刑法各論まとめ 財産犯 その2

刑法各論まとめ 財産犯 その2

占有は 人が物を実力的に支配する関係であって、占有の事実と占有の意思から構成されますが
その支配の態様は社会通念によって決するほかなく 置き忘れ事例において 
具体的には a 領得時における被害者と財物との時間、  場所的近接性、b 財物があった場所の開放性、
c 被害者が置き忘れた場所を明確に記憶していたか d 周囲の人が気づいていたか などを総合的に考慮すべきなのだ。
そして公衆が自由に出入りできる場所においては、場所的時間的離隔を一時的に重要視すべきなのだ。

殺人犯との関係では
殺害から財物奪取までの一連の行為を全体的に観察し
生前
の占有を侵害するものと評価するのだ。

領得罪の成立に不法領得の意思が必要であるのは
かかる主観的超過傾向を不要とすれば、不可罰的使用窃盗と235条の窃盗、258条以下の毀棄罪との区別が困難となるからなのだ。
そして不法領得の意思とは
a 権利者を排除して他人の物を自己の所有物として
b 経済的用法に従い利用、処分する意思なのだ。
毀棄隠匿を除く何らかの効用を享受する意思で足りるのだ。

内縁者が244条1項の必要的免除の規定の適用を受けることができないのは
244条1項が処罰を阻却するのは家庭に法は入らずという政策的配慮に基づくものであるため、
法律婚という所定の手続きをしない者に政策的配慮をする必要がないからなのだ。

よって244条1項の親族は 所有者、占有者等関係者全員に親族関係が必要なのだ。
そして同項は一身的処罰阻却事由であるから、故意の対象ではなく、親族関係の錯誤はがあっても窃盗罪が成立するのだ。

236条1項の強盗における  暴行脅迫  の程度である  相手方の反抗を抑圧するにたるものとは
構成要件該当性の問題であるから 一般人 を基準として、社会通念にしたがって客観的に判断するのだ。
具体的には、暴行脅迫の態様 凶器の有無 犯行時刻 場所 周囲の状況 性別 年齢 体格 体力 服装 人数 被害者の負傷状況 対応などの
要素を考慮に入れ 総合的になされなければならない。
次に 強取 とは 暴行脅迫を用いて被害者の犯行を抑圧し、その意に反して財物を自己または第三者の占有に移すことであるが
客観的には反抗抑圧に足る程度の暴行脅迫があったが 主観的には反抗抑圧に至っていない場合に 判例は
恐怖心が生じて財物が交付されたならば強盗は既遂に達するとしているが批判すべきなのだ。
なぜなら、強盗は反抗抑圧に足る暴行脅迫を手段とする奪取罪であるから、
暴行脅迫、犯行抑圧、財物奪取に因果関係が必要と考えられるからなのだ。

民事上保護する必要のない不法な利益であっても
不法な手段によって財産法秩序を乱すことは、私人の正当な権利利益の実現を不可能ならしめることになるため
刑法上は 財産上の利益にあたるのだ。

相続財産を得る目的で、殺人をすることは、相続は手続等が必要となり、具体的直接的な利益を現実に取得したとは言えないから
強盗殺人は成立しないのだ。

236条2項強盗利得罪は1項強盗罪との均衡から
暴行は 処分行為に向けられる必要はないが 利益内容の明確化具体化の観点から
債務の追及が事実上不可能ないし著しく困難な状態になるという現実に財産上の利益を取得したとみられる事情
または債権の行使を相当期間不可能ならしめる事情が必要なのだ。

238条の事後強盗罪は236条1項強盗罪との均衡から
事後強盗罪における暴行脅迫は 書かれざる構成要件として 窃盗の機会 に行われる必要があるのだ。
具体的には、時間的場所的接着性を考慮し、窃盗犯人に対する追及が継続しているかで決すべきなのだ。

窃盗に入り見つかったら脅す意図で凶器を準備した場合
条件によって確定的に脅す意思があるため、事後強盗の予備罪が成立するのだ。

事後強盗で、窃盗には関与せず、のちの暴行脅迫に加功した場合
事後強盗の実行行為は窃盗時ではなく  暴行脅迫であり、窃盗については条文文言からみても身分と考えるのだ。
なぜなら実行行為を窃盗時とし結合犯の承継的共犯の問題とすると、窃盗犯はすべて事後強盗の未遂が成立しかねないからなのだ。
そして暴行脅迫と、事後強盗では保護法益が異なり、事後強盗を暴行、脅迫の加重類型とみるのは困難であるため
真正身分犯であると考えるのだ。

強盗致死傷罪における死傷の結果の原因となる行為は 直接の手段たる暴行脅迫から発生することを要しません。
なぜなら240条は強盗の機会に死傷という結果が生じることは刑事学情顕著であるから
生命身体という法益を考慮しているため、強盗行為と密接な関連性を有する行為で、強盗の機会に生じた者であれば足りるのだ。

246条詐欺罪における欺罔行為は財産的処分行為に向けられたものである必要があります。
そして少なくとも占有の移転を基礎づける外形的事実を被 欺罔者が認識していることが必要であるのだ。
そして処分意思の内容として、利益の内容、価値を正確に把握する必要はないと考えるのだ。
この点判例は正確に把握すべきと判示したものがありますが
相手方に移転する客体を認識させないという典型的詐欺を処罰できないし
処分意思に基づく処分行為の存在は、利益窃盗ないし窃盗との区別から必要な概念であるにすぎないからなのだ。

三角詐欺においては、被欺罔者と処分行為者は一致しなければなりません。裁判所を対象とする三角詐欺は
裁判官も自由心証によって事実の有無を判断し、事実誤認により錯誤に陥ることはありうるし
裁判所は強制力によって訴訟当事者の財産を処分する地位、権能を有するため
裁判所を被欺罔者、処分行為者とする三角詐欺が成立しうるのだ。

人を欺く 行為と言えるには 
財産的処分行為の基礎となるような重要な事項を偽る必要があるのだ。

恐喝罪の処分行為は
被害者の瑕疵ある意思に基づいた、財物の移転があることが重要であるので。黙示の不作為で足りるのだ。。

民法上では寄託された金銭は動的安全を重視して、所有権が移転しますが
刑法では性的安全の保護を重視するため、寄託された金銭も他人の物にあたるのだ。

横領とは
委託の趣旨に背いて権限なく所有者でなければできないような処分をする、不法領得の意思を発言する一切の行為を指すのだ。
横領罪の占有とは
濫用の恐れのある支配力を言うのだ。

誤振り込みの場合事実上の占有は銀行にあります、
そして受取人には払い戻しの正当権限がないため、法律上の占有は認められないため占有離脱物横領罪の検討はできないのだ。
誤振り込みを受けた者は、銀行と継続的預金取引をおこなっている者として
銀行に適切な措置を行わせるため、誤振り込みがあった旨を銀行に告知する信義則上の義務があると考えられるので
それをせず放置することは銀行が適切な措置を講ずる機会を失うという法益侵害が生じ、作為と同視できる危険性があると言え、作為義務があります、
そして銀行は払い戻しをおこなえば免責されるとしても、通常誤振り込みがあった場合適切な措置を講じる必要があるから
その支払いに応ずるかどうかの経済的重要な事柄に錯誤があります。
よって不作為欺罔行為による詐欺罪が成立するのだ。

247条 背任罪の 任務に背くとは
本人保護の観点から、何らかの財産上の事務で、法律上、事実上の事務を問わず、誠実義務に反する財産侵害行為のことなのだ。
図利加害目的は、本人図利目的を除くことを裏側から規定したものなので
本人、自己、第三者図利目的が混在する場合、積極的に本人図利目的があったと言えれば、図利加害目的は否定される
背任罪の 財産上の損害 の発生は
行為者に事務処理権限が与えられていることから全体財産において判断すべきなのだ。
被害者に有償あっせんすると犯罪が成立します。256条2項
なぜなら、被害者による盗品のいわれなき負担を負うことがない正常な回復をこの難にし、追求権を侵害しているし
本犯助長的性格もあるからなのだ。

盗品を保管した者が あとから盗品だと知った場合でも256条2項 盗品等保管罪が成立します。
なぜなら、盗品等保管罪は係属犯で、事後従犯的性格はあとから盗品であることを知ったとしても認められるからなのだ。

257条1項は盗品等関与罪をせず適法行為をする期待可能性が低減することに基づく
一身的処罰阻却事由に過ぎないので
関係を誤信したとしても故意や責任を阻却することはなく犯罪は成立するのだ。

不法原因給付物の盗品関与罪は被害者の追求権はないものの
本犯助長的性格はあるため犯罪が成立するのだ。

以上です。字幕をオンにしてみてね。

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