第七首-はじめからゆうがたみたいな日のおわり近づきたくてココアをいれる
七首目。陽がだいぶ長くなりましたね。一息つこうと外に出て、まだ明るかったりするとちょっと得したような気持ちになります。
そのまま公園のベンチでぼんやりしているとゆっくりと陽が落ちていって、夕暮れ。あの時間の何とも言えない懐かしい感じはいったい何なんでしょうか。
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はじめからゆうがたみたいな日。それは確かにあって、そんな日はなんだかずっとゆうがたがつづているような気持ちになる。
夜が来ないような。朝が来ないような。右も左もなくって、ただ、暮れてゆく瞬間が連続しているような。どこまでもつづいてほしいような。早く終わりが来てほしいような。
どこか現実感が欠けている景色にそっと目をつぶってもう一度目を開けると、でも、やっぱりそこにはこどもみたいに無防備な坂口の顔があった。ずきずきと頭が疼くのは昨日呑んだお酒のせいなのだろう。責めるようなその痛みに、わたしはそっとベッドから降りる。
逃げるようにして向かったキッチンは、物が少ないせいかわたしの部屋のそれよりも一回り大きく見えた。
そこにぽつんと置かれていたのはココア粉末の袋で、そういえば小さい頃は母がよくココアを作ってくれたっけ。そんなことをわたしは思い出す。
温めた牛乳に粉末を溶かすと、ココアの甘いにおいが部屋の中を満たしていくのがわかった。それを嗅ぎとったのか、坂口がベッドの上で小さく声をあげ寝返りを打つ。
気がつくと窓の外は何かの合図みたいに赤く輝いている。もうすぐ夜がやって来る。わたしは甘いココアの入ったマグカップふたつを手に、ゆっくりベッドへと向かった。
はじめからゆうがたみたいな日のおわり近づきたくてココアをいれる(本田瑞穂)
泉まくら「balloon」
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