民法過去問論点

賃料債務は、不可分債務である。よって、Aは、共同相続人のC及びD
のうち一方のみに対して、相続開始後の賃料全額を請求することができる

期間の定めのない賃貸借は、各当事者はいつでも解約の申し入れができ、動産を目的とする賃貸借は解約の申し入れ後、1日を経過することによって終了する(617)。よって、借主は直ちに返還しなければならないわけではない。

賃貸借契約においては、特約がなければ、賃貸借の期間が定められている場合、賃貸人は、やむを得ない事由があってもその期間の満了前に解約の申入れをすることができない

委任契約の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる(652・620)。一方、請負契約の解除をした場合には、遡及効があり、契約成立時に遡って契約の効力が失われる(545l)と解されている。

対外的業務執行は、全員の名で、全員が共同して行うことが要求されているが、一定の者が組合員全員を代理して、法律行為を行うことができる。そして、業務執行者の定めがない場合は、常務以外の事項については、組合員の過半数の同意によって、各組合員が他の組合員を代理することができる
3名の組合員によって構成されている
ため、2名のみ(過半数)で組合を代理してEとの間で組合財産に関する売買契約を有効に締結することができる。

損失分担の割合は、組合当事者が任意に約款又は定款で定めることができる(674l)。そこで、組合員に対する債権の行使は、債権者が、その債権発生当時、損失分担の割合を知っていたときは、その割合による(6751)。他方、債権者が、その債権発生当時、損失分担の割合を知らなかったが、その後にこの割合を知ったときは、損失分担の割合で権利行使することも、等しい割合で権利を行使することもできる(6751)。
よって、損失分担の割合を知らなかったときでも、一人の組合員に対して債務の全部の履行を請求することができるわけではない。

使用、賃貸借、消費貸借いずれの場合においても、借主が破産手続開始決定を受けたことは解約の申し入れ事由ではない。

書面でする消費貸借(要式契約としての諸成的消費貸借)については、借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約を解除することができる(587の2ll)。これは、契約が成立しても、借主に受領義務がないことを意味する。しかし、貸主には、このような解除権を認める規定は存在しない。

事務管理における本人は、不法行為が成立する場合を除き、事務処理から生じた損害の賠償義務を負わない。これに対して、委任者は、受任者に過失がない限り、自己に故意・過失がない場合であっても、損害賠償義務を負う。

いわゆる緊急事務管理においては、悪意又は重過失がなければ、本人に対する損害賠償責任を負わない。よって、悪意がなくても、重過失がある場合は、損害を賠償する責任を負う。

悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならず、この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う
(民704条)。そして、本条後段の規定は、悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りで不法行為責任を負うことを注意的に規定したものであり、悪意の受益者に対して、不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではない

未成年者の不法行為責任(709)と監督
者の責任(714)が併存することはない

未成年者に責任能力がある場合は、当該未成年者自身が責任を負い、監督者は714条の監督責任は負わない。つまり、未成年者の不法行為責任(709)と監督者の責任(714)が併存することはない。ただし、未成年者が責任能力を有する場合でも、監督義務者の義務違反とその未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係が認められるときは、監督義務者も709条に基づく不法行為責任は併存する
これは未成年者に代わって負う714条の監督責任ではなく、自己の過失行為に基づく709条の不法行為責任である点に注意が必要である。責任無能力者には資力がない場合が多く被害者の救済が十分に行われないことがあるため、上記のように構成し、709条に従って両者の責任を認めたものである。

所有者の責任は無過失責任(過失がなくても責任を負う)である。瑕疵が前所有者が所有していた際に生じたものであっても、また、いまだ前主
からの移転登記がされていなくても、現在の所有者が責任を負う。

損益相殺において控除される利益は不法行為と同一原因により得られた利益に限定される。よって、被害者が第2の交通事故により、死亡した場合は、第1の交通事故による損害賠償額算定にあたり、死亡後の生活費を控除することはできない。

当事者の一方が死亡した場合に取消の請求ができないのは、検察官であり、当事者は取消の訴えを提起することができる。当事者の一方の死亡により婚姻が解消している場合は、離婚の訴えは提起できない。離婚は、婚姻の成立そのものについて、瑕疵や違法性はない。


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