見出し画像

詐欺にあった人

20代後半の頃、職場の男性が好きになり毎日Eメールを送り熱心にアプローチした。思いが通じ、食事に誘われ私は舞い上がった。

西新宿のレストランに連れられて気分もよくなった。そこで、男は自分の年収や会社での評価、出身地や高校大学時代の話を始めた。

高校は勉強しかしないイヤな奴で、大学から東京に出て来てどうしたこうした話を聞いているうち、ヤバイ話になってきた。

ココ山岡でダイヤモンドを購入させられた。いくら払ったかは知らない。がローンを組んだことは間違いない。

ココ山岡は、通りすがりの客に声をかける。ショッピングセンターのエスカレーター付近に店舗があり、私は「すみません」と言われても振り向きもせず立ち去っていた。

しかし、目の前にいる男は、だまされて指輪を買わされた。5年後に買い取りできる将来は婚約指輪に使えると言われたらしい。

そして、ココ山岡は破産し、集団訴訟をして何とかお金を取り戻そうとしていると聞いた。私の男に対する評価が急降下した。

なんでだまされるかなあ。知性も教養もある人なのに、どうしてローン組んでまで、買う必要のない指輪を買ったのだろう?

ココ山岡の社員が一枚上手だったのか。若い男性の心をくすぐり、価値の怪しいダイヤを売りつけた。


おれおれ詐欺が、はやるずーっと前のことである。田舎から出てきた無知な若者に声をかけ、高価な絵画を買わせようとすることもあった。

私も女友達と二人で、展示会に入り、ただ見るだけのつもりだったのに、ぴったりセールスマンに張り付かれ1時間以上絵を見て回ったことがある。意志の力で断り、被害者にならずに済んだ。

いつの時代も執拗なセールスがなくなることがない。生活のためにお金が必要で仕事をする人たちが、詐欺まがいのことをしていると気付かないのも問題だと思う。


それから、小学校の同窓会に行ったら「いい話がある」と言われ内容も聞かず、後日のこのこ出かけて行ったらねずみ講の勧誘集会だったことがある。

自分でやりたくないと言うとカドが立つと思い「親にやるなと言われた」と嘘をついて断った。

私自身も一歩間違えば、だましたりだまされたりする側に立っていた。同情はしたが、だまされた男への恋心はなくなった。

ただ、どうしてこんな告白をしたのか疑問は残った。私の存在がうるさいので自ら離れるよう画策をしたのか。それとも、こんな話をしても変わらず好意を持ち続けるか試されたのか。今でも分からないままだ。