短歌⑤

アラザンを散らしたような冬銀河小さな背中は誰を探して



赤本と向き合う君の輪郭を辿って背負うリュックの重さ



数式とチョークを浴びる右腕に背伸びする日や何度目の恋



体温を分け合う日々は来ないまま上着の袖を引いてみただけ



去年今年赤本に散るふたりありビデオ通話はじきに明けゆく



兄ちゃんと呼べばふわりと揺れる髪触れた温度が滲みゆく冬



交わりは青さの中の気まぐれで貴方の影が雪に伸びてく



シリウスを手繰り寄せては紡ぎし日幾度の春を迎えど熱く



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