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酒場SF映画「REUNION:01」制作開始!

あらゆる時代につながる異次元の酒場、「REUNION」。
そこで働く女性サイボーグのミカ。彼女はいつから、そしてなぜ自分がここにいるのかを知らない。

彼女の上半身は人間と見分けがつかないが下半身は不格好なブリキ細工の機械だ。店の中を移動するのが精いっぱいで、歩くたびにカチャカチャと音がする。だから初めて店に来た客は、彼女がカウンターから出てくるのを見てぎょっとするのだった。

それでも彼女はいつも笑顔で楽しそうに働いていた。ミカは店にやってきたすべての客と彼らが笑うとっておきの冗談を覚えていた。彼女は人気者だった。店の扉 “GATE” からは、毎晩様々な男たち、女たちが現れ、ミカとの会話を愉しんでいった。

客の中に一人、一風変わった男がいた。彼は自分のことを”ドク”と名乗った。あまり自分のことを話さない男だったが、酒が二杯、三杯と進むと、決まって独り言のようにつぶやいた。

「あんたも昔人間だったんだ」

へえ、そうなの、とミカはいつも返すのだった。 GATEはあらゆる時代につながっている。ドクは昔の自分を知っているのかもしれないと思ったが、彼女は何も覚えてはいなかった。

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主な登場人物
ミカ(35)・・・酒場「REUNION」のママ。事故で記憶と下半身を無くしドクの手によりサイボーグとして再生された。
ドク(55)・・・違法サイボーグ手術で指名手配中の元軍医。腕は超一流だがろくでなし。他の時代の物を盗む次元強盗で生計を立てている。
エモチン(40)・・・同じ時間を繰り返してしまう多重リープ現象に陥り自暴自棄になっている男。
メルダ(年齢不詳)・・・全身サイボーグの狡猾な武器商人。

映画前半のストーリー
異次元の酒場「REUNION」で働くサイボーグのミカ。常連客のドク。
ドクはある時代で、ミカに命を救われた男だった。
ミカはドクを助けた時、体の半分と記憶を失った。

悪徳軍医だったドクは、彼の時代のテクノロジーでミカを再生する。
しかし金がなく、下半身はありあわせの機械で作るしかなかった。
ミカを完全に再生する時間を稼ぐため、ドクはミカを酒場に連れてきた。

REUNIONで目覚めてからしばらく、彼女は絶望の日々を過ごした。記憶はなかったが、感情はあったからだ。
自分の下半身はブリキの機械になり、電源コード無しでは動けなかった。泣こうと思ったが、涙は流れなかった。
唯一、自分の意志で何カ月もスリープできることだけが救いだった。

ドクはそんなミカの最初の話し相手になった。いつ誰が創ったか知らない酒場の話、そこに来る客の話。そして別の時代とつながる”GATE”の仕組み。

GATEをくぐるには鍵がいる。昔、1000個がばらまかれたという鍵には2つのボタンがある。1つはREUNIONにつながるボタン、1つは自分の時代につながるボタンだ。そして鍵にはバグがあった。2つのボタンを同時に押すと、GATEがランダムにどこかの時代につながるのだ。

「俺はこいつでちょいと稼いでるのさ」とドクは自嘲気味に話した。

REUNIONには時代を超えて様々な客が訪れた。中には本来の時代では相手が死んでいる(あるいはまだ生まれていない)超時間差カップルもいた。彼らはこの酒場にいる時だけ恋人同士だった。

そして酒場に来る客は皆、自分の時代で何かを失った者たちばかりだった。鍵が彼らを選ぶのかもしれなかった。

現実から逃れ、ひと時の安息を得るため、彼らはGATEをくぐってやってくる。
ある時ミカは、ふと冗談を言った。客が笑った。そして「また来るよ」と言って帰っていった。
ミカの殺伐とした心に一筋の光が差した。

強化されたミカの頭脳は、客が話したすべての言葉を記憶することができた。やがて客はミカに“こないだの続き”を話すために店を訪れ、ミカはそれを聞くのが楽しみになった。ミカは客の話に頷き、相槌を打ち、笑い、そっと励ました。そして面倒な客はスペース・テキーラで酔い潰した。

鍵を使った次元強盗を繰り返し、酒浸りの放蕩生活がたたったドクの寿命はつきかけていた。彼は酒場でミカの時代から来る男を待ち続けていた。彼女を元の時代に帰すには、同じ時間に生きるナビゲーターが必要だったからだ。

ついにその日が訪れる。若気の至りで多重リープに陥り、憂さ晴らしにREUNIONに現れた男、エモチン。あることから、ドクは彼がミカと同じ時代の人間だと知る。

ドクは最後の仕事で得た報酬で、武器商人メルダから下半身のパーツを手に入れ、エモチンと共にミカを酒場から送りだす決意をするーー。

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