エリンギの観察日記 2019年2月12日
これはしめじである。
今日はパスタを作るのだ。なお、エリンギは順調に変化がない。
最近、なにか書いたりレザークラフトをするとき、スマホで映画を観ている。アマゾンプライムに入っているので見放題だ。
昨日から見ている映画は「お父さんと伊藤さん」という映画。リリーフランキーを好きなのがチョイスした理由だ。
この映画を観ていて親父のことを思い出した。ちょっとだけ語ろう。
僕の父親はすでに他界しているのだが、実のところ父親が何の仕事をしていたのか今でも良く分かっていない。務めていた会社はさすがに知っているが、具体的にどんな内容の仕事をしていたのかを知らないということだ。
亡くなる一年前くらいだったと思うけど、一度、名刺を見せてもらったことがある。
肩書きは「動力部 課長」だった。動力部ってなんだろう?と聞いたところ、なにやら船か飛行機かのエンジンを作っている、というようなことを言っていた。その時の僕はへー、そんな仕事があるんだと興味なさげに聞いたものである。今だと興味津々に根掘り葉掘り聞くのにな。
みんな父親のことってどれくらい知っているのだろう。
僕はバツイチだ。結婚する前、両家の顔合わせという名目で食事会が開かれた時のことを思い出す。
うちの父親と相手の父親の年齢が近かったこともあり、オヤジ同士はびっくりするくらいすぐに打ち解けた。
お酒が入っていることもあり、二人とも饒舌だった。実際、喋っているのは父親二人だけで、お互いの母は困り顔。
気づくとなにやら父親が若い時の話になっていた。
「ああ、あそこの飲み屋はわたし、よくいきましてねえ」
「若い時は自転車で神奈川から仙台まで旅をしましてね・・・」
「私もそれ好きでしたよ!高校生の時・・・」
その時、初めて僕の知らない父の話を聞いたのだ。
僕は、僕が生まれてからの父の姿しか知らなかった。
平日、仕事から帰れば晩酌をしてすぐに寝てしまう。休日は庭の草木をいじったり、僕ら兄弟と釣りに行ったり。そんな姿しか知らなかったけど、本来はかなりアクティブに人生を謳歌していたようだ。結婚してから、特に子供ができてからは家族を優先したのだろう。
父にも、少年時代や青春、結婚する前、子供ができる前の人生がある。そんな当たり前のことに、この時初めて気が付いたのだ。
オヤジ自身が特段自分のことを話さなかったこともあるが、僕ら兄弟も聞く耳をもっていなかった。そういうものかもしれないが、自分のことしか考えてなかった。
食事会のあとで母に言った。
「オヤジ、若い頃あんなにアクティブな人だったんだね。知らなかった」
「私もしらなかったわよ」と返ってきた。オイオイ。
みんな自分の父親、母親のことをどれくらい知っているのだろうか。
これは僕が歳をとったから思うことかもしれない。でも、映画を観ながらそんなことを思ったのだ。なお、映画はすごくよかった。
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