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第二首-廃村を告げる活字に桃の皮ふれればにじみゆくばかり 来て

第二首目。自分でもどうしてここまで強く惹きつけられるのかわからないのですが、出会った瞬間から胸の奥の方に貼りついて離れない、そんな歌です。あるいは、それはもともとわたしの中にあったものだったのかもしれません。

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「廃村」、「活字」という前半の強いことばと、「桃」、「にじみゆく」という後半の柔らかいことば。

強いことばに柔らかいことばがふれ、「廃村を告げる活字」という現実を優しく溶かしていくようなイメージが喚起される。まるでそのすべてがフィクションであったかのように。そしてそのフィクションがすべてを包み込もうとした最後の瞬間、声が響く。

――来て。

呼び声は確かにあって、でも、わたしたちはそれを聞き逃してしまいがちだ。
あらゆるものに現実感がなくて、永遠の予行演習を繰り返しているような日々の中でも確かに存在するもの。それをちゃんとつかまえていなきゃと、そう思った。

廃村を告げる活字に桃の皮ふれればにじみゆくばかり 来て(東直子)

きのこ帝国「スクールフィクション」

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