見出し画像

商品開発に挑戦して挫折した話

この記事はエンジニアと人生コミュニティのAdvent Calender2021 #2 の15日目の記事です。

はじめに

初めまして!フリーランスのバックエンドエンジニアをしている nekoshita です。

普段は業務委託で働きながら個人サービスを開発しているのですが、今年はWebサービスではなく実際の商品開発に挑戦し挫折したので、そのことについて書いて供養します。

自分が欲しいと思ったものがこの世に売ってなかった

もともと僕の家ではペーパータオルではなく、ハンドタオルを各洗面に設置しており、毎晩洗濯していました。ある日、ハンドタオルが濡れると臭いことがわかり非常にショックを受け、ペーパータオルを使ってみようと考えました。しかし、僕の家にはペーパータオルを置き、ゴミ箱を設置するスペースがありませんでした。そこで、ハンドタオルをかけている場所にペーパータオルとゴミ箱をぶら下げることができる物を買おうと思い探しました。

2、3時間探してみましたが、該当の商品は売ってませんでした。そこで僕の頭をよぎったのが「あれ、これは自分で商品開発して販売したら儲かるんじゃない?」ということでした。

試作品を作ってみる

実際に使ってみたらどんな感じになるのか体験するために、一旦ティッシュ箱、段ボール、養生用テープで試作品を作ってみました。それがこちらです。

画像1

この試作品からわかったことは
・使い心地は結構良さそう
・ゴミ箱が着脱可能じゃないとゴミ捨てがしんどすぎる

試作品を改善する

一つ目の試作品でよさそうだなと感じたので、毎日東急ハンズへ通い、試作品をガンガン改善していきました。着脱可能なゴミ箱にし、金属板やアクリル版を加工したり、いろいろ試しました。ここのトライ&エラーのサイクルはアプリやWebサービスを開発するよりもずっと早く非常に楽しかったです。

- S字フックで試作

スクリーンショット 2021-12-14 20.50.47

- 金属板で試作

スクリーンショット 2021-12-14 20.52.37

- アクリル板で試作

スクリーンショット 2021-12-14 20.53.51

- いろんなパターンで試作

スクリーンショット 2021-12-14 20.55.31

- アクリル板でゼロから形を全て作ってみた試作品

スクリーンショット 2021-12-14 20.56.30

ここまでやった段階で東急ハンズで購入した物と家でできる簡単な曲げ加工などによる試作品作りは限界になりました。

特許をとれるのか調査する

特許に関してなんの知識もなかったので、とりあえずこちらの本でざっくりと概要を勉強しました。

また、無料で30分ほど相談できる弁理士さんに依頼し相談させていただきました。2箇所に相談してみましたが、新規性はありそうなので特許を取得できそう、という回答をいただきました。弁理士に依頼して特許を取得する場合にかかる費用は40万~という感じです。

特許は新規性さえあれば取得範囲を狭めていけばほぼ確実に取得できるので、特許を取得すること自体は難しくないようです。ただし、取得範囲が狭いほど効果は弱くなるのでいかに大きな範囲で取得できるかが重要なようです。

マネタイズの方法を考える

どうやったらお金が稼げるか調査しました。大きく2パターンあり、
①特許を取得し企業に売り込んでロイヤリティで稼ぐ
②特許を取得し自分で商品化し販売する

まず、ロイヤリティで稼ぐパターンだと、卸売価格に対し~3%ほどが相場のようです。仮に卸売価格 ¥3,000、ロイヤリティ3%だとして、1万個販売されるごとに僕に入ってくるロイヤリティ料は90万円ということになります。リスクも低いがリターンも低く、この程度ならば挑戦しなくてよいかなと判断しました。

次に、自分で商品化し販売するパターンだと、ざっくり計算で原価¥1,000で卸売価格 ¥3,000の場合、1つ売れるごとに¥2,000の儲かります。1万個販売されるごとに2000万儲かることになります。これくらいの金額の規模感ならば楽しそうだし挑戦してみたいなと思いました。

自力でデザインする

商品かっこよくないと売れないのでかっこいいデザインを考えないといけませんでした。昔blenderを使ったことがあったので、blenderでいろいろな形を作ってみました。そもそもかっこいいデザインをすることもできませんが、シンプルな形にしないと製造コストが跳ね上がるのでそのあたりを考えるのも難しいですね。

スクリーンショット 2021-12-14 21.26.19

3Dプリンターでプリントする

blenderでデザインした試作品が手元にないとイメージわかないし、実際に使ってみることができないので、なんとしてもデザインした形の試作品がほしくなりました。アクリル板を曲げたり貼ったりする加工では限界だったので、3Dプリンターを買ってプリントすることにしました。

ここからが地獄の始まりでした。3Dプリンターって思ったよりずっと難しかったです。でかい物プリントするには恐ろしいほど時間がかかり、素材のフィラメントは意外にお金がかかり、所詮プラスチックを積層してるだけなので強度はものすごく低く試作品として機能するギリギリな感じだし、超いい感じに設定しないとプリントに失敗します。さらに3Dプリンターが初期不良だったようで修理に出したりとものすごく大変でした。この段階で僕の心はほぼ折れていました。プリントに失敗したり、1/4スケールのものをプリントしてる様子です。

スクリーンショット 2021-12-14 21.32.21

最終的にようやく3Dプリントした試作品が完成しました。使い心地は個人的には非常に満足いくものでした。

スクリーンショット 2021-12-14 21.35.58

(本当はここから何度もプリントして、デザインや使い勝手を改善していくつもりだったのでした。しかし、プリントできたころには個人で商品化までするのは無理という結論を出していたのでプリントできたのはこれだけでした。)

金型が高すぎてつらい、、、

工場に発注して大量生産するために、工場に発注したらいくらぐらいかかるのか調査したところ、なんと金型の費用がめちゃめちゃ高くかかることが判明しました。僕の作っていたのもは大きさが30cm*50cm*20cmぐらいあり、さらにパーツが最低でも4つは必要でした。金型はパーツごとに必要ですし、パーツが大きくなるごとに値段が跳ね上がります。さすがに金型費用に一千万円を超えるような金額となるともう僕には手が出せませんでした。

クラウドファンディングでお金集める?

最後にクラウドファンディングでお金を集めたらなんとかなるんじゃないかと考え調査しました。ほとんどの場合、あらかじめ製品が完成してからで宣伝のためにクラウドファンディングしてました。目標金額50万とか100万とかで募集してますが、そんな金額で製品が作れるわけがないんですよね。

ということで、金銭的な限界によって、僕個人で商品化までするのは挫折しました。

まとめ

実際は他にもいろいろ商品試作したり、自宅でシリコン製品なら作れるかチャレンジしたり、インフルエンサーになるという路線もありかも、とかやりましたが、どれも挫折しました。以下、今回の学びです。

・発明するなら小さなものにする。でかいものは作るのに金がめっちゃかかるので、個人で商品化するのも企業に売り込むのも難しい。
・試作品作りながら調査するのはよいが、もうちょい調査を早めにたくさんやってくべきだった。3Dプリンタ買う前に止まれたかもしれない。
・3Dプリンタはそんなに万能ではない。
・Webサービスでも商品でも、ものづくりは楽しい!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?