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1-8 雲行

1-8 雲行

1-5以降話が逸れてしまったので
少し戻ります

NK井さんもいなくなり
幹部は3名に減り

入社して半年は経っただろうか
俺と同時期に入社した人間も
その時にいた研修生も6人くらいいたが皆辞めて

幹部を除くと俺の上にHP先輩
そして俺の順番になった(はず)
辞めたいと思う気持ちも心のどこかにあったが

自分が面接した女の子も増えてきて
ランキングの女の子達からも少しずつ信用を得てきた気がして

少なからず居心地良く感じる時間が増えた 

俺より4ヶ月後に入社したN沢くんは
俺をすごく慕ってくれた

1-5でも書いたが彼はイケメンで
清潔感のある黒髪短髪、ミーハーな性格のお店の女の子達はN沢君によく話しかけていた性格も真っ直ぐな男の子で俺もすごく気に入っていたし
みんなから気に入られていた

📍サロでは主に
①フロントマン
②受付
③ホール
④キャスト待機(でキャッシャーからの指示を女の子に出す)
⑤キャッシャー※(つけ回しやお金の受け渡しを同時進行の為一番難しい)

という順で仕事を覚えるのだが
N沢君には①〜④を俺が教えた

覚えもよく、愛嬌もよかったN沢君は
お店の現場長であるNAさんにも気に入られるようになった

N沢君は俺よりNAさんと一緒にいる時間がいつの間にか長くなった

何が原因でどのタイミングだったかは忘れたが
何となくNAさんのあたりが俺に向くようになった

何かある度にN沢君を褒めて俺を下げる言い方をされた

当時はキャストの女の子の写真パネルは電子パネルではなく
L版の写真を差し込んでいたので自分が面接した女の子の写真は面接を担当した人間が撮ってパネルに差し込んでいたのだが
ある時、俺が撮った写真の背景が滲んで黒くなってしまった時に
「お前は何か呪われてるから写真もこんな風になるんだ二度撮るんじゃねぇ!」と
怒鳴られたりもした

これまでの経験でちょっとやそっとのあたりではあまり気にしなくなる程精神的に強くなっていたが

ある出来事が俺の心の中に晴れることのないモヤモヤを作った

お店ではみんなが把握できるように
一枚のA4の紙に
全員の休みの日と早番と遅番を分けた名前一覧を記す箇所がある
その時に名前の順番は役職が高い順から上から下に記されるのだが
俺の名前がいつの間にかN沢君の下に記されるようになった

今思えば、これはちょっとしたNAさんの嫌がらせだったのかもしれない
直接はそういうことを言ってこなかったが
ちょいちょい、今まで俺にふっていた仕事や責任ある仕事を俺ではなくN沢君に任せていた

そしていつの間にか
NAさんから話しかけられることもほぼ無くなっていた

お店の中でNAさんが関わることには関しては俺は省かれるようになったのだ 

それと同時期にN沢君が俺に対してとても反抗的な態度を取るようにもなった

明らかに彼が間違った判断をして、それを正そうとしても聞く耳を持たなくなった
態度の急変に戸惑った

今だからわかるのだが
NAさんに何か吹き込まれたのだろう

いつの日だったか
NAさんに俺は神レベルだがお前は5流だと言われたことがある

権力を持つ者と持たざる者にはそれこそ天地の差があった

この一ヶ月足らずで雲行きが大きく変わり
目の前が見えなくなった。













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