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ルイス・エンリケのビルドアップとパリの構造/お、お前は、あのデンベレなのか、、ウスマン・デンベレなのか!?

オラ、ワクワクすっぞ



流行ってますよね。

半年ぐらい前に「欧州最新戦術トレンド」と題した4つのコラムを書きましたが、

少なくとも今のパリはこの上記3つはやってます。


ルイス・エンリケって昔から流行に敏感で、バルサの時のMSNのビルドアップも当時のアンチェレアルをゴリゴリにパクってました。OL系男子です。たぶんタピオカも終わってます。


エンリケ「イマドキ、タピオカなんてマジチョベリバなんですけど~」




パリのティキタカ大作戦

■疑似カウンターっぽい、あくまで「っぽい」

エンリケの良さは、前線のアタッカーを活かす術を持っているということ。パリの場合はエムバペですけど、もう彼の場合はとんでもないタレントなので凄いですよね。バルサの時はご存知メッシ、スアレス、ネイマール。いや、普通にこの3人を連動させたのってすごくね!?

彼らタレントが最も生きる場所。それは「スペース」です。


当然なんですけど、当然だからこそ相手がMSNやエムバペ相手にスペースを与えるなんて馬鹿なことは普通しません。
中にはテンハグみたいに押し込みまくって敵陣地に玉子で閉じ込めてファイナルサードでカオスを巻き起こす、とかペップやポステコみたいにあるはずのないスペースにスペースを作り出すとか、モウリーニョみたいな「ポゼッションなんかしてるからスペース出来ねぇんだよ。さっさと相手に渡しちまえ」でボール放棄するとか。

エンリケの場合は、これはデ・ゼルビに近いところはありますが「相手を自陣に引き込んで誘き寄せて裏にスペース作っちゃおうゼ」なんです。低い位置でビルドアップして相手を誘き寄せる。今のアンチェレアルも、レバークーゼンのアロンソも割とこの感じでやっている。徐々に王道になりつつあります。


エンリケがデ・ゼルビやアロンソと違い所は、例えばデ・ゼルビはウイングが出口となってボールを受けた後もSBや前線の立ち位置を細かくセッティングしますが、エンリケは出口となる最前線にボールが入ったあとは、もうお任せコースです。前線のタレントを活かすことは物凄くうまいですが、反面でタレントがいないと点獲れん。スペイン代表の時なんかそうだった。ファイナルサードに関しては選手の創造性頼みです。ピッチの3分の2は完璧でも残り3分の1は微妙。ワールドカップのアセンシオゼロトップなんて、コスタリカに7点獲ったとはいえ微妙だったでしょ?モラタだとタレント不足感は凄かった。




■エンリケの作品

今回はCLソシエダ戦から振り返りたいんですが、基本的に仕組みは前回とほぼ変わらないです。

エンリケのビルドアップは後方に人数を掛けて相手にハイプレスさせる。今回であれば

4バックと中盤3枚の計7枚でビルドアップ。ソシエダも7人まではプレスは出来ないものの3トップ+IHの5枚でプレス。ただ数的不利状態。

パリから見て嫌なのが、アンカーに入るスビメンディがプレスに加わられること。低い位置でビルドアップをするデメリットは、ハイプレスに嵌められたときに自陣ゴールが近いためショートカウンターで失点する確率が高まること。だからプレス回避できればいいものの、出来なければ相手からしたらショートカウンターを引き寄せられる獲物でもあるのです。そこでスビメンディに行動されることはパリからすればあまりよくはない。

あともう1つのデメリットは、後方に人数を掛けるということは前線の人数を犠牲にするということ。これは相手もリスクを掛けられるということです。この部分がエンリケの微妙なところで、さっきも言った通り、エンリケの場合は最後の3分の1に対する工夫は見られないです。だから前線に強力な力がなければ相手に牽制することができない。思いっきり相手にハイプレスを仕掛けられてしまう。ワールドカップの日本対スペインなんてその象徴的事例過ぎるでしょ。



パリの場合はエムバペがいます。これがエンリケの大きい部分ですね。これでソシエダの最終ラインをハイプレスに参加させることもなくスビメンディと最終ラインの間にスペースを生み出す。←これメッチャ狙い!!




■司令塔ウスマン・デンベレ

スビメンディがハイプレスに参加するとなれば、パリの中盤とソシエダの中盤がそれぞれガッツリ噛みあう形になります。つまり中盤は数的同数。最終ラインが1枚余っているとはいえ、偽CBやってるわけじゃないからここに上がるのは非現実的。エムバペは最前線に専念させたい(させないと牽制できない)。そこで4人目のMFとして任命されたのがとても信じられない人選。

まさか!!まさか!!大外でしか輝いたところを見たことのないオレだけのデンベレが!!

デンベレがこの空いたソシエダの中盤のエリアに入りこんでボールを受ける。変わってエムバペが左に出る。

デンベレに渡ったところでエンリケの作業は完了。あとはエムバペが裏に抜ける。エムバペという抑止力があることで相手最終ラインをピン止めできるので、そこはエンリケのいいところなのか悪いところなのか…….。


実際にアノエタでのエムバペの2ゴールは左サイドからの抜け出しから奪ったゴールです。対面するソシエダ右SBのトラオレは守備においては穴なので、合理的な策略でしたよね。



■デンベレ10番化計画

たぶん、普段はデンベレを司令塔化させるようなことはしないでしょ。ソシエダだからこそハマった策だと思うし、デンベレは器用だけど戦術的柔軟性はないからアタックNEO与えないとこの部分がふんわりすることはないでしょう。でもね、これはね、デンベレウォッチャーとしては見過ごすわけにはいかんでしょ。ウイングでしか知らないデンベレの司令塔としての可能性。



デンベレは変身するたびにパワーがはるかに増す…。その変身をあと2回もデンベレは残している…。その意味がわかるな?




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