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12/19(7年越しのアイドル)
2022年に、いずこねこを見た。
かの映画に出演していた、自分と同い年のアイドルが活動を辞めたその年の冬、いずこねこはZeppのステージに立っていた。
1人を選び続けてきたわけじゃないことを知っているのに、どうしてもその1人でパフォーマンスする姿がかわいくて、カッコよくて、儚くて。
夢に見た最強みたいな25分間だった。
あの曲たちのパフォーマンスを、いつ、どれだけ楽しくやっていたのかなんて、正直私は知らない。もしプラニメが続いていたら、それはきっと私の大好きなアイドルになったのだろうけどー置き土産のPlastic 2 Mercyはずっと、メンバーが誰であっても大好きだー、最初にマリちゃんを選んでしまったから、なかなかその後もWACKに、ひいてはekomsに、縁を持てなくなったりもした。
いずこねこセットリスト🐾
1. SE
2. nostalgie el
3. last cat factory
4. BluE
5. white clock
6. rainy irony
🐈⬛🐈⬛
SEが鳴って、たったひとりステージの0番に立つ。真っ白な衣装、ねこ耳のフードを被っていて表情はよく見えない。
今まで見てきたどんなライブのそれよりも張り詰めた空気のなか、1曲目のnostalgie elが始まった。
にゃー!よっしゃにゃんこー!
しゃむ!すこ!のら!みけ!
やまと!いずこ!にゃんにゃん!
声出しこそ出来ないが、終ぞ訪れることの叶わなかった当時のアイドルシーンらしい振り付け、MIXに、自分の熱量は当時に戻っていた。歌詞の暗さや諦念から、この猫の名前を叫ぶMIXになだれ込んでゆくの、本当にすごい緩急だ。
全力でやっていればやっているほど麻痺するもので、私もこれしか有り得ないと思っているけれど、初見のインパクトは相当だと思う。
幻想感 嫌 想像で溶かしていく日々
あどけない笑顔見せて すり抜けてく僕たちは
透明感 無に等しい 美しくて
帰れない日々の罪を 償える時はいつ
↑めちゃくちゃ好きなサビだけど今でも意味は分からない。これのあとにMIXが入る
2曲目、last cat factoryのliminal spaceさは筆舌に尽くしがたかった。
乗り換えが分かりづらすぎて最悪な改装中の浜松町駅も、天空橋駅のホームまでの道のりも、ZeppHaneda周辺だって、完全にこの曲の解像度を上げるのに貢献しているようだった。
いずこねこのコンセプトどおり、廃墟に佇む様子を浮かべて聴いていた時期もあるけれど、いつからかそういうー奇麗なのにどうしようもなく空虚な空間、みたいのを想像するようになった。感受性が現代ナイズされていっているということ。
BluEはあんまり動画を見てきてない方の曲で、振り付けもほぼ初見だった。この感情はどこから来て今放出されてるんだろうな、とか思いながら見ていた。
いずこねこの激情を存在させられるのって、当たり前だけどいずこねこだけだ。
わけも分からなく、ではなく歌うのを選んで、舞台に立つのを選んでのこの曲は、より一層沁みるように思えた。あと間奏に挟まる雨のSEがとても好き。
いずこねこ&ライムベリー - BluE(140429 渋谷WOMB)
↑感想でhimeとMIRIのラップが入るコラボver.
久々に見たな……。
「一瞬の夢が終わるよ」、刺さりすぎる
white clockは五拍子始まりの曲で、でもとてもノリやすく、五箇所で手を叩く振りがバチッとハマっていた。PPPHからのサビ(コール入り)で急にアイドル曲度が上がるのも良い。
なんだかんだいってこの頃のサクライ曲ってシンプルで好きだ。空白の多さは予算とか時間とか、そういった余裕の無さからくるものでもあったかもしれないけれど、それを乗りこなして良さにしているよなあとしみじみする。
最後の猫工場の歌詞カードには出荷されていくいずこねこマークのダンボールが描かれている。
そういう、どっかに運ばれていくのにどこにも行けないようなイメージの、好きな世界観であることだ……と噛み締めてしまった。その後さらざんまいを好きになったのもここら辺から来ているのかもしれない。
あっという間のラスト。
今年の夏にファンと共作した曲を持ってくるのかと思いきや、代表曲rainy ironyを最後まで踊り続ける姿は圧巻だった。
辛いから 前を向かない
夢も追いかけてないの
願えば叶うなんてこともないの
行き止まりよ
ただひとつ 思うことは
こんな世界さえ愛す
そんなくだらない思いこみも馬鹿ね
(ふふふふーん ふーん ふーん)
↑包容力が偉大すぎる歌詞
めちゃくちゃ好きな曲で、見られるのが震えるほど嬉しくて、でもこの曲をやるアイドルがずっとこれを続けていられるわけじゃないかもしれない、というのもなんとなく分かるな……と複雑な気持ちを抱えたまま、最後まで音に身を任せていた。
左右を指し示して真ん中を撃ち抜く振りのキレが映像で見てきたそれと寸分違わなく見えて、めちゃくちゃゾクッとした。かっこよかったな。
あらゆるエモさがこの曲を今まで自分に残してくれてきているのが思い浮かばされて、最後の方はより一層泣きそうだった。
新宿の映画館を出て、世界終わってなくて良かったあ、と思いながら、予告編に出てきた大森靖子の歌っていたアルタ前を通り過ぎるみたいな時間さえ、ずっと忘れられないでいる。
勇気をもらうとか、前向きになれるとか、救われるとか、そんな直接的な治癒力ってよりかは、じわじわと自分の姿勢にその受け止め力みたいなものを拵えていって、結果過ごしやすさが改善されるみたいな、私にとっていずこねこ(の曲)ってそういう存在だった。
パワーを目の当たりにして、それが手ずから降ってきたとき。全然抱えきれなくて、毎日少しずつ記すのを続けてきた。
当時の自分だったらそうしただろうな、とも思うし。
替えの効かないものがそこにある、あったことを確かめられて良かった。
サクライケンタにプロデュースされたいずこねこという存在はとっくに喪われていたとしても、そのパフォーマンスが全てだと思えた、瞬間がぜんぶ大事だった。
それで前後のにちょがけもクロスノエシスもめちゃくちゃ良くて……。VISIONに出会えて良かった。二度と見られるか分からない最高の香盤。
これで来年もekoms系のイベントに出たら気抜けちゃうけど、多分行くんだろうな、とか。
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