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OOPがCbetできないフロップ、どう守ればいいの?

今回の記事はメインテーマは一つですが、サブテーマもあります。

メインテーマは題名の通りです。

BBがBTNのオープンに対して3betをしBTNがそれにコールをした想定で集合分析をした結果の中から、OOPのCbet頻度が低いフロップを選びIP/OOPそれぞれがどのようなアクションを取るのかを分析することで、OOP側のフロップチェックレンジに含まれている強いハンドの守り方を検証していきたいと思います。同時に、反対側つまりIP側がどのようにボードとレンジの優位性を活かして攻撃するかについても検証していきます。

サブテーマは「プリフロップをどう設定するか」です。

これまでの記事では私自身が想定したレンジを入力していましたが、今回はPreflopSolutionを購入しそちらを使用しています。

しかしこの想定で計算をすることが絶対的に正しいとは言い切れません。

なぜなら今回入力したGTOレンジが例えば10nlzや25nlz・ライブポーカーなど実際にプレーするフィールドでの中心値や平均値などとは乖離していることがあり、その乖離しているプリフロップレンジでは当然ポストフロップの計算結果も変わるからです。

どういうレンジ想定をしたうえでソルバーに計算をさせ学習するのがベストなのか、これについてもやりながら今後深く検討していきたいところです。

1,前提

2,IPのBMCBについて

3,OOPのvsBMCBについて

4,Turnについて

4,まとめ


【1,前提】

1-1,プリフロップについて

前述の通り今回はあるオープンレンジに対してのBB3bet及びBTNコールレンジはGTOレンジ※を使用しています。

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※有料のPreflop Solutionを使用しているため、計算の際に想定されたBTNのオープンレンジや各ハンドのフリークエンシーなどプリフロップに関する詳細の掲載やご質問への回答は控えさせて頂きます。予めご了承ください。

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BB 3Bet Range(vsBTNopen):14.6%

BTN call Range(vsBB3bet):16.8%

3betレンジとは言え、お互いにそれなりに広いレンジを持っています。

極小のフリークエンシーでBB側にJ3sやQ2sのようなハンドが入っています。

BTN側にもK2sのような弱いハンドが超低頻度で含まれています。

1-2,フロップについて

Flop:As3s2d

ES(Effective stacks):100

Starting pot:18.5

Rake:4.75% Cap:5bb

bet size:下画像の通り。

今回はメインテーマに合いそうな上記のフロップを選択しました。

(余談ですが7s8s9dのようなフロップもテーマに合いそうなので、今後検証していきたいです。)

【2,IPのBMCBについて】

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BMCBとは・・・ここではBet Vs Miss Cbetのことを意味しています。

いわゆるオリジナルレイザー・アグレッサーがOOPにいてCbetしずチェックで回したときにIPがベットすることです。

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このフロップでは、オリジナルであるOOPはレンジのほぼすべて(98.3%)をチェックします。

(ちなみにUTGvsBBなどいくつか他のシチュエーションやレンジを確認しても非常にチェックの比率が高いようです。)

チェックする頻度が高い理由は、Aハイボードなので意外に感じる方も多いかもしれませんが、オリジナルであるOOPよりもIPのほうがエクイティが高いからであると考えられます。

また当然AxはすべてIPレンジに対して70%以上のエクイティがありますが、Aの比率自体はお互いに19.8%とほぼ同値で2ペアやストレート、セットなどはIP側に多くあり、トップセット以外の強いところはIP側に多くナッツアドバンテージはIPにあると言えるため、OOPのチェック頻度が高くなっていると考えられます。

では早速アグレッサーであるOOPのチェックに対してIPがベットするレンジや頻度を確認してみましょう。

ほとんどチェック50% - 33%potbet50%に近い混合戦略を取るようです。

これはOOP側のチェックが多い理由とは反対にこのフロップがディフェンス側(今回の場合IP)にエクイティが52.99%ありIP側に有利なフロップであるため高い頻度でBMCBしていると考えられます。

少し話は脇道にそれますが、AsJsAdやAsKsAdのようなフロップの場合はプリフロップのアグレッサーであるOOP側に非常に高いエクイティがあります。そうでありながらOOPはレンジの30~40%前後をチェックしますが、この場合のIP側は7~15%程度しかBMCBしていません。

つまり、IPはすべてのボードでOOPのチェックに対してベットする頻度が高いわけではないということが言えます。

ベットをするハンドセレクションとチェックをするハンドセレクションに違いはありません。すべてのハンドを頻度を変えて33%potベットorチェックします。

これもボードが有利な方が混合戦略を取る際によく見る傾向です。

細かく見ていくと22や44のセット、35sのストレートにチェックのフリークエンシーはありませんが、その他にはすべてチェックのフリークエンシーもあるようです。

それに加え、かなりEQやEVが低い56s-89s、K6-K8sも65~95%とベットのフリークエンシーが高めになっています。これらのハンドはエクイティよりもフォールドエクイティ・フォールドプラバビリティのほうが高い(つまりチェックバックするよりもブラフしたほうがポットを獲得できる)ため、フロップの優位性を利用したブラフをしたほうが良いであるハンドであると言えるのではないかと思います。

また反対に88-は他のハンドと同じように混合戦略を取っていますが99+はほとんどベットするフリークエンシーがありません。

これは88-がエクイティが50%未満であるのに対し、99+はエクイティが50%以上であることが関係していそうです。とはいえ、OOP側が33%ベットされた時のフォールドレンジに8や9より上のペアがあるわけではないので、ブラフorバリューの話ではなさそうですね。どちらかと言うと、T9sのスペード以外やKToのようなハンドからエクイティをプロテクトするベットのように思えます。

それ以外については再現の仕方としてコイントスをして表なら打つ、裏ならチェック、のような考え方でも大きくEVlossすることは無いと言っても過言ではなさそうです。


【3,OOPのvsBMCBについて】

では、いよいよメインテーマの一番重要な部分に入っていきます。

大まかに言えば相手はレンジの全体で50%ほどベットしてきていることがわかりましたが、逆に言えば「チェックしたらセットやストレートはない」「ベットしたら99-JJはない」くらいのことしか相手のアクションから得られる情報はほとんどありません。

(OOP側の)エクイティに関してもフロップが開いた時点で47.89%、33%potベットをされた時点でも46.59%とほとんど変わっていません。

ただしEVは6.78→4.99と約27%の減少しています。これは約50%の確率でチェックバックしてもらえていた分のEVが減少していると考えられます。

相手は78ccのようなナッシングかもしれないし、22や35のようなナッツかもしれない。そういったワイドレンジに対して、OOPとしてどのように抵抗すればよいのでしょうか。

こちらがOOPのvsBMCBレンジの画像です。

合計で10%ほどチェックレイズしていますが、このレンジの内訳はざっくり言うとAKと45sでバリューレイズ、Kハイフラッシュ(ナッツ)ドローを中心としたスペードスーツでブラフレイズとなっています。

またA3sをバリューレンジにしている代わりに3xと2xもすべてブラフチェックレイズしています。

GTOよりもBMCBがバリューヘビーな相手にはAK、A3s,45sとKTss~KQssをそれぞれ75%ずつ、その他のフラッシュドローを25%くらいの頻度でチェックレイズする戦略に簡易化しても良いかもしれません。


コールレンジの大半はポケットペアとAx、フラッシュドローです。

また、4x/5xのガットショットもすべてコールしています。

さらにコールレンジにKxオフスーツのスペードのバックドア、KQ,KJ,QJ,QTのダイヤスーツのバックドアをコールしています。KTddはすべてフォールドしている理由が私には全くわかりませんでしたが・・・

このあたりのQJやQTのddのような2ハイカードバックドアは降りたとしてもEV上オーバーフォールドになるとも言えず、明確なリークにはならないと言えるかと思います。

それよりも34sや35sのようなワンヒットガットはもちろん56s,46s,57sや55のようなガットのみのハンドを降りることのほうがEVlossは大きいようです。

また、Axやポケットペアのようなハンドでチェックレイズすることも反対にEVlossにつながるようです。メイドハンドでオーバープレーしないこともチェックで強いレンジを守る必要があるこのようなフロップでは重要になりそうです。

【4,Turnについて】

フロップが開いた時点ではプリフロップのアグレッサーであるOOPよりもIPにエクイティやEVが逆転しているため、IPは強いレンジを含めチェックコールを中心にディフェンスする形になると書きましたが、ターンでもその構図は継続されるのでしょうか。

下の画像はターンカード別のOOPのEVです。

前述のフロップのコールレンジをバランスしたことにより、スペードやハイカードを中心にプリフロップのレンジが強いOOP側のEVが改善しています。

反対に言えば、適切なコールレンジでディフェンスに回ったことによりOOPのEVが改善しているといえるため、間違ったコールレンジやチェックレイズレンジを構成した場合ターンも引き続きIP側のEVが保たれてしまい搾取される危険があるといえるかもしれません。

ターンではIPは落ちたカードによりで30~70%程度の頻度でベットはするのですが、

・ターンカードの数字が大きければ大きいほど

・ダイヤ→クラブ/ハート→スペードの順で

チェックの比率が高くなる傾向があります。(スペードのほうがチェックが多い。)

つまり、KsやAcのようなOOP側に有利なターンが落ちた場合はより多くチェックし、4~6のスペード以外が落ちたときはより多くベットします。

下の画像はターンカード別のIPがチェックする比率を表しています。

【4,まとめ】

OOPが3betしたハンドでディフェンス側であるIPに有利なボードが開いた場合、

フロップのチェックコールレンジをバランスすることでプリフロップのレンジが強いOOPのEVを改善することが可能である

ということが言えるのではないかと思います。

また、

・IP有利なフロップではOOPはチェックコールを多くしディフェンスする

・OOPは自分に有利なフロップが開いた場合はレンジの全体でベットする

ということが言えるのではないかと思います。

今後は7s8s9dのような別のパターンでディフェンス側が有利なフロップも同じように検証を進めたいと思います。

あるいは続編としてターンでIPにベットされた場合、リバーでチェックバックされた場合についても投稿していきたいと思います。


今回もまた非常に長文でしたが、ここまでお読みきありがとうございました。

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