表見代表取締役

 

表見代表取締役は、実際には代表権はないため、原則として表見代表取締役と取引をおこなっても
会社に効果は帰属しませんが
株式会社を代表する権限を有するものと認められる 名称があり 会社がそれを取締役に付した場合
善意 の第三者は354条により保護され、会社に取引の効果が帰属します。
しかし表見代表取締役が登記されておらず、その第三者が登記を確認していなかった場合は
908条1項により正当な理由がない限り保護されないのではないかが問題となります。
正当な事由とは、登記を公の制度として尊重すべき要請から、登記簿の消失、天変地異などの
客観的障害をさすと考えられますので、本件では正当事由はありません。
この点商取引は反復継続し迅速多量に行われるものであるから
354条は908条1項の例外と考えられるため、当該第三者は保護され、会社に取引の効果が帰属するのだ。
そして354条の善意の第三者は、明文ないが無重過失も必要なのだ。なぜなら重過失ある場合は悪意と同視できるからなのだ。
これに対して908条2項の善意とは過失の有無を問わないと考えるのだ。
不実の登記をしている会社は帰責性が高いし、登記を確認したとしても、不実であることを知ることができないからなのだ。
また、354条は取締役に代表者たる名称を付した場合を規定しているが、単なる従業員に代表者たる名称を付した場合にも
354条は 類推して適用できると考えるのだ。
なぜなら、同条は会社の帰責性を前提として、名称を信頼して取引に入った第三者を保護する規定であるから、
名称を付された者が取締役でない場合にも、その趣旨に変わるところはないからなのだ。

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