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パワー・マイノリティについて ~映画「最初で最後のキス」を見て~

下書き

これは、上記のスクリーンショットの通り、2018/8/31に下書きだけしてて公開していなかったものです。


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映画「最初で最後のキス」を見て、映画自体は面白かったんだけど、主人公のロレンツォが割とありきたりなLGBTのステレオタイプなキャラクターだったのでそこが残念に感じた。

イケメンのゲイで、美意識が高くて、アートの才能があって、自由で、みたいな典型的なフィクショナル・キャラクター。俺はこういうのをパワー・マイノリティと勝手に呼称しているけど、現実のLGBT(というかマイノリティ全般)って必ずしもそうじゃないよね。いや俺も詳しいわけじゃないけどそれくらい分かる。

日本のメディアも、ロレンツォ役の俳優を紹介するにあたって、イケメンであるとか美少年であるとかそういう枕詞なしに書いている記事を見たことがない。

確かにイケメンなんだが、じゃあなに?イケメンじゃないとマイノリティは救われないの?


例えばね、別のマイノリティでいわゆる発達障害でアスペルガーとかADHDと呼ばれる人たちがいるけど、何を勘違いしているのか「偉大な発明家エジソンはアスペルガーだった!」とかそういう言説がしばしば見られる。エジソンの他にも「アインシュタイン」とか「坂本竜馬」とか「スティーブ・ジョブス」とかそんな天才の名前が代入されるケースもある。

それは発達障害の人々に希望を与えているつもりなのか知れないが、でも「発達障害=天才」っていうのは大きな間違いだ。もちろん発達障害の中に天才が含まれることは否定しないが、その割合は「発達障害以外の人の中に含まれる天才の割合」とほとんど同等のはずだ。

「じゃあマイノリティは天才じゃないと救われないのか?」っていうことよ。


ロレンツォがブサイクでアートの才能もなく、アホのゲイでもこの映画って成立するんでしたっけ? 不細工とイケメンの実際の比率からすればたぶんそっちの方が多数派だ。

映画の中で男性の15%はゲイだって言っていたけど、じゃあ公園のベンチとか漫画喫茶とかで寝転がっている男性ホームレスの少なくとも10人に1人くらいはゲイなんじゃないの?  正直何の才能もないと思うけどゲイだからマイノリティだよ。


アメリカの何年か前のドラマで(タイトル忘れたけど)NYで売れないファッション・デザイナーのタマゴみたいな男が、売れるために自分をゲイだと偽装して振舞うみたいなやつとかがあって、ようするに向こうだとゲイのデザイナーの方が仕事を得やすくてさ、アファーマティブ・アクションでマイノリティが持ち上げられすぎることでストレートが逆差別されている問題点を指摘するようなストーリーになってて、やっぱり認識が進んでるんだよ。

それに比べると、やっぱり1周遅れ、半周遅れで、ちょっともう古いです。

パワー・マイノリティは、なんだかんだでけっこう自立していけているし、本当に救われないといけないのは、パワーのないマイノリティだと思うよ。

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