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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語」#17 クミ

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#17 クミ

『突然どうして?息子が成人したら離婚するから待っててくれ。』

別れ話を切り出すと、そう言われた。離婚してくれないとか結婚したいからとか、そんなありきたりな理由ではない。私はソノさんと出会い夢中になった。ただそれだけなのだ。

ニューヨークへ転勤を志望していたが、ソウル支店も良いかもしれない。もしかしたらソノさんの資産を管理することになり、そこから恋に落ちるかもしれない。そう思うと韓国語のレッスンに力が入る。

週1回通ってる会社のカウンセリングに行った。
「先生、私やっと生きがいを見つけたんです。何なのかは言えませが、今とっても充実していて幸せなんです。」
先生も安心してくれたが、カウンセリングは続けるとのことだった。先生は何か変なものに騙されてないか心配してくれたが無用だ。

週末は海街チャチャチャのヘジンの服装を真似し、miumiuのブラウスを着た。こんな襟のブラウス、今までの私なら絶対に買わなかった。自分じゃないみたいだ。ソノさんの眼差しを私に向けて欲しい。伊勢丹で買い物した後は新大久保へ行こう。韓国料理を食べながらソノさんのことを想いたい。

Twitter;「はぁ・・。無理・・。ソノさんの笑顔無理・・・。苦しい・・・。」

早く帰宅して過去作を観よう・・。

インスタでソノさんとソノさんのスタッフをフォローしている。Twitterよりもインスタの方が写真が豊富ということもあり、ついにインスタも始めた。韓国のことをもっと知りたい。ソノさんがどんなもの見てどんなものを食べて過ごしているのか。ソノさんファンのインスタを片っ端からフォローした。最近ではハングルも少しだが理解出来るようになった。

「カンナムに住んでそうだなぁ。スタートアップのジピョンと同じで漢江を見下ろせるタワマンに住んでそう。ここ売って買っちゃおうかなぁ。」と思いながら、#漢江 と入れて妄想をしていた。

「ん?これ・・どこかで・・・え!?マミ!!!!!」

漢江沿いの素敵なカフェで撮られた写真に見切れていたが、間違いなく姿を消したマミだった。

(ヴァジャ)

「ゲイと女の5点ラジオ」というふざけたポッドキャストをやってます。
お時間ある時、ぜひ聞いてみてください。
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