模写の記録
noteをテキストで書くのは久しぶりで。
先に何が言いたいかって書いておくと、僕の場合、模写するのかなり勉強になっているので皆さんも練習方法としてよかったら、という話です。
でもマンガを描いている方たちは、みんなたぶん僕よりいっぱい絵を描いてきていると思うので釈迦に説法かもしれません(ごめんなさい)
最近、二日に一回くらいのペースでマンガの一コマの模写、それと同時に自分ならこう描くというのもセットでやっていて、そこで僕が感じたことなどを記しておきます。
個人的に今年のテーマというか、やることの一つに絵のレベルアップがあります。
これは昨年、書籍のお仕事をさせてもらった時に痛感したんですね。僕が頭でイメージしてる通りに全然描けない。
描いた絵と自分の中の理想の絵とのギャップがものすごくありまして。これ結構悩んでたんです。
先日、コルクスタジオの定例会でそのことを相談したら、練習の一つとして模写をやってみては?とアドバイスをもらったんですね。それでやってるんですがこれが気付くことが多いので共有しとこうかと。
ちなみに僕はマンガの模写をするのっておそらく小学生の時にドラゴンボールや聖闘士星矢、キン肉マンなどを描いて以来です。
模写①
まずは秀良子さんの「秀良子名作劇場① みえちゃんち」に掲載されている「あずき日和 第一話」から一コマです。
単行本の前半がおそらく作者様の子供時代のコミックエッセイでみえちゃんの話。クスリと笑える話や幼い頃独特の切ないエピソードに胸が詰まります。そして中盤に収録されているのがこのあずき日和。和菓子屋さんに住み込みで働いているあずき洗いのお話なんですがとても好きな話です。引用はその中の僕が一番印象的なコマです。
出典:秀良子 「秀良子名作劇場① みえちゃんち」115ページより
こちらが模写
・目のバランスは何回描き直してもなんか上手く描けないな…となりました。
・こういうフリル?の付いたエプロンを描いたのは初めてで新鮮でした。
・大声で叫んでいる感じ、飛沫の表現、そうか、これを入れると効果的になるのか・・・
など。
そして、「自分だったらこう描く」というのも描いています。
正直この自分だったらこう描くに関してはまだまだ手探りでどこまで元に合わせるか、ということなど模索中です。一旦は主に顔を今の僕だったらこう描くかな、というやり方で描いてみました。
少し泣きそうなのを我慢しているように涙目にするかな、飛沫はつばのように描いてしまったけど元のように点の感じの方がなんかいいな・・・とか。あと、僕だったら髪の毛に少し色を入れちゃうだろうな、エプロンのしわはこうなるかな?
なんて色々考えながら描いていました。
で、元の画像と比較してみると「おお・・・レベルが違いすぎるよ・・・」とまた少しショックを受けます。
模写②
次は浅野いにおさんの「うみべの女の子」からです。
浅野さんの描くキャラが好きでずっとこんな風にかけたらなあ、と憧れを感じています。
出典:浅野いにお 「うみべの女の子 」1巻 第一話 32ページより
こちらが模写
・まずこの構図、自分では絶対頭に浮かばないと思いました。すごい・・・
・右のコマの顔、何回も書き直したんですが全然元の表情が再現できない・・・
・頰の線、交差させるとちょっと柔らかくなるな、とか目の中の斜線でかなりイメージが変わるのか
・影の描き方難しいな、ベタから網目でグラデーションにする方法があるのか、マフラーの柄どうやってるんだろう?
・眉毛と目の距離が元の方が近くて悔しさのような感じが強く感じる。そこでも印象がずいぶん変わる。
などなど。
そして自分だったらこう描くも。
・眉毛の角度によって感情が変わる(この場合は怒りや悔しさ)
・黒目の大きさで年齢の印象も変わるか(大きい方が幼く見えるかも)
・右のコマはやはり口を開けて吐息があった方が感情が出るな
などを感じました。
模写③
三つ目は綿貫芳子さんの「オリオリスープ」からです。
料理をテーマにしたマンガにはやはり惹かれるところがあります。オリオリスープに出てくるキャラは男性も女性もすごく艶を感じます。
出典:綿貫芳子 「オリオリスープ」3巻 102ページより
こちらが模写
・僕が描いた方は全然艶がでない。難しかったです。髪の毛と目が特に。髪の毛はどことどこが繋がってるんだろう・・・目の黒目の部分も光をこんな描き方をするんだ・・・と悩みながら描きました。
・細めた目がどうやっても違うな、大きさ?なんて色々試してました。まぶたもこんな描き方があるのか!と発見です。
・目のうるみ具合、髪の毛の曲線、肩のラインなど微妙なバランスでこんなに印象が違うんだと。線の細いところ、太く描いているところでメリハリを効かすのか・・・
・この場面で食べてるのは冷たい甘酒なんです。温かい食べ物だと湯気のようなものを描くと思うんですが、冷たくておいしい時、こういう表現のやり方があるのか…。これはどう描いているんだろう?
などなど。
自分だったらこう描くはこんな感じになりました。
・眉毛は毛として線で描くより丸くまとめてみようかな、目も僕はあの描き方できないな・・・
・口から漏れる美味しさや香りの表現、他の描き方はないかなって挑戦してみました。が、これは元の表現の方がいいですね…
模写④
4つ目はオカヤイヅミさんさんの「すきまめし」からです。
こちらも料理をテーマにしたマンガですね。「ものするひと」も大好きでちょっとしたすきま時間に作る料理の描写がいいんです。読んでいてさっと何か作りたくなります。
引用:オカヤイヅミ 「すきまめし」73ページより
こちらが模写
・この線の感じ好きなんですよね。僕が普段描いているものもかなり影響されていると思います。
・髪の毛のバランスと光の描く位置、そっか、ここになるのか・・・と。
・口の位置をかなり右上にあげているんだな。こうすルトより悪だくみの感じが出るのか・・・
・あえて定規を使わない線、柔らかい印象になるんだよな・・・
など。
自分ならこう描くはそんなに差が出る描き方ができなかったなあと。
・髪型を少し変えてみて光の描き方も変えてみました。あんまりここだけ細かくすると他の線とバランスが違っちゃうんでもし細かく描くなら服や背景もそれに合わせないと浮くだろうな・・・
・定規使って真っ直ぐな線にしたらどんな印象になるかなと試してみました。これはこれでという感じもしますが、やはりフリーハンドの線の方がしっくりくるかな・・・
など。
まとめ
僕の場合は今まで模写をやってなかったせいもあり、いざやってみて気付くことが多すぎます。細部の描き方、線の引き方、コマの使い方、構図、表情(なんの感情を表しているか)、各パーツの微妙な位置で全然印象が変わる・・・などなど。
読者として読んでいるときは意識してなかったことが、描く側になって初めてわかる、気付くというか。
改めてプロのレベルの高さを思い知って慄くのですが、得るものは大きいと思います。ただ、めっちゃいろんなことを考えながらやることになるので結構パワーを使います。
色々な絵柄の作品を幅広くやった方がおそらく気付くことは多そうだなと予感しています。皆さんもよかったらやってみるといいかもしれません。
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