見出し画像

2月前後

最近響いてるものの話

いやはや熱海くん(1)

5話。5話が本当に。物語にすると、こうなるんですね……というようなお話で。良かったですね。この尺におさまるような話であるというのも同時に衝撃的だった。
このシチュエーションとこのモチーフをこう組み合わせて、こう持っていって、というのに痺れる瞬間はいつだって心地好い。
あのときこれ読んでたよね、となるものが自分にもたくさんある。高3のときに雲の図鑑を眺めていたのを筆頭に。昔のnoteの投稿など見れば なるほどね… となるかと思います。
この漫画を買った日だってそういう本を求めに本屋へ向かったのかもしれなかった、けど結局レジに持っていったのは平積みされていてつい目に入った「熱海くん」で、そんなことばかりの日々だなあ、と思う。

旅に出たい、と言って / PENs+

明らかな違いはいずれ分かるでしょう
今は誰も読まない本を探してもいいでしょう
/
真っ赤なピエロは嘘をついた 靴を脱ぎ捨て 本を裂いた
もういなくなるのは怖いよ
栞を挟んだままの本は他の誰かに見られたくはない
明日燃やしてしまおう
旅に出たい、と言って / PENs+

誰の棚にも並ばない本も読んでいたいし、読んでる途中を知られるのも微妙な顔になるし、なんなんだろうな。なんでこんなに、ね、本を……と思いながら聴いてしまう(もちろん、それだけの話じゃないけども)。
改めて歌詞を読んでみたらとても切実で、どうしようもなくマスターピースだった。

これを作ったときのメンバー(全員学年同じだっけ…?)が19だったの、本当に信じ難い。とんでもない時代だった。今だってそこかしこにずば抜けた時代性、テクニックを持つミュージシャンがいるのを知っているし、近い精神性のバンドがいるのも聴いていれば分かる、けれど。"これ"が王道みたいになりそうな瞬間を、たしかに生きていたのを覚えている。
文化祭行けばよかった、と今でも後悔することがある。都立の軽音部を見てみるならあの時しかなかったから。
こういう音楽がまっすぐ覇権に存在するような時間が長くは続かなかったこと、形を変えて少しずつ日常に馴染み続けていること、どちらも大切な事実だ。10年前の曲も、いまの曲も、ずっと大事に聴いていたい。

THE SPELLBOUND × BBHF
GORILLA HALL OSAKA KOKERAOTOSHI SERIES

水曜日にチケットを取って、THE SPELLBOUNDとBBHFの対バンを見た。
真新しいライブハウスは初見じゃ動線が難しく、何らかの施設に何度か迷い込んだ。競艇場前を通り過ぎ、温泉とゴルフ練習場の間を縫えば着きます。2路線使って2回行ったので対策は完璧。

メインのバーカウンターは2Fで、そこではKiUの物販と、カルピスでもスプライトでも割れる、やさしめなドリンク表を見ることができた。
2Fフロアを観客にも開放してくれていたら絶対そのまま見ていったのだけど、そしたらみんな溜まりすぎてしまうからなかなか開けられないのだろうな。クラブ系のイベントのときなら使い勝手が良いのかもしれない。あんまり良くないけど、開演してからだと混んでなくてスムーズだった。

ハードコアなバンドの方々が作った、杮落とし公演もつよそうなバンドの多いライブハウスでは、轟音にめちゃくちゃ強い設計になっているとしか思えない音の響きを存分に味わえた。スペルバウンドなんて空気に触れている部分すべてが振動するほどの壮絶さだったというのに、ずっと出音が鮮明に綺麗で、圧倒的な解像度だった。
機材、音響、キャパ、熱量、そういった規模感によってようやく到達できるような地点がきっと存在していて、そしてそれを遥かに超えていくような凄まじさを体感した。ギター、シンセも去ることながら、ドラムの音圧も最高だった。
フィジカルでしかどうにもならないものを得ていかないとやってらんないことを思い出させられた。また見に行きたい。

BBHFは新曲の「愛を感じればいい」が大名曲で、尾崎雄貴の幸せそうに歌う様子がいつも以上に印象に残っている。ずっとフロアに目線をやっているものだから、信じられないくらい目が合った(ような気がした)。どのワークスも好きなうえで、それでも私はBBHFが愛っぽくて一番好きだ。
自分の精神に馴染みが良い。
帰り道何度も聴き返したTorchは、映像を探したらTOKIO TOKYOでの演奏が見つかった。
スタンドマイク曲の高揚感、何ものにも代え難い、最高……。

企画がどれも魅力的で、TOKIO TOKYOも行ってみたいライブハウスのひとつ。遠くないうちに行けるといいな。

plenty

江沼さんは最近トニセンのツアーに帯同しているらしい。andymoriのメンバーと一緒に。なんて世界線だ。
いつものシャッフルで流れてきた枠を、一太さんの前のドラマーもタイトで真摯ですごくいいな、と今更気付かされながら聴いていた。ので、MVも見た。
クリーンなジャズマスターの音によく合う、こういうシンプルな編成でMVで、曲の強さがまっすぐに映えるのが素敵だ。
10年後に思い出して、好きだったな、と思い出せるようなバンドや曲に、今出会えてんのかなあ、とか。考えてしまうね。

今、君だけに話してるから
誰もいらないよ。
言葉だけでも僕は残すよ。
それ以上はなく、
それ以下でもない。
枠/plenty

いつまでこうやって聴いていられるんだろう、と5年前から書き続けている。
そう思わなくなる日がいつか来ることが恐ろしい、とずっと思っているな。自分は。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?