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レッツ スイミング

#睡魔 #育児
成長曲線を明確に下回る5歳児であっても、親に掴まる意志もなく一切の体重を地球の中心に向けていると結構重い。おそらく作用点が持ち上げる人間の両手に集中するからであろう。

幼児の睡魔は突然やって来る。背後から猛禽類に襲われる小動物ほどではないが、前触れが感じられないことも多い。俗に言う「電池切れ」だ。

8歳の娘の電池が切れることはもう滅多に無くなった。なぜ成長に連れて少なくなるのだろうか。その答えは持ち合わせていないが、一つ言えるのは、幼ければ幼いほど睡魔と戦う意欲が二次曲線的に低いという事実である。

寝てはいけないシチュエーションほど眠気との戦いは壮絶であるが、それは他者から見ても明らかである。会議中に規則的な前後運動に落ちた企業戦士が我に帰った瞬間は、広大な原野を監視するプレーリードッグを彷彿とさせる。
「ずっとめっちゃ気ぃ張ってますけど何か?」

翻ってこの幼児である。昨日歯科でブラッシング不足を指摘されたばかりであるが、さながら現場検証のロープのように床と一体化してしまったこのマリオネットにもう一度活力を与え、奥歯を磨く術は無い。
そもそもこの御仁、睡魔と戦った痕跡すら無いわけだが。

息子よ。いずれ迫り来る睡魔と戦い続ける時がやって来るぞ。それまでは暖かいベッドの中でゆっくり休むがいい。
でも明日の朝はしっかり歯を磨くぞ。



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