なぜAKハイボードなのにQQでCbetを打つのか
今回は一本目のブログをお読み頂いた方の中からご質問を頂きましたので、その質問にお答えする形で記事を書いていこうと思います。
前提として前回の記事で
LJvsBBではAcKd5cのフロップでLJ側はレンジ全体で75%potのCbetを打つ
ということを書きました。
そこで下記のような質問をいただきました。
「Ac5cKdのフロップでQQで75%potCbetするのはなんでですか?」
この質問者の気持ちは非常によくわかります。
人間の感覚的に言えば、このフロップでQQはブラフするほど弱くはないし、かと言ってバリューベットできるようなハンドでもありません。シンプルに考えれば、中くらいの強さのハンドなわけだから、チェックしたほうがいいのではないか?
ということではないでしょうか?
実際に僕も同じようなことを思いました。
というわけで今回はこの疑問を解き明かすべく下記のような流れで書いていきます。
1,そもそも本当に75%betしたほうが得なの?
2,なんのためにQQでCBetするの?
3,まとめ
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おまけ
4,フロップでCBetしたあとはどうすればいいの?
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【1,そもそも本当に75%betしたほうが得なの?】
では、今回GTO+が計算した150%pot , 75%pot ,33%pot , checkそれぞれのEVを比較してみましょう。
[EV比較]
150%potbet:EV2.34
75%potbet:EV2.43
33%potbet:EV2.25
Check:EV2.18
実際にこの4つの選択肢の中で75%potbetが最もEVが高いようです。
より詳細なベット頻度やエクイティなどの数値は下記の画像をご参照ください。
同じQQの中でもクラブ持ちはEVが最も高く、次にダイヤ持ちのEVが高くなっています。反対にQsQhはEVが最も低くなっています。
【2,なんのためにQQでCBetするの?】
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ここまでに書いたことはGTO+での計算結果に基づいて書いているため
(計算時に指定した条件下では)客観的な事実ですが、
ここからは僕自身の解釈となりますので、なにか疑問点や反対意見などあればぜひ教えて頂きたいです。
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なんのためにフロップでQQをベットしたほうが良いかと言うと、
一言で言えば、
QQはブラフには向いているハンドだが、ブラフキャッチには向いていないからブラフをしたほうが利益的である
ということではないかと思います。
もう少し突っ込んだ言い方をすれば、
(ブラフには向いていてブラフキャッチには向いていないから)
フロップでチェックバックをしてショーダウンまでいけることを祈ったり、ブラフキャッチに回すよりも、ブラフをしたほうが利益的にポットを獲得できる。
ということです。
理由としては以下のようなことが挙げられます。
・フロップでCbetする場合、相手のコールレンジをブロックしている
・フロップでチェックバックしてターンでOOPにリードベットされた場合、相手のバリューレンジをブロックしていない、かつブラフレンジをブロックしている
具体例を見ていきましょう。
フロップで75%potサイズのCbetをした場合のOOPのコールレンジを見ていきましょう。
QQは相手のコールレンジのうちKQやAQ、Qxsの一部をブロックしています。
例としてQcQdがCbetした時OOPは以下の確率でアクションをすることになります。
Call:34.42%(71.6コンボ)
Raise:5.96%(12.4コンボ)
Fold:59.61%(124コンボ)
QdQcのエクイティはQQの中で最も高く55.19%でしたので、チェックするよりも相手が降りてその場でポットを獲得できる確率のほうが高いことがわかります。
また上の画像からKxやバックドアフラッシュドローの一部をフォールドさせることやバックドアやガットショットなどの一部からエクイティをプロテクトすることに成功していることがおわかりいただけるかと思います。
反対にフロップでチェックバックをした場合について検証していきましょう。
下の画像はフロップでチェックバックし、ターンで7h(ラグ)が落ちた場合のOOPのリードベットレンジです。
画像では少しわかりにくいですが、主にAxやセットでバリューベットをし、OPEDやフラッシュドロー、ガットショットなどでブラフベットをしています。
これに対してIPはAxでブラフキャッチをしており、QQ-のポケットペアはほとんどフォールドしています。
QQはOOP側のAQを減らしてはいますが、それ以外のAxは全くブロックしていません。反対にQJoのガットショットブラフをかなり減らしてしまっています。Qcを持っている場合は相手のフラッシュドローのブラフも減らしてしまっています。
【3,まとめ】
ここまで書いてきた内容を一言でまとめてしまうとすれば、
QQがフロップでチェックバックするよりもブラフにまわしてしまった方がより多くポットを獲得できる
ということではないでしょうか。
具体的には下記のようなまとめができると思います。
・フロップ時点で勝率よりもブラフ成功率のほうが高い
・チェックした場合ブラフキャッチには向かないハンドであるためリードベットに抵抗できない
・それはQQというハンドが
(Cbetを打った時)OOPのコールレンジをブロックしていて、
(チェックバックしたとき)OOPのバリューレンジをブロックしていなく、かつOOPのブラフレンジをブロックしている
という性質を持っているためである。
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以上、毎度長文ですがお読み頂きありがとうございます。
今回は一問一答的な形でサラッと短い記事にする予定でしたが、結局長々と書いてしまいました・・・。
・・・が、しかしなんと
ここから下はターン以降のについて書きましたので、まだ余力がある物好きな方はぜひ目を通してみてください。
ドラゴンボールの序盤を思い出す展開になっちゃいました(笑)。
おまけ
【4,75%betしたあとどうすればいいの?】
AKハイボードが落ちたからと言ってQQを諦める必要はなく、まだCbetブラフすることで利益が出せるハンドであることがわかりました。
とは言え当然ながら、QQを持っていながらAKハイボードが落ちてしまっている以上、プリフロップの強さを継続することはできません。
実際にフロップの75%potベットにコールされた時点でQQが勝っている確率は16~18%程度しかありません。
僕自身もこれはフロップをコールされたらさすがに諦めるべきなんだろうと思いつつターンを見てみました。すると・・・・
!?・・・・!?!?
なんと150%potベットをしています。諦めが悪いGTO。。。
気になったので、ターンで何が落ちたらこんな100%頻度の150%potベットをするのか確認してみました。
スペードの2~4,6~T
ハートの2~4,6~J
ダイヤの6~9
・・・21枚。
ちなみにダイヤの2~4,T(計4枚)が落ちた場合も70%の頻度で150%potベットします。
クラブのKやダイヤのJでも50%程度の頻度で150%potbetをするそうです。
つまり、ターンの50%くらいは150%ポットのブラフをします。
ここまでやるとKxoは全部降ろせます。Axも一部降ろせます。
クラブの2~4、6~J(計9枚)が落ちた場合は30%程度の頻度で33%BetをしてAxの一部を降ろします。
これらを合わせるとターンでブラフする確率は75%近くになります。
要するにAがリピートしてIPの強いレンジのコンボ数が減ったり、
Kや5がリピートするかクラブが落ちるなどしてナッツアドバンテージがOOPに移行するなりしない限り、ブラフを継続することになります。
ここまで気合を入れてくるとは・・・さすがにびっくりする内容でした。
ちなみにJJやTTはブラフするハンドとしてQQほどブラフハンドとして優秀ではないため、フロップでブラフベットをしてコールされたら基本的には諦める方向にシフトしています。
いくらナッツアドバンテージがあるボードだからと言ってオーバーブラフにならないように気をつけたいところです。
とても長くなりましたが、ここまでお読み頂きありがとうございました。
ぜひご意見ご感想や質問などお気兼ねなくいただけると幸いです。
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