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次元潜水士たちの珍道中

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連作短編小説「次元潜水士」をマガジンにまとめました。次元潜水士たちが色んな次元を旅する様子をお届けします。創作大賞2024のファンタジー小説部門に応募する際に加筆修正しました。 …
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#小話

連作短編小説「次元潜水士」第9話「ブラックホール・スパゲッティ」

やっと実現する冒険旅行と、これから来るお客さんに胸を踊らせながらスパゲッティを茹でる。ス…

水月suigetu
1か月前
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連作短編小説「次元潜水士」第8話「四次元プリンター」

旧式の超立方体型四次元プリンターの充電が完了した。電源ボタンを押すと懐かしい起動音がする…

水月suigetu
3か月前
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連作短編小説「次元潜水士」第6話「喧嘩潜水士」

にらみ合う二人を前にして、私はおろおろしているばかりだった。研究所の門の前で、西先輩と境…

水月suigetu
8か月前
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連作短編小説「次元潜水士」第5話「揺らぐ海と次元」

小刻みに息を吐いて吸う。肺とお腹に少しずつ空気を溜めるのだ。こうすれば長く息を止めていら…

水月suigetu
10か月前
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連作短編小説「次元潜水士」第4話「カラビヤウな折り鶴」

座標の計算という重要かつ面倒な作業を放り出し、折り紙で遊んでいるとインターホンが鳴った。…

水月suigetu
1年前
53

連作短編小説「次元潜水士」第2話「屋上にて門出」

週末のバイトが終わった翌日の昼。ゆっくり身支度を整えて、誰もいないリビングでテレビを点け…

水月suigetu
1年前
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連作短編小説「次元潜水士」第1話「次元潜水士」

【あらすじ】 あちらこちらの家が放つ夕飯の匂い。冴えた冷たい空気。コンビニバイトからの帰り道はいつも通り。しかし私の心の中はいつもより荒れていた。 今日、同世代の同僚が辞めた。音楽活動に専念するためらしい。プロになるという夢をきっと叶えると宣言して、笑顔で去っていった。私の人生に「夢」は無い。音楽が少し好きなだけ。流行りの曲を聴いて、時々カラオケで歌うくらいだ。 私、このままでいいのだろうか。就職活動に失敗してからずっと、具体的な目標が見つからない。渦巻く不安と焦りで身