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何号線/Silver Moment

色んな地方のライブハウスのスケジュールを見て回っていると、ああこのアーティストも今まさに全国ツアー中なんだなあ、ということを感じることができる。

Zeppやクアトロばかりを回るようなツアーじゃない、新幹線は通ってる地方都市のライブハウスを駆け抜けていくようなツアー。行けるうちに行けるだけ行きたい。
行けるうち、というのは、その土日だけでどっかまで行って帰れる気力や体力のあるうち、というのがメインだけれど、そのお目当ての人たちがそういう体力のある活動をしているうち、という意味でも、地方のキャパの土日公演でチケットが取れる時期、という意味でもある。

2023年の春夏に行ったストレイテナーのツアーは、まさに全国のクアトロ(未満)規模のライブハウスを回るものだった。
ほかの見たいライブとか出るライブの予定を鑑みて、結局ひと週末+東京公演だけ見に行く事が出来た。中野サンプラザでの公演はずうっとふわふわしていて、実はあまり覚えていない。でも映像になってくれたのでたくさん見返せて嬉しい。あれからSPEEDGUNが忘れられなくなって、時折聴きたくなる曲になった。

デビューシングルのカップリング曲に
20年越しに刺さるとか、ある

ツアーが終わったらライジングへ行って、もう一度北海道へ飛んで、武道館が終わって、今度は九州にもう一度渡って、そうこうしているうちに冬のツアーが始まった。
自分がバンドワゴンに乗れなくったって、少しでもそれの追体験をしてみたかっただけ、Silver Liningと246に導かれるように日々を乗り切っている。

24年1月、とりあえず押さえていた横浜公演には行けなかった。
翌週のRensa公演、そのサイズのライブハウス公演でいえば鹿児島ぶりとなるそれは信じられないほどアツくて、楽しくて、武道館を越えた後も同じツアーをやってくれてありがとうと心の底から思った。


週末のストレイテナーのツアーファイナルへの旅程をずっと考えている。
実際のところは県を横断/縦断する電車に乗りたいだけで、乗り換え表を見ればかなりシンプルなのだけど、大雨でどこか止まるかもしれない、というリスクがとても高い。
2015(熊本)・18(長崎)・19(九州一周)・22(長崎)と、受験や疫病の旅行控えの時期以外九州に向かっているみたいな履歴のなかでも、15年は台風の最中、19年は旅程前半で行った武雄温泉が大雨の被害にあっているのを最終日?前日?の別府の温泉のテレビで知る、みたいな出来事があった。

今回の熊本行きは、もともとエルレの熊本公演に行くか迷っていたことがきっかけだった。
自分の予定との兼ね合いでその連休を九州に費やすことはできないから、結局応募もしなかったのだけど、いやエルレを見るために熊本まで行けるんだったら、テナーを見るために行けば、行ってしまってもいいのでは!??と思ったのだった。

その前後にはシロップの福岡という案もあったけれど、それも同じ理由で諦めたりして。
行けないなあと思ってるうちにシロップ福岡は延期になり、そういうリスクも今は考えながら旅程を組まないといけないよなあ、ということを再確認した。
目的が無くなっても行きたいと思うほどその地に行きたいと思っているかどうか、それでも飛んでしまえるほど現地での時間を確保できるかどうか。遠征するのに考えるべきことは遠征を計画している間にこそ増えてゆく。

エルレのアリーナ/スタジアムツアーへの案内では、くれぐれも安全に来てください、ということが強調されていた。
思い出すのはあのラッドのライブの日の事故のことで、当時自分は邦ロックにもミュージシャンの発信にも触れていなかったけれど、あれはきっとセンセーショナルな出来事だったのだろう、と想像してしまう。
ライジングで夜通しライブ見たあとに運転する係の人は絶対に仮眠すべきだけど、タイテ次第な部分もあってやっぱり車移動って大変だよな、とかも同時に考えていた。
バスの運転手さんの労働環境が健やかであることを願うことしかできない。多少高いバス代だって、そのためなら仕方ないので出すに決まっていた。


大分から熊本へ行くどのルートにも、地震や大雨で被災して復旧した箇所か、先週の災害で途切れた箇所かがあるようだった。
受験生で全然情報に触れていない時期の出来事で、新聞の紙面は見た気がするくらい、町の位置も知り合いがどこに住んでいるかもどんな被害があったかも、ほとんど何もかものことを知らなかった。

57号線を辿って、誰かの車で走った阿蘇の風景を思い出していたところ、橋を目にする前にバスはウインカーを出した。てっきりこのまま電車と併走して、なんならスイッチバックも見られるんじゃないの、と想像していたから驚いた。
え、と慌ててマップを表示させてみると、向きを変えてからもずっと真新しい57号線が続いていて、それが災害復旧のために新設された道路だと分かった。

阿蘇から熊本までの車窓には、時おり重機の群れだったり、形状がダムに似たコンクリ製構造物だったりが姿を現していた。
エルレのツアーの話、くれぐれも安全に来てください、ではあるけれど、その前の週の放送では熊本に来るなら阿蘇のほうは景色も良いし、復興の様子もぜひ見てほしい、というような話をしていたのを覚えている。

阿蘇を抜けると熊本市内はすぐだった。
駅に着くと、電車を乗り継ぎ、まちなかを歩き回った。電車を乗り継ぐならバスの途中、市役所やんかで降りてもよかったな、と少し後悔した。
迷い込んだ公園、文学館や博物館の類は夏休み前の展示の入れ替えでやっておらず、なんとなく対抗心が出てしまい、少し離れた徳富記念館に向かった。夏休み前の展示の入れ替え、は多分どこの地方でも遭遇しうるから、今後旅程を考えるときは気を付けようと思う。遠征の予定はそう自分都合でもなかったりするとこではありますが。
徳富兄弟の話はエピソードが濃く、なんとも面白かった。自我のある新聞記者の名前が残る時代。
熊本のエリート層という概念。

そんなに広い展示でも無かったけれど、文字をたくさん読んだあと、バスに乗って駅に戻り、熊本城方面に向かった。
整理番号的にまあ開場から30分くらいかかるでしょう、と割り切って、時間ギリギリまで熊本城で過ごした。営業再開してから、というか震災のあと初めて訪れた、外から見学できるように張り巡らされた歩道橋を早歩きで回った。
陣太鼓も忘れずに買った!
くまモン柄のは個包装の一つ一つが小さくて食べやすい。家にストックしたいくらい。


熊本でのライブはなんだか本当にハートフルで、熱狂もありつつ、でもどこか穏やかな空間だった。なんとなく前までいけるうえ、前列でしんどくない、というのはとても良いこと!
Discographyが楽しくて、TODAYとETERNALがとてつもなく伸びやかで、まっすぐ誕生日を祝う時間もある、良い夜だった。

アラバキから始まったSilver Liningを聴く日々も、気付けば1年が経っている。1年前の九州の旅のことを何度も思い返しては、またあんな時間を過ごせたら、と夢想してばかりいる。
Silver Liningという言葉が使われているのはなにも表題曲だけじゃない、と気付いたのは、武道館も終わった秋のこと。
entの1stアルバムで既にその単語は歌われていたらしかった。

今年は夏フェスで見る予定も、その先の秋冬の予定も分からないけれど、いつか来るアルバム発売とリリースツアーが待ち遠しい。
涼しい今日にはentが合う。entの活動も見られる日が来るといいな。

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