おへんじとブランディングって難しいねって話と自分語りと


マシュマロに長めのおたよりを頂きました。ドン。

・スタオケのnoteを読んだ。面白かった。
・その上で、「ポチポチスマホゲー」という、ソシャゲをコンシューマーゲーと比較して下に見るような表現が気になった
・決してキャラソンさんがそういった意識を持っていると言いたいわけではないが、全体的にネオロマのファンの間で他のゲームを下に見るような雰囲気があり、それがこの言葉に現れているのではないか
・そういったファンダム独自の雰囲気が、女性向けジャンルの中でネオロマが伸び悩む一因になっているのではないか
・決してキャラソンさんを糾弾したいわけではなく、記事を下げてほしいわけでもない。ただ気になっただけである。

全文ママ掲載するのはどうだろう……と悩んだので、要約で失礼します。うまく要約できてなかったらすみません。こうやって箇条書きにしてみるとすごく冷たい文章に見えますが、実際の文章は随所に私のツイートやnoteへの称賛と気遣いを配置してくださっており、大変に注意されて書かれた文章であったことを最初に明記しておきます。最初に読み終わったときの感想は、「なんか気を遣わせてしまってすみません…」でした。すみません。

これ、マシュマロをくださった方自身が「キャラソンさんに訴えるのもどうなのかと今でも悩んでいます」と仰られているのですが、客観的な視点から言ってしまえば「まったくその通り」で、私はちょっと変わった企画をやってちょっと変わった文章を書くだけの一般人なわけです。例えば私がこのマシュマロを全文掲載して企画垢で「ファンは意識改革をすべき!」と叫んだところで痛いオタクとして炎上して終わりだと思います。

しかしながら、オタクの自分の視点から見ると、これを送らざるをえなかったマシュマロ主さんの心境もすごくよく理解できるんですね。多分マシュ主さんはこの雰囲気をずっと感じてもやもやし続けていて、それが私のnoteを読んだことをきっかけに大きくなって、抱えきれずに誰かに聞いてほしくなった、その先として記事を書いた本人である私が選ばれた、そういうことなんだと思います。(ちがったらすみません。)いわゆる「界隈」に対してそういった言いづらいけどなんとなくもやもやする気持ちを抱いたことは私自身もかなりありますし、このnoteを読んでくださってる方も一度くらいはあるのではないでしょうか。

こうやって文字を打っている最中も「そうはいってもこのマシュマロに返事をする義理はないのではないか?」という考えが頭の中をしょっちゅうチラついてはいるのですが、たいへん丁寧で読みやすい文章を書かれるおそらく聡明なフォロワーさんがその思いを吐露する先として私を選んでくれた、という事実に対しては何らかのアクションをやっぱり起こしたいわね、という気持ちになったので、投稿された疑問に対する私なりの考えを述べたいと思います。

まず、ネオロマンスが女性向けジャンルにおいて伸び悩んでいるかどうか、もし伸び悩んでいるとして、その原因の一つがファンの雰囲気にあるのではないか、という点に関しては、私自身は明言は出来ないし、何ともいえないという意見であることを断っておきます。そもそもネオロマンスだけではなく、乙女ゲームというジャンル自体が伸び悩んでいるというのが実際の所ですし、女性向けジャンルにおいて現在主流となっている男性同士の関係性を重視するコンテンツとの比較はあまり意味がないと思うからです。(そこを比較する場合、別の観点での比較が必要と考えます。)

その上で、マシュマロ主さんの最初の懸念に対して、結論から言ってしまうと、「他のゲームを下に見る雰囲気」というものは全く存在しないとは言えないと思います。ただこの問題、単純にファンの民度がどうこうとかそういう話では解決できないかなり難しい問題だとも感じていて、何故かと言うとそれが「ゲームとしてのブランディング」をどうするか、といった問題と紙一重だからです。

単純に「ネオロマンスの重めのファンは他のゲームを下に見る傾向がある」というだけの事実ならば、ファンは悔い改めて、どうぞ!で終わりに出来ると言えばできるのですが、この問題の本質はちょっと違うところにあるから話がややこしくなるなあと思います。この「他のゲームを下に見る雰囲気」……もうめんどくさいんでぶっちゃけた言葉で言っちゃいますね。選民意識っていうのは、ジャンルがある程度成長して他のゲームとの差別化がある程度確立した時点で割と避けられない問題なんですよね。

例えばネオロマンスのブランドとしての売りは、

・老舗ゲーム会社開発としての、ただのテキストを読み進めるだけにとどまらないRPG、SLGなどの奥深いゲーム性
・上品で丁寧な日本語によるテキストと安易な性的接触に頼らない清らかな恋愛展開
・恋愛だけにとどまらない、主人公の成長や夢などを重視した骨太なシナリオ

といったところでしょうか。ソーシャルゲームにおいては特に一番最初、奥深いゲーム性といったところがなかなか実現が難しいところであり、この点においてコンシューマーゲーム>ソーシャルゲームという図式を描きがちなのはネオロマンスに限った問題ではないと思います。特にコンシューマーでシリーズ展開されてきたゲームの最新作がソシャゲで開発されることになった場合、旧作ファンからこういった理由で批判されがちです。(どうでもいい話ですが、スタオケと同日サービス開始のウマ娘を提供しているCygamesはかなりすごい会社だと思います。)

またこれは推測なのですが、マシュマロ主さんが仰るようなネオロマンス民の選民意識というのは、コンシューマーゲームVSソーシャルゲームに限った話ではなくて、ネオロマンスVS他の乙女ゲームブランドも想定されているのではありませんか?ちがったらすみません。

そういう点でいうと、ときメモGS擁するコナミが実質休眠状態が長らく続いた現在(復活の兆しアリ)、ゲーム性という部分を追及しているのは乙女ゲームブランドの中でネオロマンスのみといっていいところがあると思います。また長年のノウハウゆえか文章の誤字脱字の少なさ、整い方という点でもネオロマンスは随一ですし、レーティングがC以上になったことがないのも大きな特徴ですね。女性の活躍が当たり前になった現代において、恋愛ひいては結婚にのみかかりきりになるのではなく、主人公自身の夢や成長を重視するシナリオも称賛されるべきものでしょう。

問題はこういった自分の好きなジャンルの美点を誇るあまり、「○○○のゲームは恋愛ばかりだからダメ!」「○○○のゲームは読むばっかりだからゲームとは言えない!」「その点ネオロマンスは最高!」という風に、選民意識を拗らせる傾向のあるファンがたまにいることで、マシュマロ主さんが仰っているのもそういうことではないでしょうか。

しかしながら、現在他の乙女ゲームブランドで主流となっているテキストを読む方式がゲームに慣れていないプレイヤーなどに好評ということもありますし、手っ取り早く甘い雰囲気でキュンキュンしたいプレイヤーにとってネオロマンスのピュアな恋愛が物足りない場合もあるでしょう。ソシャゲだって、今回スタオケ配信されてとりあえずDLしてみた勢が初めてコルダに触れているのを見ると、スマホ故のライトさから新規層の取り込みには非常に効果的ですよね。良い特徴と悪い特徴は表裏一体であり、それ自体で他のものを下げることが良いことではない、というのは誰にでもわかることだと思います。

ただ、話がややこしくなるのは、こういった特徴をゲームの開発側もプロモーションの際にプッシュする場合があり、そういった場合に選民意識が増幅されてしまうことがあるということです。

例えば今盛んにプロモーションを打っている『アンジェリーク ルミナライズ』ですが、「普通の乙女ゲームではありませんよー」感を前面に押し出した宣伝をしていますよね?かなり守護聖様の塩対応や手ごわいSLGパートなどを特徴として「ただの乙女ゲームではない」という売り方をしていると思います。実際アンミナが発表された際は昔からのプレイヤーが「アンジェリークはこんなに大変で……」という懐古ツイートを盛んに呟いて、それがバズり、トレンド入りなどしました。

この「普通の乙女ゲームじゃない感」が、マシュマロ主さんのおっしゃる「他のゲームを下に見る雰囲気」を煽っているところもあるわけです。しかしながら、このプロモーションが間違っているわけではありません。こうした売り方は私自身大正解だと思いますし、実際かなり話題になって久しぶりに購入を決めた人や初めて購入を決めた人も多かったと思います。コンテンツがあふれる現代において、新規客開拓というのは限られた牌の奪い合いであり、プロモーションに何かしらの分かりやすいフックは必須だからです。

このように、ジャンルとしてのブランディングとそれに伴うファンの選民化というのは双子のようについて回るものです。これは他のジャンルにもよく見られる現象で、例えば私はガンダムシリーズが大好きなのですが、いわゆる「ガノタ」といえばオタク界でも屈指のめんどくさい集団として知られています。他にも具体的なジャンルは上げませんが、少し考えると思いつくジャンルはたくさんあるのではないでしょうか?

同じゲームというジャンルで言うと、「SEKIRO」や「DARK SOULS」シリーズで知られるフロム・ソフトウェアのソフトはあまりの難易度と独特の世界観からファン層もかなりマニアックな人が多く、初心者が入りにくい界隈のひとつだと言われています。しかしながら新作が発売されるたび、ゲーム自体のクオリティと話題性、そしてアクションアドベンチャーというジャンル自体の盛り上がりから過疎とは程遠い盛況ぶりです。初心者には難しすぎるというイメージ自体はブランディングとして成功している例でしょうか。

ネオロマンスも、基本的にはこの路線で行くしかないのかなと思います。基本的なソフトのクオリティを上げ、積極的に新しい声優さんやイラストレーターさんを採用して話題性を高める。乙女ゲームというジャンル自体の盛り上がりに関しては、これはもうファンがどうこうという話ではなく別の問題でもあるので難しいのですが……

というわけで、個人的な結論としては「確かにある、しかしジャンルのファン全体でどうこうする必要があるものではないし、できるものでもない」でしょうか。もちろん個人の問題として、好きなゲームとそれ以外のゲームを比較して下げる意識があるならば、内省して変えていく必要があるのは当たり前のことですね。私自身も「乙女ゲームマニアです!」といっている人をTwitterで見かけてツイフィールを見るとネオロマンス作品が一本もなくてむっとしたりすることがあるので、これは意識を変えなくてはいけないなーと思います。

ご指摘、ありがとうございました!経験浅く知見も浅けりゃ思慮も浅い自分にとってこういう表現に関するご指摘はありがたいですし、久しぶりにいろいろ考えるいいきっかけになりました。「ご希望があればDMで謝罪いたします」とのことですが、ご希望としてはもしよければ気軽にDMで話しかけてご意見ご感想などくださると嬉しいです。


以下は有料にしてみたのですが、ほぼ自分語り的な所感ですので有益な情報はいっさいありません。

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