#邦キチー1グランプリ投稿 「デッド・ドント・ダイ」

~とある日の放課後~

部長 「ううむ……」
ヤンヤン 「どうしたアルか。1週間便秘みたいな声出して。野菜食べるアル」
マリア 「あら部長さん、そういう時は食物繊維ですよ」
部長 「なんでお前らは当然のように入り浸っているんだ…?」
邦キチ 「そうですよ部長。便秘は体に毒であります!大怪獣のあとしまつでも怪獣に溜まった有毒ガスが…」
部長 「違う!怪獣と一緒にするな!俺は毎朝快便だ!」
ヤンヤン 「じゃあどうしたアル」
部長 「いや…うーん……いやあ……」
ヤンヤン 「やっぱり便秘だナ。野菜食べるアル」
邦キチ 「はっ…部長、そういえば便秘といえば」
部長 「おいやめろ!今日は便秘にまつわる映画の話じゃない!ええとだな、昨日配信サイトで映画を観たんだが…☆評価も悪くなかったし、有名な俳優も多かったからなんとなしに観たんだが……だが……」
マリア 「歯切れが悪いですね」
ヤンヤン 「キレの悪いうんこみたいな奴アル」
邦キチ 「そうそうキレの悪いうんこといえば部長」
部長 「やめろ!」
マリア 「まあまあ部長さん落ち着いて。映画の内容に含むところあった…ということですよね?」
部長 「うっ…まあ、そうなんだが…」
ヤンヤン 「!それならヨーイチがいつもの映子みたいにプレゼンしたみたらどうアル。いつも映子の話を聞いてるばかりじゃ読者も味気ないアル」
邦キチ 「テコ入れでありまするな~」
部長 「ちょっと待て!そもそも推薦してるわけでは…」
部長 「(いやでも確かに邦キチはチョイスが独特なだけでプレゼン力は高い…概要を的確に捉えている…ヤンヤンやマリアも上手いし…ここは映画について語る若人の会の部長として負けてはいられないか…!)」
部長 「こほん…わかった。それじゃ映画の解説…?を始めるが…」
みんな 「「「わ~」」」
部長 (こいつら流れるようにお菓子とジュースを…)

部長 「よし!まず先に説明しておくがこれはコメディゾンビ映画だ。タイトルは「デッド・ドント・ダイ」。小さな田舎町を舞台に、警察官が巻き込まれていくというのが大筋の流れだ」
部長 「主役は警察署長クリフ役は「ゴースト・バスターズ」の主人公でお馴染みのビル・マーレイ。相方となる巡査役のロナルドも「スターウォーズ・フォースの覚醒」で2代目ダースベイダーことカイロ・レン役を務めたアダム・ドライバー」
マリア 「有名どころですね」
部長 「要所に出てくる俳優も馴染み深い人が多くてな。「アルマゲドン」のスティーヴ・ブシェミや「リーサルウェポン」主役の1人であるダニー・グローヴァーとか。メインに出てくる謎の女性はコンスタンティンで天使ガブリエル役をやっていたティルダ・スウィントンだしな」
マリア 「顔を見ればあ~ってわかる人たちですね」
ヤンヤン 「アルマゲドンのヒャッハーおじさんアルな」
部長 「そんな呼び方はじめて聞いたぞ…」
部長 「まあ、そうして電子機器の異常や動物たちの脱走など奇妙な出来事が重なり、町の墓地からゾンビが復活してしまう定番の流れだ」
部長 「大まかな登場人物は警察署長のクリフ、男性警官のロナルドと女性警官のミネルヴァ。ロナルドの昔の知り合いで世捨て人になって山に住んでるボブ。後半に出てくるゼルダという謎の女性だ」
部長 「基本的に会話も必要最低限でセリフも少ないが、そこは昔ながらの俳優揃いなのもあって間も持たせるのがすごくうまくてな」
部長 「監督の撮影手法でもあるみたいなんだが、日常的というか…普段ってそんな説明的な会話をしないだろ」

脳裏をよぎる説明的セリフで導入を担当してくれる部長

ヤンヤン (…してるナ)
マリア (してますね…)
邦キチ 「私は部長の説明はわかりやすくて好きでありますよ」
部長 「そ、そうか?いやそれで映画の話だが、旅行客の買い物シーンやダイナーでの会話も含めてまたこれから何か起こるんじゃないか…という日常なのに言い知れぬ不安感を醸し出してなんとも言えないんだ」
邦キチ 「押井守監督の作品でも原っぱにいる男女が無言で空を見続けたりしますからね~」
部長 「それは日常なのか…?」

マリア 「ところで部長さん、気になっていたのですが…ここまでの説明でコメディ要素がないような…」
部長 「全体的にスローリーな展開だからな…大笑いするような場面は少ないけど、そうだな、冒頭の車中で「デッドドントダイ」というタイトルの曲が流れるシーンがある。これから何度も擦られるんだが」
部長 「署長のクリフが「なぜ聞き覚えが」と不思議そうにしてるところにロナルドが「テーマ曲だから」と言い放つ。こういうメタ的なクスッとしたところが度々出てくるんだ。あとロナルドは「不吉な結末になる」というのが口癖で、これも最後にメタ的な意味を持ってくる」
部長 「町の登場人物の人となりを丁寧に描きつつ意味深なシーンを交えたりとまあ基本的には淡々と会話が続いていく」
部長 「世捨て人のボブが農家の鶏を盗んだとか、ボブが山の中の異常に少しずつ気付いていくような演出もあって謎を深めていく。この作品における傍観者の立ち位置にいるのがボブだな」
部長 「そうしていると警察署に男女2名の遺体が運ばれてくるんだが、葬儀屋は他に遺体があるため収容できず警察署で一時的に預かることになる」
部長 「ここで最重要人物であるゼルダが登場。葬儀屋を継いだ、いわゆるよそ者である彼女は噂好きな住民からも注目されているんだが」

部長 ふと邦キチが普段しているイかれたプレゼンを思い出す部長

部長 「……このゼルダ、職場兼遺体安置所の奥にある金ピカの仏像がある畳敷きの部屋で空手着を着て日本刀の素振りをするシーンがある」
マリア 「は?え!?今大笑いするような場面は少ないと言ってませんでした!?」
部長 (くっ…俺も突っ込みたいが今日は解説役だ…!)
部長 「ちなみに演舞が終わると阿弥陀仏と仏像にお辞儀をする」
ヤンヤン 「なんかよくあるトンチキ日本かぶれみたいなのが出てきたアルな」
部長 「しかし役者の雰囲気なのか妙な説得力があって、こういうものなのかとすんなり受け入れてしまう圧があるというか…」
邦キチ 「わかります。勢いだけでドイツ人をやりきった竹中直人やテルマエロマエの阿部寛のような」
部長 「いやちょっと違くないか…?」
部長 「そ、それでだ。ついには墓地に埋葬されていた死体がゾンビとなって馴染みのダイナーに!」
ヤンヤン 「おおっやっとそれっぽい展開アル」
部長 「割とあっさりめに殺されるダイナーの従業員×2!」
部長 「そして従業員を食い殺したゾンビ2体は生前の記憶につられてコーヒーを飲み…コーヒーポッドを手に夜の町へ」
マリア 「ゾンビがコーヒーを…?」
部長 「コーヒーという単語だけ喋れる通称コーヒーゾンビだ」
みんな 「「「コーヒーゾンビ!?」」」
マリア 「なんでそんな名前に!」
部長 「コーヒーゾンビが正式名称かはわからんが、レビューにはそう書いてあってな…」
邦キチ 「きっとコーヒーを求めているからでありまするな」
部長 「えー…ちなみにこの後ジュースとつぶやくジュースゾンビ、Wi-fiを連呼する通称Wi-fiゾンビやBluetoothゾンビも出てくる」
マリア 「増えた!確かにゾンビは増えますけど!」
部長 「俺は後半に出てきたファッションと言い放ってポーズをとるファッションゾンビを見た時にゾンビってなんだったっけって思ったぞ」
ヤンヤン 「コメディの方向性がくっそシュールアルな…」
部長 「この後、ゼルダが安置所の遺体にキレッキレのビジュアルメイクを施したり、ゾンビになって起き上がる2人の首を日本刀でスパ―ンと斬り落とすシーンがあまりにもシュールだ」
マリア 「なんか強くないでずかゼルダ」
ヤンヤン 「くっそシュールアル…」
邦キチ 「クスッとしまするな~」
部長 (くっっ…言いたいことは山ほどある…俺もツッコミたい…!)

部長 「おほん…この辺りから復活したゾンビたちが町に蔓延してくる。警察署でゼルダと合流した警官たちは、生きている人がいないか町の中を車で見回りに行く…しかし時すでに遅く町の人々はほぼすべてがゾンビに」
部長 「絶望的な状況を目の当たりにした矢先、パトカーのタイヤにゾンビの腕が挟まり車がスタック走行不能に陥る!さらにはスタックした場所が墓地でゾンビに囲まれて大ピンチに!」
マリア 「なぜゾンビがいる状況で墓地に…」
部長 「そりゃまあ、生きてる人を助けるために…?」
ヤンヤン 「そんなとこにいる奴、十中八九真っ先にゾンビになってるアル」
マリア 「ぞ、ゾンビ物のあるあるは踏襲してるのですね」
部長 「ちなみに警察官は全部で3人いると言ったな。メインの2人とは別に女性警官がいるんだが…窓の外にゾンビになった祖母を見付けたのもあり、この状況に耐えきれずパトカーの外に出ていって…」
ヤンヤン 「パニックになって死ぬ役だったのナ…」
部長 「そんな中、ゼルダが警官たちのいる墓地までやってきてくれるんだ」
マリア 「助けに来てくれたんですね!」
部長 「まあ、そうだな…そこからゼルダが日本刀でゾンビを一刀両断!お前ひとりでいいんじゃないか?って勢いでゾンビを倒してくれる」
ヤンヤン 「日本刀を持つと強キャラ感がウナギノボリアル」
マリア 「(名前からして最近のゲームみたい…)」
邦キチ 「やはりゾンビを倒すには日本刀がないといけませんからね~」
部長 「お前はなんで普通に受け入れられるんだ…」
邦キチ 「おや部長はご存知ないのですか?ゾンビと言えば日本刀。日本刀といえばゾンビ。かのZアイランドでは哀川翔演じる元ヤクザの宗形が弟分である武史の娘を助けるため日本刀を手にゾンビをばったばったと」
部長 「わー!待て待て!それじゃお前のプレゼンになるだろ!」
ヤンヤン (Zアイランドも相当ヤバそうアルな…)
部長 「話を戻すぞ!それでゾンビがゼルダに引き付けられているからパトカーからもゾンビが離れていって」
マリア 「今だ!って脱出するんですね」
部長 「……俺もそう思ってた……」
マリア 「え?」
部長 「……墓地の上空に現れたんだ……UFOが」
ヤンマリ 「「な、なんだってー!」」
邦キチ 「まあ!UFOが!」
ヤンヤン 「なんでUFOが!?」
マリア 「どこから出てきたんですか!?」
部長 「俺に聞くな!俺だってわからなくて巻き戻して見直したんだ!」
マリア 「はっもしかして実はゾンビを生み出したのがゼルダという…?」
部長 「いや…特に何も説明されていない。話の途中で地球の自転軸がズレてるニュースとかが流れていたけど、最後までゾンビ発生の原因はわからない」
ヤンヤン 「ゼルダが宇宙人だったトカ?」
部長 「何もわからん…」
ヤンヤン 「ゾンビどこから湧いたアルか!」
部長 「だから俺に聞くな!」
マリア 「まさかそこから宇宙人VSゾンビ…?」
部長 「いや、待ちわびていたような顔をしたゼルダがUFOに吸われて飛び去っていった。ゾンビは残ってる」
マリア 「なんで!?」
部長 「これを見ていたロナルドが車の中で「僕の台本にはなかった」って呟くシーンがアドリブなのか台本なのかすらまったくわからん」
部長 「こうしてなんでかわからないまま覚悟を決めたクリフとロナルドはマチェットとショットガンを手にパトカーの外へ」
部長 「いい感じの音楽が流れる中、奮戦の甲斐なく最後にはゾンビに囲まれ…世捨て人となったボブがその様子を遠くの山から眺めながら暗転」
ヤンヤン 「ボブ!そういえば話に少しだけいたアルなボブ!」
マリア 「ゾンビの原因とかUFOとか何も解決しないで終わるんですね…」
邦キチ 「私は面白かったでありまするよ~。消費社会への痛烈な批判ですね!」
ヤンヤン 「…こういうトンチキな映画にはやっぱりツッコミ役が必要アルな」
マリア 「部長さん途中からツッコミと解説を兼ねてましたよね」
部長 「疲れた……」

~部長休憩タイム~

部長 「内容の理解が追い付かなくてレビューを見てみたんだが、この監督らしい作品と言われててな…俺は他人の論評をとやかく言うつもりはないし、色んな見方があっていいと思っている」
部長 「執着心を持った人間が執着を捨てきれないまま死にきれずゾンビになる…という風刺的な意味合いを持っているというのも、コメディ要素と噛み合って意味がわかれば面白いしな」
部長 「車中に閉じ込められてる時に、クリフが落ち着いてるロナルドにキレるんだが、「台本を読んだので」って返すのがまたシュールでよかったと言えばよかったんだが」
部長 「あと特に説明らしい説明もないが、話の途中に少しだけ出てくる孤児院の子供3人は生き延びているらしい」
ヤンヤン 「結局最後に生き残ったのは孤児院の子供3人とボブだけアルな」
マリア 「執着を捨てて世捨て人になったボブが生き残るというのも皮肉が効いてますね…」
部長 「実際俳優の演技は上手くて見入ってしまう説得力があるし、田舎町の独特で閉鎖的な雰囲気や淡々とゾンビが増えていく過程も往年の走るゾンビ映画にはないノスタルジックさがあって好きなんだが…」
ヤンヤン 「なんでUFO出ちゃったアルか」
部長 「わからん…いやこれも監督からのメッセージ性のある演出なんだろう。物欲に縛られない人が生き残ってるというか…ま、まあ、レビューの星評価だけで判断するのは難しいということを学んだよ」
邦キチ 「なるほどでありまするなぁ。ゾンビコメディから知見を深めるとはさすが部長です!」
ヤンヤン 「映子はゾンビになったら間違いなく邦画ゾンビになるナ」
部長 「絶対に遭遇したくないな…」
邦キチ 「あ、ところで部長。最初に話していた便秘の話でありまするが、実はこの度「ウンチク/うんこが地球を救う」という、うんこドキュメンタリー映画を観まして」
部長 「何がところでなんだ!?そもそもなんだその映画は!」
邦キチ「これは昨今の環境問題をテーマに、SDGsにも配慮したうんこ系ドキュメンタリー映画でありまする。公式もウンコメンタリーと呼んでいるほどで」
部長「ええい!女の子がうんこを連呼するんじゃありません!」
ヤンヤン (お父さんアル…)
マリア (お父さん…)


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