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<ミンスキー・モーメントについて>

<ミンスキー・モーメントについて>

1 . 「”ミンスキー・モーメント”、ってなに?」
いよいよい中国恒大集団が、デフォルトするんじゃないか?という事を心配して、マーケットが下げています。これは典型的なミンスキー・モーメントと呼ばれる現象だと思うんですよね。ミンスキー・モーメントの定義は、”資産価格が突然大きく値下がりして、それが引き金となって信用のサイクルや経済のサイクルが暗転すること”、です。この名前がどこからきているかと言うと、経済学者ハイマン・ミンスキーと言う方から名付けられているわけですけれども、ハイマン・ミンスキーはセントルイス・ワシントン大学の経済学部の教授ですね。元々シカゴ大学の経済学部で勉強して、そのあとハーバードに行った方だと思いますけれども、非常に有名な経済学者です。彼の理論は、凄く嚙み砕いて説明すると
1 . 「経済活動の拡大」 と 「信用の創造」 ⇒ それは、理想的には「二人三脚で増えていくのが良い] が、必ずしも常に二人三脚ではなくて 「信用」 が 「急成長 」 したり 「戻ってきたり」 と蛇行する事が有る。
2 . そこで、信用が急成長する場合を考えてみると、信用の創造が、ある時点から経済活動よりも早いペースで膨張し始めた時、(これは直線のグラフで考えてみて、横軸に時間をとり縦軸を二者の大きさとすると、最初、二者は同じ傾きで大きさが増えていくが、”途中からは、信用の創造の方が傾きが大きくなっていく”、という事です)。急に傾きが大きくなったのは、その膨張部分に投機の要素が入り込んだからで、さらに終盤近くになると、今、借りているお金の返済、そのやりくりの為に新たな借り入れをする、と言うような、いわゆるポンジ・スキーム的な事が横行し始める。それがある時点で、もう継続不可能になって信用の崩壊が起きるんだ。言うのが、彼の理論で有って、”ミンスキー・モーメント”、って言われています。現在、中国恒大集団エバーグランデが経験している利払い不能のこれはミンスキー・モーメントの典型的な例だと思うんですよね。そのほかに、ミンスキー・モーメント、どんな例が有るかと言うと、例えば2008年のリーマンショック、あれなんかもミンスキーモーメントだったと言えると思います。
2 . 「中国経済は非効率・・どんどん資金を投入しても、経済成長の速度は遅く、近年大きく鈍化している。」
中国国内の事業会社の負債、つまり借金がGDPに占める割合・・負債(借金)/GDP・・・は、2008年は135%くらいだったんですけれども、2018年は250%に増えました。つまり企業の借金は、どんどん大きくなっているという、事ですよね。2008年以降、中国の経済のアウトプット(経済成長)は年率6%くらで成長してきました。その一方で信用成長は2008年以前は経済成長と同じ6%で成長していたんだけれども、それ以降は一気に15%、20%、25%という形で、経済のアウトプットの成長よりもはるかに高いスピ―ドで信用が拡大急膨張したんですね。その結果として、ここが大事なところなんんだけれども、今、GDPを1%押し上げる為に必要な信用の増加、それは5%くらい、つまり1対5くらいの比率になっちゃっているという事ですよね。それは何を意味するかというと、それだけ経済が非効率になっているという事ですよね。お金をどんどん、どんどん、ぶつけても経済がなかなか成長出来なくなっている、という状況だと思うんですよね。
3.「低開発国(30年前の中国もそうだった)の経済成長の効率の良さも永遠には続かない。非効率化の行く先は借金の増大、やがて雪だるま式に増えた膨大な負債に経営は行き詰る・・中国恒大集団はその典型と言えるかも知れない。」
一歩下がって低開発国のケースを考えてみると、開発の遅れている非常に貧しい国に、ちょっと資本を投下すると、安い労働力で安価な製品が大量に生産出来る、しかも安価で納期も早いのだから海外競争力が抜群に良く引き手あまたの大繁盛、当然貿易収支も良いわけです。すなわち、低開発国では少しの資本投下がGDP成長に与える影響が物凄く大きいわけですね。効率が非常に良いわけです。同じような事がバングラデシュとかの低開発国でも、最初はそうなんですけれども、最初はそういうわけで急成長するわけなんだけれども、だんだん経済の規模が大きくなってくると追加的に投入する信用、あるいは資本という言い方をしても良いけれども、それがもたらすリターンはだんだん、だんだん減っていくわけですよね。だから今はGDPを1%押し上げるのに信用は5%投入しなければいけないというほど非効率になっている。さらに、その非効率な経済も永遠には続かないものだよね。何故かと言うと、経済を成長させるためには、もっと借金をしなければいけない。もっと借金をすると、その借金の返済、利払い、あるいは元本の返済、といったものに余計にお金がかかる。そう言った形で雪だるま式に負債が大きくなるわけですね。今の中国はそういう状況になっています。それが今回の中国恒大集団が直面している問題の根本的な理由、経済学的な理由っていうのは、そういう事になると思うんですよね。中国の場合ね、新しい信用の多くは政府系企業に、それも工業セクターの重厚長大の会社に割り振られます。ところがそういう政府系企業というの従業員が30万人もいるような企業が結構有ったりなんかして、非常に非効率なんですよね。中国の中には非常に効率経営されていて生産性の高い企業も有ります。例えば、アリババ・BABAとかテンセント・TMEとか、そういうネット企業とかは効率の良い企業です。けれども、その一方で効率の悪い企業もある。今、中国で起こっている事は何かというと、そういう良い企業からお金をむしり取って、それを非効率な企業に渡しているという事が起きているわけですよ。だから、どんどん非効率になっているという事ですよね。それは、不健康な事なんだけれども、今まで問題が表面化せずにやりくり出来てきた理由としては、
1 . 中国では国内資本の蓄積が非常に進んでいて、外貨建ての借り入れが少ない。
2 . 政府の債務がGDPに占める割合が非常に小さい。

これらがリスクを小さくしているから、今回結構ぎくしゃくするかもしれないけれども、問題が大問題に発展しないかもしれない。
4 . 「中国恒大集団が正式にデフォルトしたかどうか?という事は、判定がつかないけれども、事実上債務不履行に陥っていると思うよ。」
その一方で、中央政府の債務だけを見ていては、中国の全体としての債務の大きさ分からないんですね、何故かと言うと中国という国は地方政府がたくさん借金をしているから、地方政府の債務は中央政府の債務とは別腹で有って計算に入っていないことが多いですね。しかも、その地方政府の債務は理財商品のような形で、”飛ばし”の対象になっていて帳簿にきっちりと表れていない、実態が分からない、そう言った債務も有るわけですよね。だから額面通りに受けとる事は出来ないと思います。幸いに中国の今の信用市場というのは大部分の参加者が中国国内の金融機関です。だから、海外の機関投資家が受けるダメージ、これは限定的だと思います。しかし、信用の緊縮は、例えば、不動産あるいは建設セクターそれを直撃すると思うんですね。実際中国恒大集団は今開発中の不動産案件、建設途中のビルとかね、そういうのが幾つも有るんだけれども、資金繰りがつかなくなって、もう建設を断念しなければいけなくなっているんですよ。そんなふうな感じで、新たな建設に着手する事が出来ない。という事で、建設需要とかね、そういうのが落ち込むリスクが有ると思います。具体的には例えば、銅、鉄鉱石、ばら積み船、そう言った景気に敏感な素材とか、そのセクターですよね。これからスローダウンすると思います。いま中国ではデルタ変異株が蔓延していて、もう一回コロナ対策のロックダウンみたいな事が一部で行われています。その関係も有って消費は100%力を発揮出来ていない、って言うか、消費の方もスローダウンしている。だから、悪い時に悪い事が重なっていて、今ちょっと、中国のアウトルックというのは、非常に不透明になっていますよね。それが今起こっている事じゃないかなあ、という風に思います。未だ中国恒大集団が正式にデフォルトしたかどうか?という事は判定がつかないと思うんですよ。今日が、月曜日が、いわゆる銀行から借り入れの返済期限だったんですよね。たぶん返済期限過ぎて返済出来てなかったと思います。それから木曜日かな、それとは別に社債のね、利払いも来るんだけれども、それも多分、払えないんじゃないかという事ですよね。ただし、社債の利払いに関しては、払えなかったらすぐにデフォルト認定という事ではなくて、1ヶ月間かな?中国のルールではね、猶予期間が有るようです。ってな事で、デフォルトしたかどうか、っていう判定は、今週は出来ないと思うんだけれども、事実関係として、もう利払いが出来ていないという状況になっています。

<個人的に気になった質疑>
Q1、3回目接種が進んでいるイスラエルで感染が急増えていますが、旅行関連株はいまだにポジティブと考えておりますが?(ライブ時間33:07)

A . 「みんなワクチンを誤解しているんじゃない?」
みんな誤解していると思うんだけど、新型コロナワクチンの注射を摂取したらね、もうコロナに罹らないと思っている人がいるけれども、それはサイエンスじゃないよ。それは理解が間違っていますよ。そうではなくて、ワクチンとは何かと言うと、1回注射して、なんちゃってウイルスを身体にぶつけると、身体の免疫反応というか、それで跳ね返すわけですね、そのウイルスを、その練習試合をやるというのがワクチンというものなんです。ワクチンを打った後でもウイルスは身体の中に入ってくるんです。
つまり、ワクチン接種の主な目的とは・・
1 . ウイルスを撃退する時間が短くなる
。もう過去に練習試合をやったんで、今度はテキパキと対抗する事が出来るんです。
2 . そして、症状も軽くなるという事ですね。
これらがワクチンという物の主な狙いなので有って、完璧に防御できるとか、水際作戦で食い止める事が出来るとか、言う事ではないんですよ。だから、注射しても新しい変異株とかそういうのがでてきたら、それに感染するのは当たり前の事じゃないですか。

Q2、残りの9月と10月、その後の見通しを知りたいです。 (ライブ時間1:15:10)
Q3、レイバーデー明け、ヒートマップで株価を見てました。金融セクターとGAFAMの一部が上、観光関連が前半上だったのが後半下、あとは軒並み下という印象でした。じっちゃまはどういう印象をもちましたか? (ライブ時間1:17:37)

A . 1 . 「経験則的に9月は前半よりも後半の方が、下げ脚が速くなる。」
なので、これから9月の後半は楽観視していない。
2 . 「近年の10月相場は、ぼっこ、ぼこにやられるケースも多かった。」
さらに言えば大暴落とかが来るのは、だいたい10月なんですよね。だから10月も枕を高くして眠れないという風に考えています。
3 . 「今年のレーバ=デー明けの相場の特徴は、蛇の生殺しみたいにジワジワと下げる相場だった。」
こういうパターンと言うのは、ぐっ、ぐっ、ぐっ、ぐっと下がってきていて、どこかでズルっと急落する、そういうパターンだよね。なので、ここまでの展開は非常に不味いんじゃないかな。
4 . 「また、ファンダメンタルズに絡んだニュースと言うのも、日、一日毎にドンドン悪くなっている。なので買い材料は見当たらないと思う。」
1 . 企業の業績予想も暗転している。
2 . 金利の予想も、ウォール街のエコノミストは長期金利の上昇を織り込み始めている。
3 . 中国のスローダウンも起こり始めている。
と言う事で、ファンダメンタルズはかなり後退したと思うのね。なので買い材料は見当たらないと思うよ。
【広瀬節です】
だけれども、なんで、みんなフレッシュな目で相場を見ようとしないのか?、僕にはちょっと理解出来ないんだけどね。僕が心掛けている事と言うのは、朝起きたら、おぎゃ~と生まれた子供みたいに、今日は全く新しい日だと、だから昨日と同じ考えではいけない、フレッシュな眼で相場を見なおしてみよう!。1回、頭を全部クリアにして、ゼロにして、それでデーターをもう1回見直してみる、という事を心掛けています。必ずしも昨日決めたシナリオ、あるいは1週間前に決めたシナリオ、1か月前に決めたシナリオ、それの継続なんだという風には全然考えていないのね。自分が到達した昨日までの結論、その結論をインタロゲートする、つまり結論は間違っているんじゃないか?、という事を突っつく、突っついて検証する。そう言う事を投資家と言うのは必ずやらなきゃいけない!、と僕は思うんですよ。だから最大の敵はあなた自身なんですよ。自分の思い込み、自分の慢心、そう言ったものを戒めて下さい。で、毎日、新しい目で、フレッシュな目で相場を見れるかどうか、それが良い投資家に成れるか成れないの分かれ目だと思う。

Q4 . マルケタ・MQアマゾン・AMZNには採用されてないようですが、ホールド、買いでよいでしょうか。 (ライブ時間2:20:45)

A . アマゾンはダイレクト・インプリメンテーションという方法でアファームを使います。ダイレクトインプリメンテーションとはアマゾンのサーバーにアファーム・AFRMを直接ドッキングする、つまりMQかませないという事ですよね。でなぜ、アマゾンンがそういう風にしているかと言うと、彼らにはそれが出来るから、技術力的に、それが出来るから、だから独自にやるという判断に至ったんだと思います。
1 . 「アマゾンがダイレクト・インプリメンテーションで自社サーバーにアファームを取り込んだのは大間違い、だと思うよ。」
1 . BNPLは、やがてお金が円滑に回らなくなって失敗する、そして大きな社会問題になると思う。
2 . 社会問題になった時に、”アマゾンはなんでBNPLをやったんだ! お前がやっている事は銀行業務じゃないのか!”、という風に糾弾されるリスクが有るんです。
3 . そうなった時に、ダイレクト・インプリメンテーションをしていれば、つまり、アマゾンが自社のサーバーにアファームをドッキングしていれば、逃げる事が出来ないと思う、答弁的にね。そこで、ドッキングする時に一つ他の会社をかませていれば、”いや、ちゃんと別会社をかましています、だから、うちは銀行業務をやっていません”、と言う、屁理屈と言うか逃げ口上は使う事が出来ると思うのね。でも、アマゾン自身がダイレクトでやっていたら、そう言う逃げ口上は使えないと思うんです。だから、そこが間違っていると思うのね、僕はね。
2、「マルケタ自身は、アマゾンに対して商売のチャンスは逃したけれども、それ程マイナスではないよ。何故なら、如何したってマルケタは儲かるんですからね。」
1 . それはBNPLはアファームだけが専売特許じゃないからです。アフターペイは物凄く、腐る程、アメリカ中にばら撒かれているし、クラーナも腐る程いろんなサイトで使われています。だから、アファームが独壇場ではなくて、アフターペイもクラーナもいろんなサービスが入り乱れて乱戦模様なんですよ。今、BNPLは激戦期なんですよ。たまたま、アマゾンへのアファーム実装にだけ入り込め無かっただけで、他は全部、マルケタが入っているんですよ、だから、競争が激化して、みんながドンパチをやればやる程マルケタはどうせ儲かるんですよ。そう言う構造になっているんですよ。だから、心配する必要はない。
2 . 日本人の皆さんはまだ、BNPLのボタンが大ブームを巻き起こしているという事に気が付いていないから、この事を理解出来ないのは無理はないですね。実はアマゾンは、BNPLではむしろ遅れているんですよ、出遅れているんです。いまBNPLのボタンなんて、どこにでも掃いて捨てるほど有りますよ。なので、もっと言えば、アマゾンは防戦の為に、自分のフランチャイズを守るために、ディフェンシブな動きとしてBNPLボタンを実装したという見方すら出来る、と思うんですよね。
3 . この分野はまだまだ成長すると思う、爆発的に成長すると思う。だから来期、その次の決算とかは、アファームも期待して良いし、マルタケも期待して良いし、アフターペイを買収したスクエア・SQも期待して良いし、とにかくカテゴリー全体が爆発的に成長すると思います。それが行き過ぎると大脱線すると思うのね。けれども、それは今ではないという事ね。今は強気のスタンスを崩さないで下さい。でも将来は大きな禍根を残すと思いますよ。
(配信2021年9月20日) 

「備考」

・デフォルト、default:日本語では ”債務不履行” とも呼ばれ、債券の発行者が破綻等の原因によって、元本や利息の支払いを遅延したり、停止したりしたあげく、元本の償還が不能となりかねない状況。これが起きると、債務者は期限の利益を失い、債権の保全措置を講じる事が出来る。一方、金融機関や投資家が貸金を取り戻せず、多額の損失を被る事がある。
・ポンジ・スキーム、Ponzi scheme:詐欺のなかでも特に、”出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する”、などと謳っておきながら、実際には資金運用を行わず、後から参加する出資者から新たに集めたお金を、以前からの出資者に、“配当金”、などと偽って渡すことで、あたかも資金運用によって利益が生まれ、その利益を出資者に配当しているかのように装うもののこと。投資詐欺の一種に分類され、日本語で、”自転車操業”、と呼ぶような状態に陥り、最終的には破綻する。
・遺伝子を用いたワクチン:ファイザー社やモデルナ社のワクチンは、メッセンジャーRNAという核酸(遺伝子)を人体へ注入することで、体内の細胞にウイルス抗原蛋白を生成させます。よく見るコロナウイルスの周囲のトゲトゲの部分だけを、体の中で安全に大量に作る遺伝子です。これにより人体は、コロナウイルスに実際に感染することなく、コロナウイルスの体の一部の特徴的な形だけを記憶して、抗体免疫を高めることができます。メッセンジャーRNA遺伝子は、不安定な物質のため自然に分解され細胞外へ排泄されます。
・抗原:病原体の外側にできる分子または分子構造のこと。
・蛋白:21種類のアミノ酸が連鎖的に結合した高分子化合物。

<あとがき>
9月からじりじり下げていた株価が2日前から反転して上がってる。
今日は10月7日木曜日。9月10月は下げ相場、こんな時は、”大きな下げがくるかもしれない?”、と広瀬さんが言っていた。
素直に9月初めにキャッシュポジションを大きくしていたが、トレードしないで板を見ているだけって、ほんと退屈だよね。
つまらんから辛抱しきれず、びくびくしながら、カーニバル・CCL
ドキシミティ・DOCSを買ったけどね。
こんな時、素人の狙いはきっちり外れるんだよね、どちらも買値より下がってる。広瀬さんの言うように、今は大人しく見るだけにしていた方が良いんだろうね・・素人の株式投資って、やっぱり苦笑いなんだよね。
以上

サポート有り難う。個人的に関心の有る事柄しか文書化しません。ランダム発行です。私の資金はポケットマネーの70~80万円なので小額過ぎて、優良大型株には手が出ません。1銘柄で10株くらい持たないと、貧乏臭く気分がしみったれるので、いつも手頃な30~50ドル/株の銘柄に目がいきます。