刑法各論まとめ  その1 

自殺関与罪は
共犯の特別の類型ではなく、独立の犯罪類型として、処罰の対象となるので、
実行行為は、関与行為自体であるのだ。
なぜなら自殺は自己決定の表れとして、違法性が阻却され犯罪ではなく、他人の自殺への関与は生命への干渉として可罰性があるからなのだ。

妊婦を暴行して、分娩時期が早まった場合、
堕胎罪となるのだ。
分娩時期は早まらなかったが胎児に傷害があった場合
胎児は母体の一部であると言え、母体という人に対する暴行行為にて、胎児という人に対する傷害が発生しているため
一種の具体的事実の錯誤の問題となり、構成要件の範囲内で重なりがあるため、傷害罪の成立が認められる。
 
逮捕監禁の保護法益は身体活動の自由であり具体的には
移動したいときに移動できる自由と考えられ、客体の有する事由の程度は潜在的、可能的自由で足り
具体的な移動の意思、能力は必要ないのだ。

略取誘拐の罪の保護法益は
略取された者の自由及び、保護監督権者の監護権であり、本人の利益を害する場合は保護監督権者も本罪の主体となるのだ。
ただし、略取行為が、子の監護養育上、現に必要となるような特段の事情がある場合には
親権の行使として正当化できないとしても、家族間における行為として、社会通念上許容されうる枠内にとどまる時であれば、違法性が阻却されるのだ。

強制わいせつ罪の成立要件の考慮においては
被害者の受けた、性的な被害の有無や、その内容、程度にこそ目を向けるべきであって、
性的意図を本罪の一般的な主観的要件とすることはできないのだ かっこ 判例変更  
ただし事案によっては行為の性的な意味の有無や程度を判断する際に、具体的事情の一つとして
行為者の目的等の主観的事情を考慮すべき場合があり得るのだ。

強制性交の際に傷害の故意ある場合は、強制性交の際に、傷害の結果が伴うことが多いから
強制性交等致傷罪に傷害の故意ある場合も内包されているのだ。
一方、強制性交の際に殺人を伴うことが多いとは言えないので
殺意をもって強制性交を行った場合には、殺人罪と強制性交等罪の観念的競合が成立すると考えるのだ。
死の評価を二重にすることは適当ではないからなのだ。

住居侵入罪の保護法益は
住居に誰を立ち入らせ、誰の滞在を許すかを決める自由であるので、 130条後段の侵入とは、住居権者の意思に反する立ち入りを意味するのだ。
そうだとすると殺人をした後に、被害者宅に勝手に入ることは、死者にはそのような意思はないですが
被害者を殺害した者との関係では、被害者が有していた生前の住居権が死亡直後においてもなお保護されるのだ。

複数の住居権者相互間でその意思が対立した場合
住居権者相互間では個々の住居権は保護されておらず、住居権はほかの住居権によって制限されていると考えられるので
一人の住居権者の同意があれば、住居侵入罪は成立しないのだ。

名誉棄損罪 230条1項が  公然性  を要件とした趣旨は 
事実が不特定又は多数人に摘示された場合 ほかの者にも伝播され悪評が広く社会に流布される類型的危険の存在があるからなのだ。
そうだとすれば特定少数人であっても不特定または、多数人へと伝播しうる場合は  
公然性 があるというべきなのだ。
230条2項は
表現の事由に基づく真実の公表は正当な行為であると評価されるべきである点をもって
違法性阻却事由を定めたものと考えるのだ。

そうすると230条2項の要件事実がないのにあると誤信した場合は違法性阻却自由の錯誤であり故意を阻却すると考えられますが
軽率にも真実であると誤信したものを保護するのは名誉権を不当に害する結果となるので
真実であると誤信し、誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときに限定して故意が阻却されると考えるのだ。

名誉棄損罪と、侮辱罪の保護法益はどちらも
外部的名誉なのだ。 侮辱罪も公然性が要求され、幼児や法人も侮辱罪の客体というべきであるからなのだ。
よって両罪の区別は、条文文言を素直に解釈し、事実の摘示があるかどうかなのだ。

権力的公務は、業務妨害罪における 業務 に当たりません。
なぜなら強制力を行使する権力的公務は実力で威力、偽計を排除できるからなのだ。
よって、実力によって威力偽計を排除できない場合は 業務 に当たりうるのだ。

以上です。 字幕をオンにしてみてね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?