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【まとめ】外傷救急に強くなる③ 〜 Primay Survey 〜

ねこのてです!
年度末で、最近仕事がたてこんでいました。なかなか更新出来ない・・うぐぐ!

 さて今日の記事は前回から少しフェーズを進めて、Primary  Surveyをみていきます。前回やった外傷患者搬入時におけるQuick Surveyの目的は、簡単にいうと「パッと見の評価」でしたね!

今回やるPrimary  Surveyとは、「一次観察」の事です。
ABCDEの項目各々に対して「評価・分類」を2〜3分で行い、それをもとに適切な介入をしてABCを安定化することを目的としています。

 これからその項目のポイントをおさらいしますが、その中でもぜひ覚えていただきたい重要な言葉があります。Primary Surveyで最も重要なポイントなので要checkです!!!

その言葉とは、

『TAFな3X』、『MAP』、『切迫するD』

私は「タフなスリーエックス」、「マップ」、「切迫するディー」と覚えています。
果たしてこの言葉が何を意味するか。

この記事を読んで、ぜひ理解していただきたいと思います!

では、Primary Surveyにおける確認事項を「ABCDE」の順に早速みていきましょう!

「A」の評価・分類・介入

【評価】
『きちんと話ができるかどうか』
【分類】
『開通』もしくは『閉塞』

Airwayの評価と分類のポイントですね。このチェックをもとに、「閉塞」の場合は即座に以下の介入を行います。

【介入】
①気道確保(エアウェイ、挿管、穿刺・切開など)
②吸引
③異物除去

「B」の評価・分類・介入

【評価】
『モニタによるRR、SpO2の値』『頸や胸部を視・聴・打・触診によって診察』

これが呼吸状態の判断ポイント。RRは9以下、30以上は要注意です。
頚部や胸部の状態を視診・聴診・打診・触診によっても評価しますが、ここで行われる「分類」が一つ目の重要ポイント!!

「TAFな3X」です。

【分類】
『TAFな3X』があるかないか

「TAFな3X」とは、見逃すと命を落とす可能性のある致死的胸部外傷の頭文字をまとめたものです。言い換えると、絶対に見逃してはいけない!!!ってもの。

① Cardiac Tamponade(心タンポナーデ)
② Airway obstruction(気管閉塞)
③ Flail chest(フレイルチェスト)
④ Open pneumothorax(開放性気胸)
⑤ tension pneumothorax(緊張性気胸)
⑥ massive Hemothorax(大量血胸)

以上が挙げられます。
これらはとても重要なので、ぜひ覚えてください。救急に関わるスタッフは、身体所見のみならず些細な画像所見も拾えるようになるといいのではないかと思います。

そして介入ですが、

【介入】
『TAFな3Xの検査や治療』

です。
エコーやレントゲンで検査を行い、心嚢穿刺や胸腔穿刺で処置を行います。過去の記事も参照してください!

「C」の評価・分類・介入

【評価】
『モニタによる心拍数、血圧値』、『触診による色調変化』、『FAST』

これらがCの評価ポイントでしょうか。循環評価なので、皮膚の色の観察はもちろん、HRやBpの値でCell functionの状態を把握します(ちょうどこの前の記事でやりました!)そして、体の中で液体が溜まりやすい部位をサッとエコーで評価します(FAST:ファスト と呼びます)

これらの評価をもとに下される分類は以下になります。

【分類】
『ショック状態にないか』、『MAPのどこか原因か』

以上の2点です。
「ショック」もこの前の記事でやりましたよね(実は記事の順番考えてたりして・・笑)外傷なので、循環血液量減少性ショックが多い。「外傷患者の体が冷たくて頻脈」を見たらショックかもしれない!というかショックだろ!ってのは一つの重要な症候パターンです。
ちなみに一つの目安として、SI (Shock index)なるものがあります。心拍数を収縮期血圧で除したものなんですが、まぁ、軽く紹介でした。

そして「MAP」が出てきました!これは外傷性のショックを見たら、ここを探すんだよっというものの頭文字をとったものです。これは簡単。

① Massive hemothorax
② Abdmen
③ Pelvis

です。
要は、外傷患者でショックバイタルなら「血胸」とか「腹腔内出血」とか「骨盤損傷による出血」をくまなく探してよ!ってことですね。


【介入】
『ルート確保・輸血準備・止血処置』となります。

まず出血性ショックなら輸液が必要ですよね。体温も普段より下がっている。なので、
2本以上のルートを確保して加温輸液を行います。さらに輸血の準備も必要です。臨床検査技師さん出番です!!
そして出血を止めるために、圧迫やカテーテルによる止血術が必要になります(TAE)


「D」の評価・分類・介入

【評価】
『LLLの確認』

医療業界はとにかく頭文字をとってまとめるのが好きで「LLL」もそうなのです。
頭文字とは、

Level of cons.(意識レベル)
Light reflex(対光反射)
Laterality(四肢運動左右差)

のことです。

GCS / JCSを用いて、意識レベルのスコアリングをし、瞳孔の左右左・大きさ・対光反射の有無を確認します。さらに四肢の動きに左右左がないかも確認します。

そうして行った評価の先にある分類がとても重要です。

【分類】
『切迫するDにあるかないか』

中枢神経系統の障害が疑われ、まさにそれが進行しようとしている時の状態を「切迫するD」と呼びます。これがあるかないかを「評価」で洗い出すことが重要。
搬入直後は会話できていたのに、処置をしているうちに意識が朦朧としてきた・・みたいな「急激な意識レベルの低下」があれば要注意です!具体的な項目としては


①GCS≦8
②GSCの変化量が2以上低下)
③脳ヘルニア兆候の出現(Cushing現象、瞳孔異常、四肢片マヒ)

などを参考に評価を行う必要がありますね。

もし「切迫するD」の状態なら、即座に介入が必要です。

【介入】

①挿管
②頭部CT(ついでに全身CT)
③脳外科医に連絡

となります。

受傷時に脳に起こった神経障害を一次損傷と呼びますが、これはどうしようもありません。大切なのはそれが原因で起こった血腫などが引き起こす二次損傷をどれだけ無くすかということ。
切迫するDに着目して評価を行うことで、なんとかそれを防ごうとしています。

まとめ

Primary SurveyにおけるABCDの評価〜介入をざっくり簡単にまとめます。

【A】
気道は開いてる?塞がってたら息できないから処置して開通させないとね。
【B】
呼吸はできてる?TAFな3Xを見逃すと死んじゃうから、見落とさないように。
もし何かがあったらすぐ処置しよう。
【C】
循環は大丈夫?ショック状態ならMAPをくまなく探して処置を行おう。
【D】
意識レベルの変化に注意して、「切迫するD」に注意しないとね。


こんな感じです。これがPrimary Surveyでの観察ポイント。


次回はSecondary Surveyについて詳しく見ていきます!

ありがとうございました!






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