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作家インタビュー:双葉葵ーー人物にこめる思いとは

すでに作家としてスタートを切っている方々に、作家生活についてのさまざまなお話を聞く「ネオページ・インタビュー」。
今回は、詩作から小説の世界に入り、以来創作に打ち込み続ける「双葉葵」さんにお話を伺いました。

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——小説家になりたいと思ったきっかけは何ですか?

双葉葵 具体的にいつ、こうなりたいというのはなく、私自身、元々、『詩』を書くことから始まって、中学生の頃、大好きな漫画の二次創作があるのを知ったことで、そこからずっと二次創作を中心に書いていたのですが。
たまたま、小説家になろうで「この世界がゲームだと俺だけが知っている」という転移ものの作品を見て、バグが多かったゲームの情報を駆使して、主人公が正統派の攻略ではなく、斜め上からの攻略を得意としていたこともあり、その知識を活かして、『たとえば、魔王をバグ技で倒す』など、その度に、みんな(ゲームの世界の登場人物達)から微妙な顔をされるのですが、そんなことはお構いなしといった感じで『ゲームの世界』で立ち回る主人公のことを見て、『わぁっ、凄い作品があるんだな』と純粋に感動して、自分もオリジナルの作品を書いてみたいと思うようになったところから、こんな作品を書いてみたいなという思いに繋がっていったと思います。

——自身の作品の中で一番魅力的だと思うところはどこですか?

双葉葵 登場人物一人一人の台詞などの言葉の言い回しが、特に魅力的だと感じています……っ!
たとえば、私の作品である『正式に魔女になった二度目の悪役皇女はもう二度と大切な者を失わないと誓う』に出てくる登場人物の1人である、影で暗躍している精霊でもあるアルヴィンの……。
「……ねぇ、アリス、知ってる……っ? 殆どの魚は、あまりにも綺麗すぎる水の中では生きられないんだよ……っ?」という言葉と共に、張り裂けそうな自分の胸中を叫びながら伝えている場面があるのですが。
「……だからこそ、綺麗な水に溺れる魚は、ショックを知らなくて、もがく方法さえ分からない。反対に、汚い水で溺れた魚は、もがいて、あがいて、不格好なまま、必死に空気を取り込むのだろう。だから、魚と同じで、満足に物を与えられた動物っていうのは、心も身体も、どうしても弱くなってしまうものだ。……だって、知らないから……っ! 心からの苦しみも、胸の痛みも、僕達がどんな思いをして、これまで生きてきたのかっていうことも、何もかも全て……っ! 分かろうともしないだろう……っ!!!」
といった、台詞の言い回しなどで、少しでも物語を読んでくださった読者様の心の中に、台詞そのものが響いて残ってくれれば良いなと感じながら書いているので、私だけではなく、読者様にもそういったところを、魅力的に感じて貰えたら嬉しいなと思っています。

——自身の作品の中で読者の方に一番見てほしいところはどこですか?

双葉葵 キャラクター1人1人が抱えている闇や背景に注目して見て貰えたら嬉しいですっ! 前述したアルヴィンだけではなく、主人公のアリスや、騎士のセオドア、侯爵家の嫡男で物語を引っかき回す役割を担っていたルーカスなど、特に物語を書くにあたって読者の方に魅力的に思ってもらえるような長所だけではなく、主要人物の一人一人、サブキャラクターに至るまで、なるべく個別に『その人の人生そのものに深み』を持たせ、各キャラクターがどうしてそういう思考をして、どうしてそういう行動を取るようになったのかというところまで深掘りして、弱みや悩みなどを持たせるようにしており、それぞれに人間味が感じられるような作品になるよう心がけているので、そういったところをしっかりと見てもらえると有り難いなと感じています。


——作品を執筆していて一番楽しい瞬間はいつですか?

双葉葵 ぶわぁぁぁっと、インスピレーションが湧いて夢中で書いている時間です。
特に何もしていないときに、思いつくことが多いのですが、頭の中に流れてくる映像が次に更新を予定している話じゃないことも多くて、大分先のお話を一話分完成させたりすることもあります。
なかでも、作中で詩的な感じの文章を書いているときは、そういった時に書いたお話が多いです……っ!(私自身も、個人的に好きな場面になっていることが多くて、満足感で、わぁぁ、今日は凄く良いお話しが書けたっ! と、こっそり喜んでいたりしています……っ!)
完全に寝食を忘れて、時間が許す限り何時間でも書いているので、気付いたら次の日、集中力が切れて、しんどいなと思ってしまうことも……。

——作品を執筆していて一番難しい、あるいは辛いところはどこですか?

双葉葵 何も思い浮かばなかった時が、本当に地獄です……っ!
こういう表現をしたいし、イメージとして頭の中に、キャラクターの表情などは浮かんでいるにも拘わらず、適切な言葉として、言葉が出てこない時とかは凄く悩んでしまいます。
私自身は、普段、Wordではなく『一太郎』を使っているのですが、一太郎のATOKという文字変換ツールが本当に便利で、文章を打ち込んで変換する時に辞書が見れるという機能が付いているため、普段から、その機能については、フル活用するようにしています……!

——作品の執筆があなたにもたらした一番大きなものは何ですか?

双葉葵 子供の頃に、滅茶苦茶な妄想をして、お友達同士で空想上の世界を作ったり、こんな世界があったら良いなという妄想で、お菓子がいっぱい食べられるような夢のような世界を創造したり、魔法少女になりたいとか、ヒーローになりたいとか、実現不可能な夢を語ったりすることとかもあったと思うんですけど。
作品を書くことで、世界観が広がって、そういった子供の頃に、こうだったらいいな、こんな世界があったら楽しいなというワクワク感から作り出した世界に、読者の方がついて下さって、一緒に盛り上げて下さることで、ぶわりと世界がより広がっていくのを実感出来るようになって、読者様と素敵な縁が繋がっていっていることが、物語を書くことで贈られてくる一番のプレゼントだなと思っています。

——書くことへの情熱が途切れたことはありますか?また、連載中くじけそうになったとき、どのように自分を奮い立たせますか?

双葉葵 中学生の頃からずっと小説を書いてきているのですが、私生活が忙しくてほんの少し書けない期間などがあったとしても、結局、小説を書く日々にまた戻ってきてしまっています……。それくらい、普段から小説を書くことが日常の一部になってしまっているので、書くことの情熱が途切れたことはないと思います。
連載中に、くじけそうになることはよくありますが、読者様から頂いたメッセージなどに励まされて、また頑張ろうと、くじけそうになって落ち込んでしまった気持を回復させたり……。
『今日も書けて、滅茶苦茶偉い』と自分を褒めながら、ハーゲンダッツとか、ちょっと高級なアイスやお菓子をご褒美に買って、自分のご機嫌を取ることにしています……っ!

——作品を執筆するにあたって一番のモチベーションになっているものは何ですか?

双葉葵 読者様のお声が、一番のモチベーションになっています。
作品を書くにあたって、少しでも読者様の琴線に触れて、読んだ時に『泣いてくださった』というお声をかけて頂けたり、主人公や、登場人物達に感情移入してくださって応援メッセージを送って下さったり、頂けるメッセージの一つ一つを、読者様が、私や私の作品のために時間をかけて、文章を考えて送って下さっているのだと思うと、そんなふうに、ご感想を頂けることが何よりも嬉しいですし。
読者様からのメッセージやご感想で、私以上に、作品やキャラクター達を大切に思ってくださっているんだなと感じられることも多くて、本当に有り難いことだなぁと感謝の気持ちでいっぱいです……!

——あなたが一番おすすめしたい自身の作品と、その理由を教えてください。

双葉葵 『正式に魔女になった二度目の悪役皇女は、もう二度と大切な者を失わないと誓う』です。
特に、この作品は、主人公であるアリスをはじめ、メインキャラクターの殆どが何かしらの闇を抱えていて、持って生まれてきた『紅色』の所為で、人々から謂れなき差別を受けてしまうアリスや。
同じく『紅』を持ちながら、どこにいっても爪弾きにされていて自分の居場所を持つことが出来なかったセオドア。
幼い頃に、『呪い』だと言われて、本人の意志に関係なく、自身の紅眼を取ることになってしまったウィリアム。
出来る兄を尊敬して大好きだと思いながらも、そこまで出来ない自分にもどかしい気持ちを抱え、劣等感を抱いているギゼル。
やっていることは間違いかもしれないけれど、自分の大事な妹を守るために悪役であるテレーゼの駒として動くことになってしまったルーカスの葛藤や、幼い息子が死にかけた経験から過剰なまでに過保護になってしまって周りが見えなくなっているテレーゼなど、みんなが傷ついた経験と共に生きていて、主人公であるアリスの優しさに、多かれ少なかれ、それぞれが癒やされていく作品となっており。
主要な人物に対しては、悪役であっても一人一人に愛着があるほどに、私にとっては、思い入れのある作品になっています。(作中で、あまりにも身勝手なことをしているので、読者様は、多分、テレーゼのことは好きじゃない人の方が多いと思いますが(笑))

——ファンから応援メッセージをもらったとき、どんな気持ちになりますか?

双葉葵 凄く嬉しいですし、どんなメッセージも、今まで贈って頂いたものは本当に私自身が宝物になって支えてもらえているなと感じるほどに大切なものになっています。
物語を深いところまで読み込んで頂けていたり、作品を読むことで、心の支えにしていますというメッセージを時々頂けることがあるのですが、普段から、私の方が読者様からのメッセージを心の支えにして生きていると思います……っ!
それくらい、いつも、読者様からの温かいお言葉に、ジーンと胸がいっぱいになって心の底から幸せな気持ちになっていますし、前述したように、何かあるときは、読者様からの頂いた言葉を読み返させてもらっては『そんなふうに思ってもらえているのだから、また頑張ろう』と作品を書く活力になって励まされています。

——作品を読んで応援してくれるファンにどのような言葉を贈りたいですか?

双葉葵 沢山の作品の中から、私の書いた作品を見つけてくださって、大切に思って頂いてありがとうございます……っ!と伝えたいです。
頂く感想などで、ここまで一気に読み進めてしまいましたと言って頂けることも多いのですが、出会ってから好きになって、夢中で読み進めて、次の更新をワクワクしつつ心待ちにしている経験が私に凄くあって、もしかしたら、私自身の作品についても、そういうふうに思って読んで頂けていることもあるのかなと思うと、本当に光栄だと感じて、とっても嬉しいですし。
本当に、色々な形で、いつも読者様に助けられているのは、私の方だと感じていて。
皆様に、好きだと言ってもらえたり、読んで頂けているだけで、私の作品を好きで読んでくださっている方が一人でもいらっしゃるのだと、辛い時などは、特に力づけられています。
いつも、応援してくださって、本当にありがとうございます。

——今後、どのような作品を書いていきたいですか?

双葉葵 『正魔女』もそうなのですが、私自身、書き分けも含めて、特に、男性のキャラクターを書くのが凄く好きなので、男性キャラクターが複数出てきて、主人公に対して想いを寄せるような作品して、また、逆ハーレム系の作品をメインに、色々と挑戦してみたいなと感じています。
特に、『正魔女』では、主人公のアリスが、護衛騎士でヒーローの1人であるセオドアに剣のプレゼントをした時の……。
「姫さんが俺に剣(つるぎ)を与えてくれたんだろう? ……じゃぁ、当然、主人としての責任は取ってくれるよな? 生涯、姫さんだけの剣であることを誓う。だから、姫さんも俺の為に誓って欲しい。……生きることを決して諦めないと」
という、セオドアの騎士の誓いとしての言葉や……。
「……俺がどうこうしようとしなくても、たとえ、お姫様自身が、王になることを望まなくても、“女王”に担ぎ上げたいって人間は、これから先、きっと出てくるだろうしねぇ。お姫様は、今、自分が最早、“お飾り”ではなくなってきていることを自覚した方がいい。解っていながら、お姫様の耳をそっと塞いで、いつまでも鳥籠に閉じ込めて大事に守るだけなのは、騎士の務めの範疇を超えてるよ?」
という、アリスを守るために対峙するセオドアに向けて、悪役だったテレーゼの駒として動いていたルーカスの言葉。
「人生ってのは、ただでさえ短いんだ。祭りも、花も、人の人生そのものも、それから、一国だろうと、結局、みんな同じだ。どんなものにも、永遠なんてものはない。だからこそ、栄華(えいが)を極めたものの何もかもが、艶やかに華やいでは終わっていくような……、美しいものが散っていく様には風情ってものがある。短い人生のうちに、欲望に素直になって、何でも、ド派手に楽しまないとなっ!」
といった、アリス達が留学する先で出会う皇子、ノエルの言葉などで、1人1人の登場人物のキャラクターが立つように魅力的になるよう書くのが好きなので、複数の登場人物を沢山書きたいなと感じています。
また、恋愛ものや、ファンタジーの世界観が凄く好きなので、そういった要素も取り入れつつ、完全に現代ものという訳ではありませんが、いつか、舞台が現代ものである作品なども書いていきたいなと思っています。

——作家として、日常生活と執筆活動のバランスをどのように取っていますか?

双葉葵 私自身、もの凄く残念なことに生活能力が全くないので、本当に、執筆に費やす時間以外の日常生活は滅茶苦茶適当というか、大雑把に生きられればそれでいいやと感じながら生活しています。(いつも一人なので、誰かに怒られることもなく好きに過ごしていたり)
特に、食べることが大好きで、お酒も飲めないのに焼き鳥などといったお酒のおつまみ系の食べものを食べるのに目がなくて、普段から、そういったものを食べて、リフレッシュするようにはしています。

——執筆にあたって、特にインスピレーションを受けた作家や作品はありますか?

双葉葵 男性向け作品にはなるのですが、泉先生が書かれている『俺の死亡フラグが留まることを知らない』です。
選民思考を持った悪役であるハロルドになってしまって、ハロルド・ストークスの本来の性格から、普通に話しているつもりでも、口から言葉を出して話せば暴言にすり替わってしまい、言葉遣いが最上級に悪くなってしまうという特大のデメリットがある中。
物語の主人公らしく、自分が死なないためにも人助けをしていくのですが、身近にいる極少数の人達からは理解されて、その優しさを受け止められるものの、世間からの悪名と汚名を引き受けながら他人から勘違いされて、忌み嫌われてしまうことになる主人公の境遇やキャラクター設定なども含めて、登場人物が凄く魅力的で、メインは本当の悪役との戦いに主軸を置きながらも、ヒロインであるエリカが本当に凄く可愛くて、心の広さや優しさのようなものから、ハロルドの力になりたいと奮闘し、恋愛としての要素も含まれる作品になっていて、一読者として1人1人の登場人物を魅力的に見せるという意味合いでも『凄く勉強になる作品だなぁ……っ』と感銘を受けましたし、ただのファンとしても、布教したいくらい色々な方にお勧めしたい作品ですっ!

——あなたにとって、小説を書くことの意味は何ですか?

双葉葵 私自身が、小説や漫画などで他の方の作品などを読ませて頂いた時に、心の底から感動して、胸を揺さぶられて、素敵な作品だなと感じたことがあるように、私の作品を見て、ほんの少しでも良いので、読者様に何かを感じ取ってもらえることが、小説を書くことの意味になっていると思います。
特に、心情描写についてしっかりと描写することで、家族愛や、登場人物の苦しみや想いなどについても、様々な角度で書くようにしていて、そういったところからも、作品を読んで共感して頂けたら嬉しいなと感じています。
また、昔は、こんなキャラクターが好きで、こういうふうに物語を動かしていってという感じで、自分の感情のまま書き殴っていたのですが、有り難いことに作家というお仕事に就かせてもらってからは、見て頂いているのだという意識がより強くなった気がしますし。
今は、登場人物が抱える悲しみや苦悩などといったところまで、些細な感情の機微についても、それまで以上にしっかりと描写していければなと感じています。

——「ネオページ」に対してどのような期待をお持ちですか?

双葉葵 私自身は、新しく小説投稿サイトがオープンされるということで、その立ち上げに、作家として、こうして初期の段階から関わらせて頂いて本当に嬉しく思っていますし、とっても、ワクワクしています……っ!
今までにも、他の小説投稿サイト様を利用させて頂いていましたが、こうやって、新しく一から立ち上げる企業様と一緒に手を取り合って関わらせて頂くことは初めてのことなので、本当に光栄ですし、これから、阿部様とも一緒に作品を作っていけると思うと嬉しいです。
また、私自身も新連載をするにあたって、表紙制作なども含めて、多くの方に関わって頂けていることを有り難く感じていますし。
ネオページ様が、行く行くは書籍化やコミカライズなどの展開も考えていらっしゃるということで、色々なことが挑戦出来る新しいサイト、企業様として、新しく新規で小説を書くことの出来るプラットフォームが開設されることも、今後、どういう展開になっていくのだろうなと感じて、凄く楽しみです……!

ルビや、傍点なども振ることが出来ると仰っていましたし、出来れば、小説を書くのに色々な面で書きやすい感じのプラットフォームだと、なお嬉しいなと感じています……!


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