しんじょう君とちぃたん☆の"いま"

今日、ふと、ちぃたん☆のことを思い出しました。

かつてインターネットを騒がせた話題。その後の経過についてはさっぱり耳に入ってこない、ってこと、よくあるじゃないですか。

上記記事に関しても、騒動が知られた当時の盛り上がりに比べるとなんともささやかな拡散具合で。そりゃあ今の今まで何も聞かずにいたわけだよ。

で、このnoteが一体なにかというと。これらの記事を発端にいろいろとインターネット・オーシャンを漁って回っていたらいつのまにか数時間が経過してしまっていて、ひとつのテキストとしてしたためないと失った己の時間を肯定できないため、まとめられたものになります。

まだ完全な終幕は見せていない事案なので、ここに書き残しておけばやがてもたらされる結末も忘れずに追えるだろう、という思いも一応あります(そこまで必死にリソースを割く話題か?)。

事のおこり

一年ほど前の話。大まかには知ってる前提で当時の記事だけ貼り付けますが、以下。

このニュースを受け、しんじょう君vsちぃたん☆の構図をとってファンが荒れたり、「キャラクターに罪はないよ! 切り分けよう!」と呼びかけが起こったり。そして、「結局のところ(しんじょう君を擁する)須崎市と(ちぃたん☆運営の)クリーブラッツ、どっちがいの?」と白黒付けたがっていたところに、国内でのちぃたん☆の商標登録出願がしんじょう君との類似を理由に弾かれていたり一方海外ではしんじょう君に先駆けてちぃたん☆が商標登録を済ませていたりといったネタが持ち上がり、「あれ……クリーブラッツってやべーやつじゃね……?」と捉え始めるひとびとが出だしたあたりまでが、僕がなんとなく記憶している当時の流れです。

(本件の少し前に「ティラミスヒーロー」のいざこざがあり、商標問題に敏感になっていた頃だったと思います)

申し立て却下以後

冒頭の記事の通り、須崎市によるちぃたん☆活動停止の申し立ては東京地方裁判所にて却下がくだります。2019年9月のことです。

ただ、ここで終わってはいませんでした。東京地裁の審判に須崎市が不服を示し、即時抗告の申し立てが行われていました。

が、こちらも知的財産高等裁判所にて棄却

これが12月下旬で、だいぶ日付が現在に近づいてきました。

そして2020年

知財高裁の決定についての須崎市側からの言及が、以下。

これに対しまして、今後どうするかという話でございますが、明日、代理人と打ち合わせする予定でございます。
そして1月の14日に須崎市議会の全員協議会というのがございまして、明日打ち合わせた内容を議会とも相談した上で今後どうするかを決定していきたいと言うふうに思っているとこでございます。

(「第93回 須崎市長定例会見 令和2年1月9日」より)

第93回 市長定例会見資料(PDF:6.51MB)

……ということで、「もうちっとだけ続くんじゃ」がもしかしたら今後あるかも、という思わせぶりENDでした。

- 完 -

欄外1: 個人的に気になっていた部分、「そもそもどうしてちぃたん☆は生まれ得た?」

って思ってたんですけど、ありました。経緯。

第88回 市長定例会見資料(仮処分申立主張書面)(PDF:622KB)

あくまで須崎市側の主張ですが(双方証拠を残してない部分で言った言わないバトルしてるっぽいので、そこを踏まえて読む必要があります)。

債権者=須崎市、債務者=クリーブラッツです。

​債務者は、芸能プロダクションを運営する株式会社であり、通常の自然人のほかに、コツメカワウソを「ちぃたん☆」と名付けて、タレントのように売り出すなど、自然人以外のタレントも商業展開していた。
そして、債務者は、カワウソをモチーフにしたしんじょう君が「ゆるキャラグランプリ」で1位を獲得するなど高い知名度を有するに至ったことに着目し、コツメカワウソ「ちぃたん☆」もカワウソであることを奇貨として、しんじょう君をデッドコピーしたキャラクターを作り、タレントとして商業展開することを企てるに至った。
そこで、債務者は、一方で、コツメカワウソ「ちぃたん☆」を須崎市の観光大使に就任させるという名目で債権者に接近しつつ、他方で、上記意図を隠し、全く別のキャラクターの創作を依頼するかのように装って、債権者の職員に頼んで、しんじょう君をデザインした■■■を紹介してもらった。

そして、債務者は、事前に債権者からしんじょう君のデッドコピーのキャラクターを作ることについて何らの承諾も得ていなかったにもかかわらず、■■■に対し、「今後観光大使化なので非常に似せていただきたい」(甲14の39頁)などと申し向けて、しんじょう君をデッドコピーしたキャラクターのデザインを依頼した。
こうして、債務者は、平成29年9月、■■■から、しんじょう君をデッドコピーしたキャラクター「ちぃたん☆」のデザイン画を得て、直ちに、それを三次元化した着ぐるみを製作した。
他方、債権者は、債務者から、コツメカワウソ「ちぃたん☆」を須崎市の観光大使に就任させ、須崎市のPRに尽力したい旨の申し出を受け、真実、債務者がそのような意図を有し、善意で申し出たものと誤信した。
このため、債権者は、内部でその旨の稟議を経た上で、平成30年1月、コツメカワウソ「ちぃたん☆」に、須崎市の観光大使を委嘱することを内定し(甲95、甲96)、同年1月18日、その宣伝のために委嘱式を開催することとした(甲63)。
しかし、債務者は、事前に債権者の了承を得ることなく、平成30年1月18日に開催された委嘱式に際し、コツメカワウソ「ちぃたん☆」のみならず、しんじょう君をデッドコピーしたキャラクター「ちぃたん☆」を同席させた。
債権者は、事前に知らされておらず、当日、初めてキャラクター「ちぃたん☆」の参加希望を知ったが、めでたい委嘱式の場で、その参加を拒絶してトラブルになるのを避けるため、参加に応じざるを得なかった。

(第88回 市長定例会見資料(仮処分申立主張書面)より)

……一方的な主張と踏まえた上でもなんだかすこしガッバガバですが、こういうことらしいです。

欄外2: おもったこと

ただの私見です。

●市側は先方からの観光大使就任の申し出を善意のものと誤信したとしているが、企業=営利のために存在する組織からの打診をそんな捉え方するのはちょっと……(言葉を濁す)すぎない?

●須崎市は"絶滅と目された以後に市内で目撃情報のある"ニホンカワウソを元にしんじょう君等の各種施策を行っている。そもそもの話、同じカワウソというだけでそういった背景となんら無関係なコツメカワウソを観光大使として認めたこと自体が施策としてなかなかに"雑"な感じするなあ。

●クリーブラッツ側はオフィシャルな媒体で一切発信を行わないから、薄気味悪いけどボロも出さないよね、って感じ。

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