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【名馬解説】ダート最強馬と呼び声高いクロフネの本質について考察

最強ダート馬はどの馬かの話題になった時に競馬場や距離によって違うだろうが、圧倒的すぎるパフォーマンスを見せたクロフネの名前を上げる人も少なくないだろう。

私が初めて競馬場につれていってもらったレースがクロフネのJCダートだった。3.4コーナーから動いていった鞍上武豊。スタンドはざわついていた。「豊やってみ!」とおっさんが叫んでいたのが、忘れられない。他馬のペースに合わせて走る事が窮屈だったように、クロフネは外を捲り先頭に立ち、そのまま先頭でゴール。
あれだけ強引に乗っても負けやしないという乗り方は、サイレンススズカ、ディープインパクトのようなこれまでの常識をぶち壊す破壊的な強さをクロフネに感じたからだと思う。

クロフネがダートで走った2戦でもやはり武蔵野Sがチートすぎた。
12.4-10.9-11.0-11.6-11.8-11.5-11.7-12.4 
勝ち時計1.33.3
ラスト1Fは独走で持ったまま。ラップから見ても最後の1Fはそこまで余力はなかっただろうが、良馬場発表で1分33秒3は異次元だろう。
武蔵野Sの前半3Fが34.3、1000m57.7、単純比較はできないが興味深い事実として同年の春、NHKマイルCは前半3F34.2、1000m57.8、走破時計が1分33秒0。
ダートでも芝と変わらぬ時計で走っている。同じ芝とダート療法で結果を出したアグネスデジタル、モズアスコットという素晴らしい馬がいるが、ダートはダートのラップで走っている。芝と遜色ないのはやはりクロフネだけだった。

クロフネは底を見せず屈腱炎だったと思うが、故障で引退。
ではクロフネの本質は?引退せずに走っていたらどうなったかを考察する。

クロフネ自身は父フレンチデピュティ産駒らしさを受け継いでいる。
フレンチデピュティ自身現役時にジェロームHというダートマイル重賞を1分33秒5の時計で走っている。またフレンチデピュティ産駒に目を向けると、サウンドトゥルー、ノボジャックとダートG1馬の他、エイシンデピュティ、メイショウベルーガ、アドマイヤジュピタ、レジネッタなどの芝の重賞勝ち馬も出している。
フレンチデピュティの特徴は母方の個性を引き出す種牡馬と言える。ダートG1を勝った上記2頭はそれぞれ母父フジキセキ、アスリートであり、芝よりに出た馬の母父はSadler's Wells、リアルシャダイ、サンデーサイレンスという血統背景である。

クロフネの母父はClassic Go Goは無名も無名。適性がわからない。しかし、母ブルーアヴェニューは芝とダートでも走った馬であり、ブルーアヴェニューの半姉であるブロートツウマインドはダートG1勝ち馬であり、芝の重賞勝ち馬である。
フレンチデピュティが母の個性を引き出すとして、芝とダート二刀流の個性をもった母型を引き出したと言える。距離は1400m〜1800mの間というものクロフネのパフォーマンスを見ると頷ける。

クロフネの産駒傾向を見るとおもしろい程に牝馬のスプリント〜マイルの活躍馬が多い。そして牡馬だと芝はスプリント、ダートは中距離と極端に偏る。自身のような二刀流ではなく、特化型を送り出しやすい。

クロフネは4歳以降どうなったか。松田国英厩舎の活躍馬の傾向を見ると仕上がりは早い方だったと思われる。ダイワスカーレット、キングカメハメハ、フサイチエアデール、タニノギムレットなどクラシックからパフォーマンスを出せる馬を輩出している。

血統背景と厩舎力もあり、仕上がり早かったと思う。若駒の時は芝でも、古馬になったらダートに特化していったのではないか。クロフネは母方の個性を引き継いで芝ダートともに走れるが、ベストはやはりダート1600m〜1800m。

3歳のダート二戦で見せたクロフネの輝きから、世界で見たかったものだ。

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