『月はキレイかもしれないね』②(創作小説)
↑の続き。
2.カイル
カイル。
この名前は、祖父がつけたんだ。
物心着く頃には、いつも島酒ばかり飲んで酔っ払っていたイメージ。
寡黙というか、置物なんじゃないかと小さい頃は思っていた。
食べるものといったら刺身ばかり。
しかも多分、同じ種類の魚ばかり食べていた。
「カイル。」
たまに、俺を呼ぶその声はかすれていた。
近づくと嬉しそうにしていたんだ。
「カイルはな、海峡って意味があるんだ。小さな島と島をくっつける。
お前は人だから、人と人をくっつける。帰る場所にも困