鬱は心の風邪と同じ

私が、鬱になった時に会社を辞めようと相談したら、当時の営業の方が脳の手術後に鬱になった経験から「鬱はね、治るけどまたなる事があるんだよ。風邪と同じで、誰でも罹る可能性があって、1度罹っても、また風邪をひく人がいるように。鬱って言うのは特別な人が罹る病気じゃない。けれど免疫力が落ちていると風邪をひきやすいように、鬱になりやすい環境がまた揃ったら罹っちゃうかもしれない。だから、ここで病気になったのだからここで治そう。」と言ってくれた。

そして、私は会社を辞めず、中で環境を変えて徐々に良くなってきた時、その方はご病気が悪化して、休職から退職になってしまった。

その後、あとを引き継いだのは女性営業の方で、私は職場の引越し等で、心が環境の変化についていけずに弱っていたことに、気づかないまま面談に臨んでしまった。

家族も病気がちで、私の扶養に入れられるか相談したところ、「無理」の一言。

更に、「鬱で薬なんか飲んで、2年も治らないなんて先生を変えたら?私は親が死んだ時に抗うつ剤を出されたけど、全部捨てて平気だった。あなたに治す気がないから治らないのよ」と宣った。私はとても打ちのめされた。

その日の帰り道、大通りの横断歩道で一歩も動けなくなった私。

だけど、頭の中で今のタイミングで自殺なんかしたら、面談をセッティングしてくれた社員の方や、営業の方(彼女の言葉が引き金とは言え)に、ましてや私を殺す事になる車を運転している方の迷惑になる!と必死で自分を引き止めていた。

だから、動けなくなったのだけど、親切な人が腕を引いて道を渡らせてくれたので、今も生きている。

その時、実は会社の引越しはあるけれど、鬱症状自体は軽くなっていたので薬を更に減らしていたのだ。努力は実ったのだと思っていた矢先、次の診察で薬はやむなく増やされ、今に至る。それでも、症状にしては少ない量で調節してくれている先生には、感謝。

抗うつ剤は、強いと飲み忘れたり急にやめたりすると、反動があると言う。私は飲み忘れると過呼吸が酷くなる。飲んでいても絶えず苦しいけど、飲んでるから大丈夫!と思っていれば何とか生きていける。そのうち、薬をまた減らすタイミングを先生と相談してるけど、そんな時に限って父がガンになったり、母が帯状疱疹の重度になったり、姉妹や飼い猫が具合悪くなったり。会社が倒産したり。

だから、焦りは禁物なんだよね。

抗うつ剤のんでてもいいじゃん。ビタミン剤飲んで風邪予防してても風邪をひく時はひく。

再発を繰り返しても、気にしない。

むしろ、自分が病気だと気づいてない人より、確実に前向きに生きているはず。

本は読めないんだけどね(笑)

自分が病気を認識して治療を受けているからこそ思うのだ。「風邪をひいても医者には行かない」「マスクはしない」「熱があっても仕事に出る」事が美徳であると信じている人と同じように、「私が精神疾患のはずがない」「抗うつ剤なんか飲まない」と頑張っちゃう人が、治療を受けて治そうとしている人を悪化させる可能性があることを。

例えば、躁鬱と呼ばれる症状の人は、私には鬼門だ。彼らの言動や行動が、私を打ちのめす。

共依存と言われる症状は、日本人の古い文化と親和していて、病気であることに気づかない人が多い。高度経済成長の時に、あれほどのアルコール依存症を出しながら、社会も会社も家族も「隠す」事で症状を悪化させてきた。

心の病気は、身体の病気と同じくらい誰でも罹る可能性がある。

おかしいな、と思ったら。もっと気軽にカウンセリングや心療内科に足を向けられる社会であって欲しい。

私の周りで、鬱やパニック障害で苦しむ人に、治療を勧めると、ちゃんと治療する人は寧ろ被害者だったりする。その病気の要因となっている方がパワハラしたり情緒不安定だったり。でも、そんな人ほど、絶対に病院へ行かない。

何故なら、そう言う人には「病気になるのは悪い事」であり、「弱い人」だと言う偏見が根底にあるからだ。

私が若い時に、多分自律神経系だったのだろうけれど、親に病院へ行くとも一緒に行ってとも言えなかったのは、親にその偏見が強く垣間見えたから。

根付いた価値観は、自分で壊すしかない。

それでも、10年かけて理解を求めて付き合って行けるのは、家族だから。まあ、理解はしてないけど(笑)現実を徐々に受け入れてもらっているって感じかな。

これが上司や同僚なら、さっさと私はその場を去るしかない。それが今の私の心の安定に繋がるのだから。そこに行き着くのに時間がかかったなぁ。弱っていると、逃げ損なうんだよね。鬱とは別の病気を持っている人は、鷹の目の様に弱った人に攻撃してくるし。私じゃ無い、あなたが病院行って、もっと人生を有意義に生きてくれ!

と、思ってるけど、そんな人は本当に絶対に病気行かない不思議。

風邪を引いたら「咳エチケット」と言われる様になったけど、明らかに心の病気なのに心療内科や、精神科の病院行かない人は咳エチケットもなってない事が多い気がする。

風邪は、保菌者が免疫力が弱い人にうつす。

鬱や精神疾患の一部も、保菌者(じつは精神疾患なのに本人気づいてない)に、症状を悪化されたりする。まさに風邪と一緒。

自衛しても悪化するときはある。

そんな家族を支えようと頑張り過ぎて自分も気づかず病気になっちゃう場合もある。

根性論では、「社会に役立つ、迷惑をかけない」人間には程遠い人間が出来上がるって、そろそろ気づく時期だよね。

誰かを大事に思えるなら、自分のためではなく大事な人のために、自分の健康と発症してない保菌者の場合を想定して生きていきたいものだ。

だって、風邪の特効薬はない。ひきにくい身体を作ってもかかるときはかかる。

鬱だって、ちゃんと薬を飲んでないと、家族の一言でドーンと落ち込んだり、やめて!と言えば「八つ当たり」と決めつけたられたりする。良く勉強して接してくれる家族は、疲れ過ぎて自分も鬱になったりする。うつってるんだよ。これまた風邪と一緒だよなぁ。

毎日が、本当に辛くなったとき、あの営業さんの言葉を思い出すのだ。「鬱は心の風邪と同じ」

悪化しても、再発しても、あの言葉が私を最後に支えてくれる。



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