手帳にショートショートを書く方法(個人的手法)

トラベラーズノートに挟んだノルティ手帳に、ショートショートを書いています。
左側の週間ページにその日の 石井ゆかり さんの星占いを、右側のメモページにショートショートを。
右側のショートショートは、左側の星占いからキーワードを3つ抽出して捻り出しています。

さて、では具体的に書き方を。
(占いに著作権があると思うので、ここでは架空のキーワードを使用します。)

まず、「星空」「ジャスミン茶」「わいわい」という単語を抽出したという設定で進めたいと思います。(今、適当に思いついた単語です。ジャスミン茶がテーブルの上にある…。わいわい、は、占いで使われていそうなイメージ。)

最初に、キーワードからイメージを固めます。
星空の下でジャスミン茶のペットボトルを抱えながら、複数人がわいわい話している様子が浮かびます。
しかし、これだけではショートショートにならない。何かエッセンスが必要です。

それを探りながら執筆開始です。(超見切り発車)
以下、ショートショート本文は「」で括ります。

「その日はみんなで集まろうということになっていた。しかし、みんなのスケジュールの都合で、夜にしか集まれない。幸い、天気予報は快晴だった。星空もよく見えることだろう。私はBUMPの歌を口ずさんだりしながら、集合場所の公園へと向かった。」

公園、という新しいキーワードが出ました。集合場所として思い浮かんだものですが、ここから更にストーリーを膨らませます。

「夏の暑い夜で少し汗ばんできたから、途中の自販機でこれ幸いとジャスミン茶を買った。ボトルの結露に手を濡らせながら、少し小走りに向かう。灯が見えてきた。」

ふと、ジャスミン茶を持たせる必要を思い出したので、それも盛り込みました。


「公園にたどり着いてみると、まだ誰も来ていない。ベンチに一人、知らない女性が居る。どうしたんだろう? ずっと動かずに座っている様子から、何かただごとでない感じがする。私は迷った末、声を掛けた。」

女性が出てきましたね。公園に人がいて、そこからショートショートを変転させていこうという狙いです。

「「あの、こんばんは」。近くに寄って挨拶すると、女性はビクッとしたけれど、おずおずとこちらを見上げ、挨拶を返してくれた。「…こんばんは」」

女性、意外とフレンドリー。じゃないと話が進みませんが、即座に挨拶を返せるはずもなく、戸惑いの部分が三点リーダーに表れています。…←こいつです。

ここで、今まで書いてきたショートショートを読み返します。全体の流れを見てバランスを決め、ショートショート自体の雰囲気を掴むためです。
雰囲気としては、明るい所から若干怪しい暗さへと向かっています。女性がいい働きをしていますね。あと、夜の公園って、一人だとなんか怖いですし。
分量としては、ちょうど半分書けたかな、くらいだと思います。
ここから、オチに向かっていくわけです。
個人的には
奇妙な読後感にしたい
バッドエンドは嫌
主人公には安全にいてもらいたい
ここら辺を心掛けたいです。今回のショートショートでは。

「「何か、お困りなんですか?」違ってたらすみません。慌てて付け足す。女性は俯いた。「主人と喧嘩して、でも行き場所がなくて」。プチ家出だろうか。「そうなんですね…」」

主人公だけでは会話が続きません。ここで楽しい仲間達を召喚することにしましょう。

「「おーい、何やってんの?」明日美がぶんぶん手を振りながら公園に入ってきた。その後ろから、他の3人も。心細そうだった女性の目に、少し生気が戻る。それを見て、私は声を掛けた。「良かったら、私達と少しお話ししませんか? 全員暇な女子大生です」」

ここで楽しい仲間達の性別と素性を明かしておこうと思ったので、女性に紹介がてらショートショートに盛り込みました。

「それからは、適当に各々自己紹介して、6人で話をした。1人がレジャーシートを持ってきていたのでちょうど良かった。最初はおずおずと、次第にわいわいと。女性は少し呑んでいたのか、段々饒舌になった。」

3つ目のキーワード、わいわい、を盛り込みました。レジャーシートが出てきたのは、立ち話は変だし、公園のベンチは一台一台が離れているから会話が難しい、という都合です。
そろそろ、物語に仕舞いをつける必要があります。

「「だからね、旦那に言ってやったの。箸くらい自分で取りな! って」「よく言った!」「躾が大事!」みんなでやんややんや話していると、男性の声がした。「京香、ここに居たのか」」

新しい登場人物です。もう誰か説明するまでもないですね。

「「隆弘さん」女性はハッとした様子で、でも次には嬉しそうに涙ぐんだ。不安だったんだ。私達は、それぞれまた適当にご主人に挨拶して、それから別れた。残った5人で、顔を見合わせる。「夫婦喧嘩は犬も喰わない」」

以上で、ショートショートは終わりです。急いで畳んだ感じはありますが、分量的にはこんなものかと。
実際に手帳に書いていると、書ける残り分量が空白の量で分かるので、バランスをとりやすいです。

ショートショート自体の不出来には目を瞑って頂くとして、大体、こんな感じでショートショートを書いています。

参考にしていただければ幸いです。

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