見出し画像

1-6 暗闇の前

1-6 暗闇の前

当時は俺が入社した店では最初の3ヶ月は研修生として扱われ
3ヶ月経過すると試験があって営業中の業務がそこまで問題ないレベルであればその試験に合格すると【大入り】という役職に上がる

大入りになると給料面で額が上がるだけでなく社章の入ったバッジが貰えるのだ。
大入りになるとそのバッジをスーツにつけるのだが当時は一人前に見られる気がして本心ではそのバッジを付けたいと思ってたのは覚えている

1-5でも触れたが
①フロントマン
②受付
③ホール
④キャスト待機場
⑤レジ(キャッシャー)

このうちの①〜④がこなせれば大入りとしては認められていた

⑤は今でこそ難しいとは思わないが
お金のやり取りや予約の管理、女の子の付け回し、電話対応を同時に進行しなければならない。

何百人もの来店数を誇るこの店で
今の自分には無理だというのはやらなくてもわかった。⑤ができるようになるのは当時は10人チャレンジしたら半分以上の人間が断念していた。
スキルの問題と、横でNAさんが見ているのでそのプレッシャーに耐えるのが難しかったのだ。

ある日突然
NAさんから「K、今から大入りテストやるぞ」と言われ
近くの倉庫で筆記試験をしたのだ

内容は
優しい問題だと
お店の住所や電話番号
女の子の名前など
難しくなると
女の子の給料計算から
女の子がお客さんに泣かされた時の対応など
ちゃんと教わったものではなく日々の業務の中で
自分自身で覚えてやらなければいけないことが書いてあった


大入り試験は
俺以外にもあと二人受けていた
他の店から移動してきたM Iさんと
俺の一週間後に入ってきて辞めたけどすぐに戻ってきた
ラッパーのAO君

3人とNAさんで答え合わせをした時に

NAさんが
俺のこの答えが最高だと褒めてくれた

その問題は

③のホールの人間の仕事内容を答えよという優しい問題だったが

他の二人はマイクアナウンスにちゃんと答えるとか
円滑にお客様を案内するとかだったが
俺だけ
【女の子を守ること】と答えたからだ

NAさんに褒められた事は
今までなかったが

その時だけ最大限に嬉しそうに褒めてくれた

本当に嬉しかった

きっとこれからうまくいくんだと

そう思っていた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?