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アーカイヴ/CDが届く(2020/02/07)

・寒くなってまいりました。今日の最低気温が-18℃だそうです。気合入れてばりっばりの厚着をして外に出たら暑かった。

・釧路が今日-18℃だそうなので、釧路に思いを馳せようと思います。道東に行ったことはないけれど……。

・昨日と今日はアーカイヴで作業をしました。アーカイヴとは?

・重要な文書や貴重な文書がまとめて保存されている場所のことをいう。いろいろな種類のアーカイヴがありますが、僕が通っているのは主に音楽関係のアーカイヴです。夏目漱石や芥川龍之介や三島由紀夫の原稿・書簡が一箇所にまとめて保管されているような場所、というような感じでしょうか。われわれ研究者はそのような原本資料とにらめっこしながら、新しい事実を探し当てようと頑張っています。

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・こういう外観をしている。けっこうでかい建物だが、基本的に研究者が立ち入れるのは一階の20脚くらい机が並んでいる一室だけ。あとはぜーんぶ資料庫です。すごい。

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・こちらはCDです。ラフマニノフのCDボックスとユーディナのCDボックスです。配達員の人が家まで届けてくれたのですが、めっちゃめちゃキンキンに冷えていたうえにめっちゃめちゃタバコのFlavorがした。

・CDボックスという形態が昔から好きで、日本の実家には50枚組のCDボックスが十組単位であったりします。重すぎるのでモスクワには持ってきていない。少ないけれど100枚組以上のものもあったりする。一般的なイメージはどうかわからないけど、ブリリアント・クラシックスというレーベルがボックスセットを安く売ってくれていて、お金がない学生の懐にも優しいのです。今見たら85枚組のベートーヴェン・セットが10000円くらいで売ってますね。一枚単価で考えたらブックオフくらいだぞ。経済的だね!
(そうやって考えて買うけど、後になって結局85枚全部聴くのは至難の業だということに気づくのである……。)

・ユーディナのものから聞こうと思ったけれど、気分が変わってラフマニノフの33枚組をリッピングしています。ロシア・ソ連の演奏家による名演が収録されているわけだけれど、ピアノ協奏曲第1番、第2番、第4番がそれぞれ2曲ずつ収録されているのは不可解。第1番と第4番は少なくとも2つの版で演奏されていることが知られているけれども、別に違う版で演奏しているわけではないらしい。なんなんだろう。

・あと、ピアノ協奏曲第3番がホロヴィッツ/アルバート・コーツの録音なのだが、流石に収録されているなかでも古すぎて若干浮いている。同じCDに収録されているドレンスキー/ドミトリエフの《パガニーニの主題による狂詩曲》が80年代の録音なので、より浮いている感が際立つ。

・こういう録音年代のギャップは良し悪しだと思う。ディスク2には《楽興の時》作品16が収録されている。名曲です。クラシック音楽を聴いたことがない方も多いかと思いますが、とても恰好のよろしい曲なので聴いてくださいね。

・こういうまとまった曲集でも、演奏者と録音年代がバラバラなのだ。第1番では1984年の録音を堪能したかと思うと、第2番と第3番では突如として1960年のライヴ録音に移る。このギャップを面白いと感じるか不自然と感じるかは場所と気分によると思うが、若干寄せ集めのきらいがあるなあ、という印象は否めない。

・そういう編成上の不自然感はいくつかあるけれど、極めていいCDボックスなのは間違いない。

・歌曲が全てまとめて収録されているのもでかい。ロシア歌手の訛りのない録音を聞くのはやはりとても良い勉強になる。例えば名歌手アレクセイ・マスレンニコフの《何という幸せ!》(作品34-12)などは、もはや聴くのが幸せだ。

・録音は違いますが、いい曲なのでぜひ聴いてください。ラフマニノフは感情の高ぶる表現をしたい箇所で和音連打を多用する傾向にあるのですが、この曲はその真骨頂です。歌詞の最終二行が「そしてこう言いたい、僕は君を愛している/君を、ただ君だけを愛している、君が欲しい!」という大熱唱で、それをピアノ伴奏が煽る煽る、そして最後に追い越してしまう!

・ この約束された名盤を、時間をかけてしっかり堪能しようと思います。


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