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人間かAIかクイズ解説

※この記事にはセンシティブな画像が含まれます。

タイムラインで流れてきた話題の「人間かAIかテスト」を解いてみました。まあまあの難易度。何より見てるうちにだんだん疑心暗鬼になってくるのがヤバい。

なんで疑心暗鬼になるかというと、理由は問題文にあります。
>人間によってレタッチされた画像は、AI としてカウント

人間にレタッチされたらそれはもう人間なんよ……
「いや、ここがちゃんと描けていてもこれはレタッチで直してるだけかもしれない」と思うと泥沼にはまります。人間の絵がAIに見えてくると、なぜかAIの絵も人間に見えてくる不思議。

4問ミスでした。ミスした問題も結果を見てからだと「ああ、ここか」とわかる部分があったので解説していきます。間違い探しみたい。

あくまで私が間違いに気づいた部分の紹介になります。本家から見分け方が出ているわけではなく、また私が気づいてないだけでもっとモロな部分があることがあります。

ネタバレなので、先に自分で解きたい人は解いておいてください。

※以下、注意事項にある通り性的な画像が出てきます! 閲覧する場所に注意してください。

Human or AI



解説

1、AI
一見すると人間のようで、AIとは断言できず(人間の絵だったら、AIだ!と言うと大変な失礼)ミスした問題。
気になっていたポイントは背景の違和感。キャラのタッチと明らかに違う。もちろんそういう絵もあると言えばある。
細かいことを言えば耳が変、右胸の水着の紐が崩れている、鎖骨(特に鎖骨のつなぎ目)の違和感、首筋の謎の毛(細かい毛先をあそこで散らかす意図が不明)。ただ、これらも「絵が下手なだけ」と言われれば人間でもおかしくない。

決定的なのは「首の後ろと髪の間の空間に背景の海がなく夜空の延長になっている」こと。
アナログの一発描き絵ならこういうミスがあるのかもわからないが、デジタル絵で海のレイヤーと人のレイヤーを分けて描かない人は今どきいないので、ここでAIと確信できる。

今のAIはレイヤーを分けないので人物の髪の隙間の背景がおかしいのは割と頻出の特徴。

ただ、これはレタッチされたらわからない。
しかも未来のAIはきっと背景と人物を別々で生成して違和感なく合成する。技術的にはもう次の一歩という段階まで来てそうなので、間違いなく近いうちに見分けられなくなる。

2、AI
左脇腹の肉が水着の外に溢れ出している。
髪の流れが変とかもあるが、証左にはならない。

3、AI
うなじの後ろの肉はどこの肉?
あとは服の肩紐がおかしい(左右で違うデザインの服の可能性はある)、いつも通り髪がおかしい。

4、AI
AI特有の手の崩れ。頭が髪飾りのところで凹んでおり、ベッドの手前には分離した髪の毛の束がある。髪の束が分離してしまうのも今のところAIに頻出のミス。

21、AI
これもミスったやつ。
手が黒手袋で見にくいが、よく見れば確かに崩れてはいる。

いや見れんて。全問正解の人すごい。

あとは確信ではないが、ネクタイとネクタイが入っている右の襟が崩れている。胸元もアシンメトリーデザインだと片付けるには乱暴なぐらい左右非対称なのが気になる。

22、AI
こういう画風と言われてしまうと困るが、融合と分離、歪みなどが明らかに多い。
左下には髪の毛の色が付着した背景の機構があり、髪の毛の束の分離の亜種。

23、AI
手と耳

24、AI
耳、首元の紐、服の模様

25、AI
手、耳、全部

26、AI
手、耳、目尻、髪

27、AI
手、髪、背景の円窓

28、AI
手、ベッドの膨らみ(特に左手の下)、髪、左肩から首周り

29、AI
服(キャミソール?)の胸から肩に伸びるはずの紐が途中で消失、代わりに右の首元から肩に髪ではない謎の黒い線、右耳付近から直線で下に向かってる謎の髪の毛、画面右側の分離した髪の毛の束(頻出)

30、AI
バカほど難しいが襟足(肩と首の後ろに見える髪の毛)と背景の海が混ざって変な感じに。
首の後ろとか髪の毛の隙間とかで切り取られた背景、バグりがち(1と同じ)。
左腕の服のしわがおかしいと言えばおかしいが、かなり難易度の高い問題。

31、AI
耳、右手がスカートに同化、左腕が消失、スカートのしわがラフ画にしても違う、服のデザインが????

32、AI
前髪が全て。もっと言えば左脇の線の入り方、首元、胸のロゴ、右腕の影。

33、AI
髪(毛先)、右脇、服(右の袖と裾が同化)

34、AI
とりあえず手。画質が悪くてそれ以外は微妙

35、AI
全体的に描写が少ないので判断材料は髪の毛ぐらい。耳も変っちゃ編だが、特に右肩の服のしわに同化してる髪が一本あるのが決め手。

36、AI
一番は襟が不安定に波打ってるのと、アウターの胸元の黒い2本のラインがリボンで遮られたら肩の方には伸びてきていない点。
装飾品で遮られた模様、整合性たもてず消えがち。

あとは胸のしわ、腕のしわ、耳あたりが証拠ではないが気づきにはなりそう。

37、AI
急に赤くなってる髪はそういうキャラデザかもしれないのでノータッチ。
背景と光の向きが違うのは人間でもやるミスor別な理由かもしれないのでここもまだ疑惑程度。

髪の右側のピンのあたりが崩れている、左目の上の立体感を出すための横向きの線が不自然。右目の上の感じならわかる。
リボン付近のセーラー服が左右ともそれぞれ崩れている。左胸のほうは髪で襟が遮られたことによって存在しない白い布地が出ている(遮られバグ、頻出)。
右胸のほうも髪より内側の襟は折り返してリボンの上に出て切れ目が入っているが、髪の外側にはもうひとつの襟がある。

38、AI
耳と首元の服が崩れている。
髪と髪の隙間に色んなもの吸い込まれがち。

39、AI
両脇の謎のしわ、胸の上に乗る分離した髪の束、左腕と髪が同化。

40、AI
手。
髪がシーツと同化しているのはこの画風、デザインなら「仕様です」で通る。

41、AI
手、服のしわ(両肩から両腕)、右の胸に垂れている髪の毛先

42、AI
抱えているナニカ、涙っぽいナニカ、目の形

43、AI
手。
あとは肉の付き方、顔と身体の表現の不一致、髪の迷子ぶり、服はいわゆる「AIっぽい」感じ。

44、AI
手がどうなってるのかはさておき、胸付近の服が崩壊、左腰あたりのスカートに「その布どこから出てきた何?」というパーツがある、右側の金属の棒で区切られた背景から髪の毛が消失。


以上です。
見れば誰でもわかるのもありましたが、特に自分が難しいと思ったものを画像つきで解説しました。
画像出典は上記クイズのURLということでお願いします。AIアートの作者がこのクイズに勝手に使われて困っている等の申し出があれば対応するのでご連絡ください。


傾向とまとめ

「まあ、描く人のスキルによっては、こういう絵も無いわけではないわな」と思うとほとんどのAI絵は人間絵と区別できません。
レタッチしたら尚更ですし、今後AIの技術が進歩したら完全にわからなくなるので必要かわかりませんが、現時点での傾向。

①手はやっぱり変。
けど人間も手は苦手なので見分けるのは手の「上手さ」ではなく、まず指が5本あるかどうか。立体感はさておきどう考えてもあり得ない潰れ方をしていないかどうか。

②小さく切り取られた背景の整合性が保てない。
今回は首の後ろが顕著だったが、髪や壁や棒で区切られると全く違う景色を準備しがち。向こう側まで続いていないとおかしいものが消える。
AIがレイヤー使い始めたらやばい。

③意味がない線がある
これだけ聞くと絵師さんは「自分も意味のない線いっぱい描いてますが?」となるが、そうじゃない。

AIは根本的に「人間の形」を理解していない。「人間のイラストに含まれる要素」を集めて再構成しているだけなので、関節がココにあるからココにこの向きのしわができるよねという、人間なら自分の体を見て誰でも理解している当たり前のことができない。

それに伴って存在しないところに肉の塊つけがち。それっぽければ良いだろうと思っているので、服装も「これ何のパーツ?どこから出てきた部分?」と詰めるとAI君は答えられない。自分でも耳が痛いが。
また、しわが深く長くなりがちで、それが他の何かの線と繋がりがち。髪の毛の先端も、何の意図の感じられない流し方・散らし方をすることが多い。

④遠近感を理解していない
要素を抽出しているだけなので、現実にある立体物をイメージ→2次元に落とし込んで表現というプロセスがない。なので普通のポーズなのに前髪が肩にかかって背中にいくとか、背景の物の大きさの比率がおかしいとか起こりがち。

⑤分離、融合を起こす
これもレイヤー分けされたら少なくとも背景との融合はなくなる。すぐ改善されそうだが、特に髪の毛の先が分離、融合を起こしやすい。

⑥クオリティの不一致
特にNobelAIは背景、肉体、そして顔と別々のタッチで描くことがある。雑呪文だと同じような顔を描く。工夫があれば統一感があり凝った絵ができるらしいが、それをやる人はだいたいMJやSDユーザー(偏見)。
※Midjourney, StableDiffusionのこと

なのでNobelAIはパッと見で独特の違和感というか味というか雰囲気があることが多い。顔と胴体を別な人が描いているような違和感。

また「AIはここが下手だから」で断定していくと「そもそも絵が下手な人」がAI認定されてしまう懸念があるが、そこは何というか、まあ大丈夫だと思う。


これは魔女裁判されて気の毒に思う反面、自虐が面白かったです。

めちゃくちゃ上手いデジタルイラストの一部分だけが極端に崩壊していると、AIかな?…となるのであって。
平常運転で手を崩壊させてしまうイラスト練習中の方は、AIと見分けがつかないのは事実かもしれないですが、見分けがつかないことによって特に不都合はないと開き直ってしまいましょう。


終わりに

この1週間でもさらになんやかんやあって、さらにAI絵への議論は加熱しています。
これを最後まで読んでいる人は冷静な方だろうと思いますが、AIイラスト賛成だの反対だのの次元で語っている人に私は聞きたい。

「まさかNobelAIごときがAI技術のゴールだと思っていますか?」

ここはただの通過点です。

↓好きなツイートなのであるふさんの呟きを紹介。

https://twitter.com/alfredplpl/status/1580913840518139905?t=EDf4_wfz5y32n_yvN1GAvQ

インターネットの普及によってマスメディアに独占されていた「情報発信」というコンテンツが誰でもできるようになり、携帯電話の普及によって私たちは1億総カメラマンになりました。今回のAIショックは第四次産業革命の始まりとも言われています。

スキルや準備がなければできなかったことが、ひとつずつ「誰でもできる」世界になっていきます。
そして昨年からのAIの爆発的な進歩はあらゆるデスクワークを飲み込んでいきます。AIはすぐに動画も作れるようになります(既にかなり作られてます)。もちろん小説も、プログラミングも対象です。

賛否があっても技術は進む方向にしか舵を切れません。速度を遅くすることはできますが、隣の船(外国)に追い抜かれるだけです。
なら賛否はもはや意味がなく、それを「どう使うか」を考えることしかできないのだと思っています。

もちろん、なるべく悲しむ人が少なくなり、かつなるべく集団に利益のある(最大多数の最大幸福)ような使い方が望ましいです。
できれば不毛な言い争いではなく、そういった方向の議論がなるべくたくさん行われてほしいと思います。

まさか自分の人生で産業革命をリアルタイムで体験できるとは思いませんでした。
これを読んでいる方もAIに興味があるはずなので、ぜひ最前列でそれを目撃してほしいと思います。


10/22追記
もっと詳しく判別方法がまとめられているブログがありましたので紹介します。ぶっちゃけこのnoteより1億倍良いです。


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