佳絶
※この文章は個人的な所感と内省による副産物です。
2024年7月6日土曜日、東京都。いつもより気温は高く、肌は軽く汗ばんでいた。
池袋からさほどの距離もない、ミクサライブ東京にてイベントは始まる。
イベント開始後、間もなくして、あれほど目に耳にしていた、動画の中の配信者が現れた。その時は視界に映るものが何であるかを理解しきれておらず、必死で動悸を抑えていた。己の興奮は冷めぬまま、ここで多くのファンと熱狂し、あるいは衝撃に耐えながら、時間を共にした。
自分が、かの配信者に入れ込んだきっかけは、なんでもない一本の動画だった。(きっと一人の名前が浮かび上がってくるだろうと信じ、名前は伏せておく)
そもそも、直近までゲームやら実況やらに頓着のなかった自分が、まさかこれほどに影響を受けるとは、思ってもみなかった事態であった。
知識も造詣も浅い自分が惹かれてしまったから言える。
とにかく彼の動画は面白かった。
面白さが衝撃的だったのだ。
身の丈を軽く笑いに昇華したと思えば、怒りに任せてキレ芸をしたり、おふざけとしか言いようのない謝罪に免じたり、動画の中ではやりたい放題。かと思えば、ほかの動画ではテレビ番組を痛烈に批判するなど、鋭い社会風刺を見せた。
この人間のあり様が面白おかしく、知りたての頃に私は軽く布教していた。だが、既にインターネットからほとんど姿を消してしまっていたものだから、あまり快くは受け入れてもらえなかった。(まあいいけど)
その二か月後に、彼は復帰した。
ありがたいというほか、なかった。
一年と半年ほど、私生活が忙しくなり、頻繁には追えていなかったものの、こうした重要な一場面を少しでも目にできたことは筆舌に尽くしがたい。
私は新参のいち視聴者として、あのとき好きになってよかったと、心から思う。
彼が苦節苦難を乗り越えた事実に、私もいくらか救われた。同等に語るべきでないだろうが、それでも救われたのは事実である。
生きていてよかった。そう思えたひとときだった。
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