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【医用画像関連】放射線画像からもっと多くの情報を③ 〜ダイナミック撮影〜

どもども、ねこのてです!

 前回に引き続いて、CT撮影の際の造影剤の入れ方と撮影法の話をするのですが、今回は前に出てきた「②ある程度急速に注入する」に相当する撮影について少し掘り下げます。

↓前回の話

 他の医療職や比較的若い医師とこの話をしても、「おん?」って感じの方も割と多いんですよー!!意外としっかりと理解されてない分野なのかも知れませんね。
でも、「画像」から何かを読み取ろうとするなら避けては通れません。なるべく噛み砕いて説明していきます。

ってことで、いってみましょう!!

 CT撮像の際、「ある程度急速な注入法」によって造影検査をすることに決まったとします。ウデの静脈から造影剤をある程度急速に注入すると、血管内の血液はほとんどが造影剤に置き換わります(こういった注入法を「ボーラス注入」と言ったりします)


〜ここからは造影剤になったつもりで血管の中を探検しましょう!〜
(☆マークのついた文章は後の話で出てくるので、とりわけ意識して読んで下さい!)

 さて静脈に入ったあなた。周りは血液ではなく、仲間の造影剤が沢山。頼もしい!
しばらく静脈内を進むと、何やら道が太くなっていき、大きな静脈に合流しました。そう、上大静脈(今回は腕の静脈なので)です。どうやら心臓への入り口のようです。

 そのまま右心房から三尖弁を通過し、右心室から肺動脈を経由して、肺の血管に流れ着きました。肺の中では血管の分岐が多く、周りにいた仲間が少なくなってしまいまいした。おいおい大丈夫かよ。

 不安になりながらも肺の中の毛細血管を通過して、流れに身を任せていると、またどくどくした部屋に入っていきます。あれ、さっきの心臓だ!そして散った仲間が集まっている!みんな戻ってきたんだ!そう、左心房に入ったのです。

 そのまま僧帽弁を通過し、いよいよ全身を巡ります!!ここは左心室です!
ぎゅーーーん!!!っと強い圧力がかかり、「☆大動脈☆」を経由してあなたは全身へと旅立ちます。心臓から出ると、頭頸部側に向かう仲間たちや、体幹方向に向かう仲間たちもいるため、ここで大きなお別れがあります。達者でなーー、、。

 さて体幹組みに振り分けられたあなた。(別にどっちでも良いんですが)
大きな動脈から「☆臓器に栄養を行う血管☆」に入り、さらに進んだ「☆毛細血管からは臓器の細胞も見れます☆」だいぶ深部まできましたね。さらに流れに身を任せると、細かった血管が徐々に太くなって、また下大静脈に流れ着きます。心臓へ向かうのです(2周目)

 心臓では見たことのある顔をがちらほら見かけますが、なんだか薄くね?。長旅で疲れてんのか・・?いや、血液が混ざってきたんだ!と気づくわけです。
 そうして、「☆体を何周もしていくと、細胞の中と外に造影剤が満遍なく分布するようになって、最終的にはおしっことして排出されていくわけです☆」

はいっ!長旅お疲れ様でしたー!どうでしたか、体一周ジェットコースターは!
早速ですけど、このイメージを忘れないうちに話をまとめてしまいましょう!


 実はですね・・・皆さんが注入されてから、どの位の時間が経てば☆マークのついた場所にくるかってことは、腕の良い診療放射線技師ならお見通しなのです。「どんな注入速度で入ったか」、「どのくらいの量の造影剤が入ったか」によってそれは変わりますが、それも含めてお見通しなのです。ふははは。

皆さんが☆マークにあるように、大動脈ヒャッホーしている間にCTを撮られれば、「大動脈とその分枝の枝がギンギンに染まっている写真」が得られますし、「臓器の細胞すげー」ってなってる間に写真を撮られれば「臓器の実質が染まっている写真」になります。「体を何周もして、薄まってもう外にででも良いかな」って感じてる時に撮られれば「前回話をした①のような写真」が得られます。

 要は、撮影タイミングによって得られる情報が変わるわけです。
逆に我々の立場から言うと、「さまざまな情報を画像に追加するために、注入してから何回か撮影する必要がある」ということです。
 こういった撮影を「動的撮影」または「ダイナミック撮影」と言います。ダイナミック撮影は、主に血管や血流情報(Vascularityと言います)の付加が可能なわけですから、主に「血の巡りや血管系そのものの形態評価をしたい時」や、「腫瘍等の評価」をしたい時に用いられていますね。

http://www.teramoto.or.jp/hospital/video.htm より引用


 ここで、さらに知識アップ!撮影タイミングを「相」と言います。動脈が染まっているタイミングを「動脈相」とか言うように、何をメインで写しているかで相の名前が変わります。

「早期動脈相」、「動脈相」、「門脈相」、「平衡相」、「尿路相」ってな感じで。
現場では、何個の相から情報が欲しいかで、「2相撮影してー」とか、「とりあえず3相撮影お願で!」みたいなやり取りが行われています。


注意としては、

 撮影タイミングを間違えればもう失敗。造影剤が薄まってない状態でないと意味がありません。一発勝負。
また、急速に注入する必要があるので、いつもの採血よりは太い注射針を必要とすることです。看護師の皆さん、いつもありがとうです。患者さん、いつもより針が太くてごめんなさい。今後は我々もして行かなければ(意味深)、、、笑


 ってな訳で、現在のCT撮影では特に重要なダイナミック撮影の概要をざらっと説明しました!

まとめとしては、
「ダイナミック撮影をすることで画像にVaculariyの情報を付加できる!」って感じになりますかね。

 次回はそれに付随する、放射線技師ならではのサポートを少し紹介しますね!



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前回と同じご紹介です!
八町先生の方が個人的におすすめですが、頑張ってしっかりと読み込めば、どちらを選んでも造影マスターになれると思います!

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