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<乱高下の米株式市場、コロナ後の相場の見通しと注目銘柄>

「米国経済の現況」

結論から先に言うと・・現在の米国経済は非常に強く、現在の金融緩和政策は、まだ暫らくは続くので、7月の相場は上を見ています。
しかし、8月26日のジャクソンホール・シンポジウムを転換点として、ペーパーリングすなわち金融引き締めが始まりそうです。
現在、FRBは毎月、米国財務省証券を800億ドル、住宅抵当証券を400億ドル、合計1200億ドルの債券買い入れプログラムを実施しているが、これが縮小されると言うのがテーパーリングで、それは株式市場にとって悪いことで、9・10月は少し難しい局面に入っていくと感じています。

「6月16日に終了したFOMCのメンバー18名による景況感コンセンサス」

1 . 今年のGDP成長率予想は+7%で、非常に強い、強い、強い数字です。
今が成長のピークで今後は鈍化する事を心配しなければいけない局面だと思う。すでに景気の鈍化は始まっているかも知れない。
2 . 政策金利のFFレートは現行のまま、0~0.25%に据え置かれる。
3 . 債券買い入れプログラムも、現行の毎月合計1200億ドルを維持する。
4 . テーパーリングを考え始める。
今までは “テーパーリングの事を考え始めること,すら考えない!“ とのスタンスだったが、今回のFOMCではバッサリとその表現をやめ、”ある程度テーパーピングを考え始める“ と言う意図をはっきりと伝えてきた。
5 . “労働市場は力強く回復した、今後もこの勢いが続くだろう” と発言しました。これは何を意味するかと言えば、“もう失業率の改善に政府の後押しはいらない!” と言う事。今後FRBの政策は物価の軟着陸にシフトするという事です。

「経済予想サマリー(SEP)の解説」

これは、FRBの18名のメンバーが、GDP予想、FFレート予想、失業率予想、インフレ予想などを個人的な考えで思い思いに書き込んでいくアンケート。
1 . FFレートは2023年から利上げが始まるという新しい展開になっている。
2 . 消費者物価のインフレ率は、2021年末の数字が3.4%へ上方修正された。
FRBが議会から指示されているインフレターゲットは2%に収めなさいと言うことですから、今年末のインフレ率予想が3.4%では、今後かなり締めていかないと2%にはならないと言うことです。

「もう少し詳しく米国経済の現況を見ていくと・・」

1 . 貯蓄率・・新型コロナで国民に配られた給付金のせいもあって、大きくジャンプしています。国民の手元にはキャッシュが有るということです。
2 . 家計のデッドサービス・・デッドは負債、サービスは元本や金利の返済のことで、国民の借金の負担がどれくらい有るのかと言う事を確認すると、昨今の低金利のお陰で、借金していても返済が比較的楽だと言う事です。
以上2つの理由によって、今家計には余裕があります。それは消費が伸び易いと言う事です。

<銘柄解説>「ズームビデオ・ZM

クラウドベースのマルチデバイス対応のビデオ会議、音声会議、などのビデオコミュニケーションサービスを企業向けに提供。
「第1四半期決算」
・EPS予想:98セント、結果1ドル32セント
・売上高予想:9.08億ドル、結果:9.56億ドル(前年同期比+191.4%)
・過去12か月売上高で10万ドル超える大口顧客は前年比+160%の1999社。
・従業員10名以上の企業顧客は前年比+87%の49.7万社。
・GAAP純利益2.27億ドル(前年同期比+840%)、前年同期は2700万ドル
・営業キャッシュフロー5.33億ドル、(前年同期比+%205)、前年同期は2.59億ドル
・第2四半期EPS予想:94セント、新ガイダンス1.14ドル~1.15ドル
・売上高予想:9.3億ドル、新ガイダンス9.85~9.9億ドル
・2022年EPS予想:3.74ドル、新ガイダンス4.56~4.61ドル
・ 〃  売上高予想:38億ドル、新ガイダンス39.75~39.9億ドル

「凄い成長率なのに、これでも満足出来ない投資家が多い、それ何故なのか?」
1 . それは下記に示すように、前年2020年の決算が300%以上成長していて、今期の+191.4%成長でも、投資家は大きな評価をしなかったと言う事だと思う。2020年があまりにも成功し過ぎたという事なんですよ。
2 . ズームビデオ:2019年・2020年の売上高の推移
2019年1Q 1.22億ドル 2020年1Q 3.28億ドル(前年同期比+168.8%)                   
2019年2Q 1.46億ドル 2020年2Q 6.64億ドル(前年同期比+354.7%)                   
2019年3Q 1.67億ドル 2020年3Q 7.77億ドル(前年同期比+365.2%)                        
2019年4Q 1.88億ドル 2020年4Q 8.83億ドル(前年同期比+369.6%)                        
今期の最新決算 2021年1Q 9.58億ドル(前年同期比+192.0%)

「新型コロナが終わると、ズームの成長は止まるのか?」
1 . 今この段階でズームを解約する企業は、有り得ない、有り得ない、有り得ない。経営者は常に、ROI(投資利益率)を見ている。あるサービスに対してお金を払うとして、その投資に対してどのくらいのリターンが有るのか? それをシビアに考えるのが経営者の仕事です。ズームのROIは、メチャクチャ、メチャクチャ高い。企業にとって解約する理由がない。だから今、経済再開したから、ズーム解約しようか、とかさ、そういう事をマジで検討している人っていうのは、本当にテクノロジーに疎い人達だと思う。
2 . みんなが新型コロナで在宅勤務を強いられたから、それでズームは急成長しただけであって、コロナが終わると、ズームの成長は止まると言っているアナリストとか投資家が多いけれども、それは間違っていると思うね、全く間違っている。その理由は、ビデオ会議することを、“じゃあ、ズームしようかな“ っていう形で、すでに日常会話の中で動詞として使われているからです。例えば、検索する事を、“ググれば” ってふうに、みんなが日常会話で動詞として使っていますよね。このように、すでに動詞化して日常会話で使われているWEBサービスは強いんですよ、ちょっとやそっとでは無くならない。商談の場合を考えても、営業側、顧客側、双方にとって非常に合理的なんですよ、時間の無駄が全くない、だから普及したわけだから、世界のデファクトスタンダード(事実上の標準)はズームですよ。ズームは買いですよ、ズームは買い。

<銘柄解説>オクタ・OKTA

企業向け認証システムを提供する。
「2021年第1四半期決算」
EPS予想:-20セント、結果-10セント
売上高予想:2.39億ドル、結果2.51億ドル(前年同期比+37.3%)
カレント残存パフォーマンス義務(CRPO): 9億ドル(前年同期比+45%)
残存パフォーマンス義務(RPO):18.9億ドル(前年同期比+52%)受注残
ダラー・ベースト・ネット・リテンション率:120%(前年同期比-1.0%)
フリーキャッシュフロー・マージン:21.0%(前年同期比+40bp)
第2四半期EPS予想:-11セント、新ガイダンス-36~35セント、
売上高予想:2.6億ドル、新ガイダンス2.95~2.97億ドル、
2022年EPS予想:-44セント、新ガイダンス-1.16~1.13ドル、
売上高予想:10.9億ドル、新ガイダンス12.15~12.25億ドル。

「残存パフォーマンス義務:(RPO)、すなわち、受注残が前年同期比+52%と、今期の売上高よりも増えているのに、なぜEPSが大きくマイナス修正されているのか?」
1 . 前回の決算発表時、オクタはライバル企業だったオースゼロと言う会社の買収を発表しました。これは非常に良い買収でターゲット市場が2倍になりました。
2 . オースゼロは、現場のエンジニアにまずソフトを使ってもらう事を優先し、技術指導やカスタマイズなどを丁寧にフォローサービスする事で、ビジネスを増やしていく営業アプローチをしています。すなわち最初は、人件費や経費で資金の持ち出しが多く、後で回収すると言うビジネスモデルの為、売り上げが後ろにずれます。
3 . オクタの場合は、まず経営トップに対して営業しています。オクタのトップ営業とオースゼロの現場営業では、売上計上時期が一致しないと言う事を、オクタの会社側が前回決算のガイダンスで、言葉一つ添えて説明すべきだったのだが、それが足らなかったと言う事が、今回EPSが大きくマイナス修正されている理由です。アナリストは、“マーケットが2倍になるんだから当然、売上高も利益の上がるよね”、と言う形で、数字を弾いていたのですから、当然食い違ってくるわけです。

「EPSのマイナス修正でオクタのビジネスはスローダウンしているのか?」
1 . それは一切有りません。商談は加速しています。じゃあ、現場のビジネスとして手間が増えているのか? 経費が増えているのか? 損失が増えているか? と言うと、それも一切ないです。つまり今回の件は、あくまでもアナリストに対する当初のガイダンスの提示の仕方が悪かった、それでネガティブサプライズが出てしまったと言う事なのです。
2 . その責任を取らされる形でマイク・クーレと言う、オクタのCFOがクビになっています。クビ。アメリカは非常に厳しいビジネス社会なので、こういうチョンボが有ったら確実に首になるんですよ、クビになって当然だと思います。真剣勝負ですからね、アメリカの経営は。
3 . じゃあ、オクタのビジネスは、きりきり舞いしているのか?と言うと、全然、きりきり舞いなんかしていない、全然悪いことは何にもないです。その点をご理解頂きたいと思います。オクタの売上高の推移って本当にきれいなチャートだよね。乱れた感じが一切ないよね。

<銘柄解説>「ドキュサイン・DOCU

電子署名や契約ワークフローの自動化の為のソフトウェア提供、
「2021年第1四半期決算」
EPS予想:28セント、結果44セント
売上高予想:4.38億ドル、結果4.69億ドル(前年同期比+57.9%)
サブスクリプション売上高:4.52億ドル(前年同期比+61%)
総顧客数98.8万顧客。2013年以来のCAGRは+54%(年平均成長率)
年間売上高で30万ドルを超える大口顧客数は673社。
CAGR+46%(年平均成長率)
第2四半期売上高予想:4.75億ドル、新ガイダンス4.79~4.857億ドル、
2022年EPS売上高予想:19.9億ドル、新ガイダンス20.27~20.39億ドル。
「解説」
1 . 今回の決算で感じた事は、大企業がドキュサインのドキュメント管理ソフトウェアを、重用し始めていると言う事です。大企業の利用率が増えているから、面白いように業績が伸びる、今はそう言う局面です。
2 . ドキュサインの契約はサブスクリプション契約です。定期購読と言う契約形態だから将来の売上高が読み易い。しかしその中に、使った分だけ請求する従量課金コンポーネントがあり、経済再開でみんながオフィスに戻り色々複雑なタスク、仕事をし始めると、いよいよ、ドキュメント管理システムがフル稼働し始めていくわけです。ドキュサインの成長率が、今ここにきて加速しているような印象を与えている理由は、使った分だけ請求額が増える従量課金、それが今キックインしているという事です。

「あとがき」
“安物買いの銭失ないって、株にもあるね・・” 
昨年IPO又はSPACした株に、僕が飛び付いた時の結果を考察してみた。
1 . WISH・コンテクストロジック:23ドルで50株買って17ドルで売却、現在株価は11、44ドルと大幅下落中。Wishは米国の激安ノーブランド商品を扱うショッピングアプリを運営している会社で、ターゲットが低所得者層。
2 . RIDE・ローズタウン・モーターズ:28ドルで70株買ったが下落の一方、徐々に損切りし最後は9、9ドルで売却、現在株価は9、38ドル。Rideは米国のEVピックアップトラック・メーカー。
「考察」振り返ってみると、少額資金の初心者がまず陥るのは、話題になった株で株価が安い銘柄を買ってしまうことが有ると思う。株価が下がるという意識があまりない、実感として痛い思いをした事がないので、自分の買った株はいずれ上がるものと無意識下で楽観している。
言い換えると、新しい株って、投資家から信頼された実績がないという事。株が上がったり下がったりするのが当たり前で、特に問題にしなくても良いと思う。問題にすべきは何回株価を下げても、必ず回復してきた過去の実績だと思う。それは投資家からの信頼だと思うし、信頼の根拠は業績の評価だろうからね。
勉強させてもらったよ。かなり痛かったけどね。株って、初心者が最初から笑えるほど甘くはないよね。まずは苦笑いからだよね。
以上

サポート有り難う。個人的に関心の有る事柄しか文書化しません。ランダム発行です。私の資金はポケットマネーの70~80万円なので小額過ぎて、優良大型株には手が出ません。1銘柄で10株くらい持たないと、貧乏臭く気分がしみったれるので、いつも手頃な30~50ドル/株の銘柄に目がいきます。