン付き。クリスタでも互換性あります。


特典がすごい。線画をダウンロードして本のとおり塗っていけば勝手に上達します。なんとなくではなく、どうしてこの色を塗るかという理論とRGB値とパレットも教えてくれるので好きな塗り方の作家さんがいたらおすすめです。私は赤木春先生とても好きなので小躍りしました。

今さらっとRBG値とか書いていますが1ヶ月目はそんなのあるなんて全く知らなかったので成長している。オーバーレイとかいわゆる加工については、とても親切な絵=メチャ=スキ=フォロワーさんに教えてもらったり調べたりしました。
今でもよくわかってないところがあります。

これらの本を見ながら描いたのがこちら

監のみ

本当はもうひとりいるんですけど省いてます。鯉が描きたかった。

最後に

この記事を公開するのすごく迷ったんですよね。絵の世界って果てがなくてプロの方でも「もっと上手くなりたい!」って思っているのに自分のようなド素人が……ってウジウジしかけたんですけど、やはりフォロワーさんに励まされました。

この備忘録はあくまでも私個人のやりかたであって万人に当てはまるものでは決してないです。でも、今までまったくイラストを描いてこなかった人間(センスなし)が、ペンを握りしめて固まっていた頃より自分が好きだと思えるものを描けるようになったのは、先人による本と優しいフォロワーさんたちのおかげということを伝えたかった。動画も今では積極的に見ています。
他にも紹介しきれていないおすすめの本がたくさんありますし、アップの顔と表情が苦手なので6ヶ月目以降は積極的に描いていきたい。

これからも絵は楽しく書いていくつもりです。字は苦しんで書きます。
字を書くことも改めて好きだなあと思えたのは思いがけない副産物でした。

あわよくば、この記事を見て「自分も描けるようになれるかもしれない!」って思ってくださる方がいて、世の中に推しの絵がひとつでも増えればいいという下心も少しあります。いえ、大半かもしれない。

推しを世に増やしてくれ!!頼む!!!

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